#47~力の側面~
言葉を少し修正しました。話は全く変わりません。
「う゛ん!!まぁ…誤解が解けた様で何よりだ!早速君たちを警護させて貰う!さぁ、撮影を始めたまえ!なんなら私がモデルを買って出ても……ん?ああぁ…モデルはいらない?…はっはー!冗談さ!!」
飯吹さんはお昼に食べた公園内にある売店の軽食・カレーライスと、凪乃のお弁当少しを食べ終え、お腹が満足した様で、軽快に笑って公園に来た用事を促している。
「飯吹さん、先ほどは申し訳ありませんでした……子供たちを守ろうと思うあまり…つい…」
知らなかったとは言え、随分な対応をしてしまった凪乃は一段落した時を狙い、謝罪の言葉を紡ぐ。
「いやいや、凪ノンちゃんは正しい対応をしたよ!最近は物騒だからね。住民の自衛は大事だよ!あの物怖じしない気概をウチの新人にも見習わせたいぐらいさ!!」
豪快に先ほどの一幕を水に流す飯吹さんは細かい事に拘らない性格なのだろう。
事件時に飯吹が注意した純一の無免許法力行使未遂も気にしてない様に流している。
いや、もしかしたら売店のご飯だけでは物足りなさそうにしている飯吹に、凪乃が自分の弁当を分け与えたから…かもしれない。
『そう言えば…』とまだ動き出していない児童達に切り出す飯吹。若干暗い顔を作り、言いづらそうに喋り出す。
「思い出させる様で申し訳ないけど…この前の事件で見たハズの、黒ジャージに土色の仮面をかぶった連中を他に見かけた事はあるかい?ウチの部署ではその集団を追っていてね。内緒の事だけど、本拠地がこっちの方らしいんだ。詳しい場所はまだ解ってないんだけど…何かそれっぽい人を見たとか、そんな話を聞いたとか、知らないかい?」
七川、斉木・双子は『知らないです…』と顔を横に振る。
対して勝也達は目を見合わせていた。その視線の交錯を目ざとく発見する飯吹は凪乃に声をかける。
「凪ノンちゃん達は何か知ってるかい?」
「いえ…恐らく…もうご存知だと思いますけど、少し前に家の庭でご飯を食べていると、その黒ジャージ姿の暴漢達に襲われまして…」
『へ?』とした顔を秋穂達に向ける飯吹は驚いている様子。
「なっ……も、もしかして…二人はあの金山姉妹なのかい!?はぁ…道理で…そこの”お姉ちゃん”の”目つき”がそれっぽい訳だ…と言う事は…凪ノンちゃんって『風間凪乃』さん?その節は事件翌日に捜査の者が迷惑をかけてすまないね…『未成年の下校時を狙って声をかける』なんてマネを許してしまって…まぁ…被害者の身辺警護もかねていたんだ。許してほしい!……彼等は彼らで悪気はないんだ。」
凪乃もそれと似た様にして春香達の下校時に学校までお迎えしていたので、そう言われると何も言えない。
もっとも、風間はそれに加え、法力警察への警戒の目を光らせていたわけだが…
凪乃を『風間さん』と呼ぶ秋穂は飯吹をそれとなく観察していた為、『風間さん』とは声をかけておらず。
この場では春香と秋穂を『金山さん』とはまだ誰も呼んでいない。春香の『凪ノン』を聞いてそう呼んでいたらしい。
飯吹のマイペースさに狂わされ、勝也達は自己紹介するのを忘れていた。
凪乃は飯吹に捕まり、襲撃事件について話し込んでいる時、児童たちは顔を合わせ、話し込んでいた。
「なぁ…なんか話が長くなりそうだから…さっさと写真を撮って発表の準備、終わらせようぜ…このままじゃ…時間が無くなっちゃうよ…」
七川がそう言うと勝也達も『そうだな。』とそれに同意し、『公園の春』をファインダーに写し始める児童たち。
勝也とマナーの手にはデジタルカメラが光り、今度はしっかりと撮影し始める皆である。
秋穂はそんな子供たちを視界に収めつつ、さっきの話の続き。と凪乃と交代して飯吹と話し始める。
…解放された凪乃は子供たちと一緒になって動き回る。
「飯吹さん、黒ジャージの男達を追ってるそうですが…奴らは何モノですか?彼らの話では…何かの調べモノとか”苗を見る”とかなんとか…言ってました。それに…そんなに見て無いので解りませんが、彼ら個人の力は強大です…組織的な力もあるみたいですし…」
そんな秋穂の質問に、神妙になって応える飯吹。顔はつまらない物を見る顔になって答えている。
「うん…奴らはハッキリした声明も出さない、主とした目的も解らない、犯罪まがいの行動ばかりする不思議な集団だよ。『この手で出来る事』って組織は知ってるかい?元々は法力犯罪とかの前科や、技術が足りないとかの理由で、法力免許を取れなかった奴らが憂さを晴らす目的で作った集団なんだけど、今じゃテロまがいの犯罪組織だ…違法薬物取引なんかもする、悪い方向で有名なグループだけど、そんな奴らとも一緒になってヤバい事をする時もあって…かなり昔から居る集団だよ…『戦時中の軍上層部の生き残りじゃないか?』って言いだす輩もいる…まぁ、はっきり言えば『不良のヤンキーが大きくなってもヤバい事し続けてる』って感じじゃないかな?これは私個人の直観だけど…観音様の方ね!」
切り捨てる様に言う飯吹が、カメラを持って走りまわる春香達を見て、他人事の様に話す。
「ふむ…不良のヤンキーが知恵と権力・金を持った…なるほど…怖い連中ですね…『目的がはっきりしない』…いや、『目的が無い』と言った方が良い感じかもしれません…一応聞きますが…そう思った根拠はなんです?」
秋穂の真剣な質問に飯吹は自信満々になって応える。多分これが言いたかっただけの”振り”だったのかもしれない。
「そんなの簡単さ!、、”女のカン”だよ!!解らない時はこれで良い!!特に理由は無いからこれ以上は突っ込まないで欲しい!!」
「はぁ、『直観』は『直感』みたいに感じるわけじゃないですしね…」
と返す秋穂は自分の質問を恥じる…飯吹の声が大きい為だ…
そんな話をしているうちに勝也達は予定の撮影を終わらせていた。
今は凪乃も一緒になって巨大遊具で遊んでいる。
「よし!私たちも童心に帰って、巨大滑り台で遊ぼう!!」
と提案する飯吹は捉え所がない、自由気ままな女性だった…
『いえ…私は見てるだけで…恥ずかしい…ですし…』と答え、飯吹にただをこねられるのは言うまでもない。
不(ry




