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力の使い方  作者: やす
三年の春
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#63~力の行動~

「で?秘策ってどうするの?」

勝也は下校中、斜め後ろを歩く春香に聞く。


『むむぅ…』と唸る春香は勝也の声を聞いていないそぶりで考えに耽っている…

「春香姉様?何かあったの?」

勝也の声の後に続くのは勝也の妹、厘だ。

今日は勝也達三年生の授業時間が少ないため、一学年下の厘も一緒になって下校している。


『うん?厘ちゃん…』と現実に引き戻された春香は答える。

「厘ちゃん……勝也が………いや、アマチ―が…授業中、急に声をかけて来るもんだから、びっくりして面倒な事を言っちゃったの……」

『あのなぁ…』と勝也は小さく声を挟むが、春香はそのまま続ける。

「厘ちゃん……聞きたいんだけど……『読んでみよう!!』って思う漫画はどんな感じで見つけた物が多い?」

『なっ…アマチ―は止めれ…』と勝也が驚き声を挟むが、小さい声だった為、それを聞く者は居ない。


厘は聞かれた事を『漫画?ん~~~~…………』と一生懸命考え、春香の役に立とうと、期待に応えて、真剣になって返す。

「”面白い”と思ったヤツを読みます!!後は……お友達から『面白いよ!』って言われた物とか、本屋さんで『どーーん!』って飾ってあるヤツを読むの!です…」

……

そんな敬語の様な言葉聞く春香は

「ん~ーー――そっか~~……」

と曖昧に答えている。あまり良い回答では無かったようだ…


……勝也は見かね、今日の『総合』で春香が言っていた、かなり『頼もしいお言葉』を思い返しながら口を挟む。

「春香…授業中に言ってた、”秘策”って……口からのでまかせ…かよ…」

勝也は春香の『無い返事』を肯定と受け取り、ため息交じりに言う。

「…はぁ……そんな事だと思ったよ……どうするんだよ…壱班の発表は…」


そんな春香達は思い思いの考えを張り巡らせ、下校路を歩く…



「えっ!?コレ…」

春香が始めに、何かに気付く。

前を勝也が歩くことで視界が塞がれていた厘は『んっ?!…春香姉様?』と続き、先頭を歩いていたが、斜め後ろを見ていた勝也は遅れ見て

「な、っ!!………血!?血痕だ!」

と反応する。


アスファルトの歩道には黒っぽく、薄まっている所がほんの少しだけ茶色い液体がこびりついている。

…踏んで、伸ばされた液体の匂いは鉄臭く、『救急医師補助師』の資格を持っている勝也だからこそ、真っ先に、黒い液体の正体を言い当てる。


血痕は細く歩道に線を引き、地面に残された血痕は下校路を20メートルほどそれた公園に向かって伸びている。

…勝也達の下校路からはそれ、勝也達が立ち止まる場所からは良く見えない、ブランコ二脚しかなく、あまり行った事は無いが、名前は”黄昏公園”だ。


”黙って見過ごせない…”と、勝也の後ろを歩く者が身を乗り出す。

「黄昏公園に行ってみよう!…もしかしたら助けを求めて血を流しながら歩き回ったのかも……」

春香の声に応えるのは春香の隣を歩く厘。

「はい…すこし怖い…ですが………お姉様と一緒に行きます!」

女子児童二人は好奇心旺盛に、『血痕を辿って行こう』と足を踏み出す。…と、勝也はたまらず『ま、待って!!』と制止をかけた。


「…この色じゃ、十分、二十分前の血の色じゃない…こんなんじゃ、多分……二時間、三時間前についた血だ……………こう言っちゃあれだけど…この血の量じゃもう助かってるか……死んじゃってる、と思う……この血の跡を辿っても……意味ないよ…………それより春香?携帯電話は持ってないの?」

勝也は自分達では『危ないし…意味が無い』と言うが、春香は首を振り、真剣な声色で応える。

「持って来てないよ…清虹公園の時は遠出をするから持ってたの……”意味ない””危ない”って言ったって、危なそうなら逃げればいいだけなんじゃない?……私は見て来る!気になるモン!」

春香の好奇心は相当な物の様だ…勝也は『いや…でも…』と渋るが、春香達は勝也の制止を無視して辿って行ってしまう…

勝也は『下校路は守れよ……』と言いながらも、心配になって春香達を追う。


血痕は途中、途切れたり、ある場所では大きく後を付けたり、としているが、辛抱たまらない春香は走りだす。

春香達はすぐ公園に足を踏み入れる…

『キャッ!』『んっ!!』と驚く春香達の後に勝也が公園の中を見渡す。

そこは、端にブランコを置く、家屋の敷地一軒空いた場所を白いパイプで囲んだだけの公園だ…ブランコの奥には緑の苔が生え始めている。

『っ!』


そのブランコに手を付く形で地面に腰を下ろす、派手な(・・・)服装の女性が居た…歳は30ぐらいの見た目だ…息は荒い。

「ハァハァ…っ!…んぁっ!?」

女性の来ている服、ヒラヒラのドレスの様な服は白地に赤い花模様が所々にある。

勝也を見ると威嚇して眼光鋭く声を張り上げた。

派手な服は所々が赤い、一見するとテレビで見た事がある……水商売の女性が着ている様な服だ…

…白い服の上にある赤いマークは…

……………………

良く見ると血の跡だった…

一見、返り血にも見える…


『ひぃっ!』『きゅっ!ーん……』『っ!…だ、大丈夫ですか!!』

驚く女子児童二人と違い、服の血痕はその女性自身の物だと気付く勝也。

危なそうだが、足が動く。見るからに瀕死の状態だからだが、勝也は自分の言っていた事・春香の言っていた言葉を図らずも無視してしまう…



『く、来るなぁ!!消えろぉ!!ふぁ…」

瀕死の女性は勝也が駆けて来る事を理解すると、大声で喚き散らし、勝也に目がけ、女は手をかざして発言した…

火の玉(ファイアボール)!!』


火の玉(ファイアボール)火の(ファイア)種の最高技で殺傷能力は高い。

次に強いのは炎生成バーニングプロダクションだが、指向性の有無で言えば、それよりも”殺し”には適している。

不(ry

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