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力の使い方  作者: やす
三年の夏
459/474

#458~力の国のルール~


『……ガッ、ガッ、ガッ……』

薄暗い中、とある私服集団……と、その集団の前をバトルスーツにマントを羽織る者が一人で歩いている。

『……カッ、』「ふむ……」

その集団の先頭を歩いていたバトルスーツは立ち止まり、あごに手を当てて周囲を見渡していた。

「……皆さま、ココで一つ、言っておきたい事があります」

そのバトルスーツは、七色に光る目元を含む顔上半分を隠す薄透明なシールドをこれまで歩いていた方向の後ろに向けるのは”第六警備隊隊長”である。

「「「「「……」」」」」「……聞きましょう」

そんな目元を隠す者からの突然の言葉に、聞く姿勢で応えるのは男数人に女が一人の私服集団だ。

一人だけ声を返すのは、つり目がきついボサボサ髪の女性である。


「では……これより先は”採掘場”です。この”開発拠点”の最深部は今も尚掘り進んでいて”開発している現場”となりますが、皆さんはここでの”排せつ”行為が全面的に禁止となります。」

「”排泄”?」

どうやらボサボサ頭のつり目女性・雷銅は一人だけでだが”第六警備隊隊長”の説明に言葉を返して反応するらしい。

「ええ……身体から液体等を出す行為全てが禁止です。便や尿、唾液、唾等も含む、いかなる体液でも地面に落としてはいけません。」

「なるほど……」

そこで雷銅は”第六警備隊隊長”が先ほどの空間で言った言葉に納得した様子だ。

彼女等はこの地下洞窟・”開発拠点”に入って多少進んだ所にあったトイレのある空間、今思えば”休憩エリア”然としていた所に寄った時、”第六警備隊隊長”は『トイレで捻り出してでも全てを出し切れ』と言っていた。

突然の言葉に彼女彼等は驚いていたが、結構歩いて来た最深部はそこらの物陰で排泄等が出来ず、またその言葉振りからしてトイレも置かれてはないらしい。

「……考えてもみれば、地下に進む洞窟、しかもかなり低い場所に向かう構造で、それほど横にスペースが無い立地だとすると、汚水等の下水管が上手く置けたり、機能しないのかもしれませんね」

雷銅は一人納得する様にして小さな独り言をつぶやいていた。

「はい……”輪の国”の”六ツ子島”では、六つの島すべての汚水を”ホ島”の地下処理場に送っています。そこで化学処理を施した後に一部を海に放流して、残りを色々な事に有効利用しています。ですので、ここ”二島”の”開発拠点”ではある程度の深さからトイレが設置出来ていません」

”第六警備隊隊長”は事も無げに”輪の国”の下水関連の事を話してくれている様子だ。

「また……衛生管理の一環として、”この辺り”では怪我等の流血は出来るだけ控える様にしています。」

「「「「「「……」」」」」」

雷銅達は特に言葉を差し込む事無く聞いている。一種の独壇場だ。

「よって……この場以降の”生物への暴力行為”は絶対厳禁とします。貴方がたが暴力行為を行おうとした瞬間に、自分が”対処”しますので気を付けてください」


「「「「「「……」」」」」」

これには雷銅達でもすぐに返事が出来なかった。

まさか、感染病?等を防ぐ為に行動を制限されるとは……

いやいや、考えてみると、今の”第六警備隊隊長”の言葉は少しだけ矛盾している。

つまり、雷銅達の誰かが暴力行為を行おうとした時に、”第六警備隊隊長”が先に対処して暴力行為を停めてくると言う事だ。

流石に『今、暴力を振るおうとしたから先に貴方を殴ります。でも仕方がないよね?』と言ういちゃもんは付けてこないとは思うのだが……


「「「「「「……」」」」」」『……ダガッ、ダガッ、ダガッ、ダガッ、ダガッ……』

雷銅達が”第六警備隊隊長”の方を何とはなしに見ていると、その背後から何やら足音らしい……いや、足が短いのだろう四足動物らしい足音が聞こえて来ていた。

「なっ!」「二匹?」「ぬぅ!」「ねぇ!?あれってまさか?!」「登って?……いや、こっちに来てるぞ?」

「……」

雷銅達の視線の先、”第六警備隊隊長”の背後から、二島の四足動物が駆けて来ていた。

『……ダガッ、ダガッ、「ぐぅっ!」ダッ、ダッ、ダッ……』

「早いっ!」「ひっ!?デっ、デカいっ?!」「ふん……もしかしたら……”そういう”事なのか?」「へっ……そういう事ならっ!?」「ばうっばうっ!」「あっ……」

「……」

雷銅はずっと視線を向けているだけだが、他の法力警察官である男達はその”四足動物”を見てざわめきだっていた。

彼等の前方からは二頭の白い大型犬……いや、銀色の毛並みの狼らしい動物が雷銅等、特に”第六警備隊隊長”の姿を見つけて加速体制に入ってみるみる近づいて来ている……


「はぁ……待て……」

”第六警備隊隊長”はため息らしい息を吐いたのちに、動かない様に手を挙げながら振り返って、雷銅達と同じく二頭の動物を前方にして顔を向けて相対している。

「ぐるぐぐぐ……がぅ!」

その二頭の狼らしい獣は口を開いてよだれを垂らしつつ、”第六警備隊隊長”に襲いかかろうと、その(あぎと)を開けた!

あ、すみません……昨日(8/13)は小袋怪獣行けの共同体の日でしたね……

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