#5~力の有効活用~
遅れましたが続きます。
行間を少し付けました。
勝也が門扉をくぐり抜け、金山家の玄関を目指そうと足を運ぶ。
「雨田君はこっち。」「へ?あ、はい。」
風間が勝也を手招きすると庭に向かう様だ。
春香と厘は家に向かう。勝也は『厘は何処へ?』という顔をしていると、風間が答えてくれる。
「春香は服を着替えます。厘ちゃんも着替えて来るでしょう。春香に任せて置けば間違い無いです。」
『あぁ…着替え……』とひとまずは理解し、勝也は無性に気になっている事を聞いた。
「春香と何の賭けをしたんですか?……それに、俺と厘への様付けはそのまま無しでお願いしたいんですけど、春香の呼び捨ては戻しても良いですよ。俺は口が固いので…」
勝也は使用人としての立場を思い、負担を軽くしてあげようとしている。
その心遣いに気づいた風間は笑い顔で返す様だ。
「お気遣いありがとうございます。ですが……実は秋穂お嬢様、春香お嬢様の呼び方は自由なので呼び捨て自体はそれほど問題では無いのです。」
風間の言葉に驚く勝也は言う。
「えぇ!そうなんですか?初めて会った時から……確か……その呼び方だったので知りませんでした……秋穂お姉さんはまだ分かるんですけど、春香に『お嬢様』は似合わないので不思議に思ってたんですよ……」
勝也は存外に春香を悪し様に言う。それを聞く風間は明るい顔で反論する。
「ふふっ、私は絶対に春香の方が『お嬢様』だと思っています。これは譲れません。何より可愛いですし、秋穂お嬢様は高校時代に『お嬢様』とは対局の位置にいる存在でしたから。」
最後は苦笑に代えてそんな評価を言う風間さんだ。
『勿論、秋穂お嬢様も可愛いですよ?』と補足もする所は抜け目無い。勝也は風間の思惑を外れて食いつく。実は賭けの事をスルーされているが勝也は気づかない。
「秋穂お姉さんの高校時代ってどんな感じだったんですか?」
「あらあら……ん~…そうですね……一言で言って、『鬼気迫る』感じでしたね、相手にした男子をよくコテンパンにしてました。勿論、喧嘩して殴った…とかではありませんよ。……続けてよく『弟子にしてください!』と頼まれて困っていました。」
勝也の返答に困り顔で返す風間。
そんな曖昧な説明に困惑顔の勝也は言う。
「うーん……それを信じて聞けば春香っぽいんで、姉妹なのかな~って思いますね……」
勝也の感想に疑問点を見つけた風間は一人納得して御願いする。
「うん?あ~~……勝也くん、お願いがあるんだけど、今度バレない様に春香を観察してみて。一番良いのは春香がお友達とお話ししてる時を狙って。お願い。」
両手を合わせてお願いしている姿は本当に春香の姉っぽかった。
呼び方がぶれているせいだろう。
「えぇ……っと、春香の姉の演技は……しなくて良いんですよ?……えっ?誰もいないですし。ま、まぁ……機会があれば観察してみます。……って、ここで良いんですか?……あー、ご馳走はズバリ、バーベキューですね。」
話ながら歩いていると庭の隅にある倉庫に着き、炭用のコンロ、木炭等の炭、網、トング、火ハサミ等の所謂、BBQセットが置かれている。
「えぇ、私達は火起こし係りです……って、あぁ!!……すみません。マッチを忘れてました…すぐに取ってきます。勝也くんはここにいてください。」
風間は忘れ物の火元を取りに行こうと家に向かう。
あまり見ない風間のミスに『大変なんだなぁ……春香の御守りは…』と勝也がタブルの意味で失礼に憐れんでいると、女性が一人、倉庫から出てくる。
「風間さん!!マッチはいらないわよ!」
その女性に呼び止められる風間は動きを停める、
倉庫から出て来たのは『ご婦人』と言った体の40そこそこの綺麗な人だった。
風間は『まさか…』という感じてこぼす。
「お、奥さま…」「春香のお母さん!!……お、お邪魔しています。妹もお招き頂いてありがとうございます!」
勝也も続けて言うとそんな二人を見てジーンズにシャツの動きやすそうな姿の四期奥さまは言う。
「えぇ……?人をお化けの様に見て……何かしら?……勝也くんはいらっしゃい。ポイント高いわよ。」
妙齢の女性は風間の驚き様に驚き、勝也の切り返しの良さ、特に『呼び方』が気に入ったようで高評価をつける。その分、風間の態度が浮き彫りになる。
「も、申し訳ありません!まさかそちらにいらっしゃるとは思わず、つい……」
風間は自分の失態を恥じ、縮こまって謝罪する。
「ま、まぁ……良いわ、ともかく、火は私が付けるからコンロに炭を置きなさい。勝也くん達も来ているし、今回は不問とします。急に話しかけた私も悪かったわ。ごめんなさい。」
風間は滅相もないと言葉を返す。
「っ!!いえいえ……四期奥様にこの様な失態は許されません……何なりとお申し付け下さい。お言葉ながら罰はあるべきかと……」
『こうあるべき。』と主人に迫る使用人も『如何なもの?』と言う感じだが、よくある事のようで四期奥さまはこう続ける。
「はぁ……なら罰はすぐにコンロの準備をする事よ。5分以内に準備なさい。」
そんな主従のいさかいを後ろに勝也は人知れずに"他の作業を"し、戻ってくる頃にはコンロが2つ準備されていた。
あとは着火を残すのみ。
「火生成!」
と四期奥さまがコンロに向けて手を振ると『ボッ……』と勢い良く炭が燃えだす。
風間が『風操作!』と続け、新鮮な空気を送り込み、火は一気に燃え広がる。
するとBBQのコンロとしての状態が整った。
あとは食材を待つばかりである。
中途半端な所で申し訳ありませんが続きます。