#65~力の生い立ち~
春香が連れて来た、黄昏公園の近くに住むおじさん・金田史郎氏は、血まみれ女性・国近麻美の姿を視界に収めると、『こりゃいかん!!救急車を…』と言いながら、ズボンのポケットから携帯電話を取り出して電話を掛ける。
※ちなみに消防への通報で虚偽の悪戯電話等をした際は、罰金や、場合によっては拘留されることもある、人命が関わりそうな場合、誤認なら大目に見られる事もしばしばあるが…良い子の皆はしっかり必要と判断してから通報されたし。
金田氏は60近い中年男性で、仕事は先月に早期退職届けを出したばかりだ。
年金暮らしはまだだが、今は退職金で生活を営んでいる。
定年退職でも、早期退職でも退職金はほとんど変わらず、部署が変わる事を堺に大きく決断したそうだ。これからは『自分の時間を生きよう』と…結婚はしておらず、最近の悩みは夕時に暇を持て余す様になってきた事である。
仕事一筋に生きて来たため、近頃は遊び交じりに軽い仕事を探している…
公園で救急車を待つ一行は
「酷い所は止血されてるんで…何もしないで、動き回らない様にじっと救急車を待った方が良いです」
と言う勝也の言葉を信じ、何もせずに救急車の到着を待っている。
救急車は信号の操作・車道の優先的走行等を駆使する事で、遅くとも10分以内には現場に急行する様になっている。
救急車が現場に駆けつける平均時間は八分と少しと言った所だ。
無論、現場の場所・状況・交通状態等で多少の違いは存在する。
血まみれと言ってもこの公園まで歩いてきた様で、疲れと気が動転しているだけで意識はしっかりしている国近である。
何か問題があるか探るために、勝也は国近に事情を聞く。
「あの…どうしてこんな…血まみれの姿になって公園にいたんですか?事故ですか?…車に轢かれた…とか?」
「…深夜に廃ビルの駐車場に居たら、仮面を付けた、勝也ぐらいのガキと男に襲われて…車でこんなところまで連れてこられちまったんだよ…そこの交差点で下ろされて…くぅ…一緒に襲われた渉は私の傷口を焼いてたらヤラレちまった…くそっ!」『『『えっ!』』』『なっ…』
と国近の言葉に児童達は驚く、金田氏は狼狽えた後、『け、警察に…』と通報するべく、再度携帯電話を取り出す。
しかし、当の被害者・国近は金田氏を睨みつけてそれを止める。
「止めろ!!警察はいい!あたしはあいつ等が嫌いだ!襲って来た奴らも多分、解ってる…くそっ!…ゆるさねぇ…変態仮面野郎共め…っ……」
罵詈雑言を織り交ぜつつ、体の節々を痛がる国近のただならぬ様子を見て『あ、あぁ、そうかい…』と金田氏はたじろんで動きを止める…
『……ピーポーピーポー…』と救急車が公園に訪れたのは救急要請から五分もかからなかった。
救急隊員が公園に訪れ、国近を車に収容すると、向かう病院に連絡を取り始めたのか、少し停車してから発進していった…国近が行先を指定しているのだろう。
「じゃ、私は帰るよ、春香ちゃんがインターホンをならして来てびっくりしたよ…人助けも良いけど…関わる人は選んだ方が良いよ……まぁ……じゃ、お父さんとお母さんにはよろしくね、春香ちゃん…」
と金田氏は手を振ると自宅に向かう。『ありがとうございます』と春香はお礼を言って手を振っている。勝也は去るおじさんを見て春香に聞く。
「春香、あのおじさんと知り合いなの?」
それに春香はあまり関心が無い様に応える。
「さぁ?ここが出来た頃から居る人ならお母様の知り合いだし、最近越してきた人なら…お父様の知り合いの人?かな…まぁ、年配の人には良くある事だよ。」
『ふぅん…大変だな…名家のお母さんと市長のお父さんを持つ娘は…』とこぼす勝也だった。
新しく出来た都市、清虹市創造当時に移り住んだ、変わり者の名家である金山家お嬢様の金山四期奥様を春香は母親に持ち、
対する父親は清虹市の現市長・入り婿の金山賢人である。
近頃は金山家の住宅に足を運んで居ない様だが、色々と忙しいのだろう…
清虹市に住む者でそれを知って春香に付き合うのは勝也ぐらいであった。
『…春香お姉様、そろそろ帰りましょう!!』
…いや、厘の方がべたべたと春香に懐いていた。
不(ry




