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力の使い方  作者: やす
三年の夏
446/474

#445~力の国でのやらねばならぬ事~

遅れました……

昨日(6/25)は小袋怪獣行けの共同体の日でしたね……

一頭竜(粗暴)怪獣でした……林檎アカウントがなぜか途中からログイン出来ずに……(以下略


「……」「ギギィ……ガタン!」

ごわごわ髪の黒髪ショート、きつめなつり目の女性が扉を開けて、部屋から出ると後ろ手で扉を閉める。


「あぁ……おはようございます。今日はどうされますか?」

そんな見目麗しい女性の死角、一歩進んだ先の横合いから、右手を左胸に当てて頭をさげながら言葉を出すのは綿パンにTシャツ、その上にバトルスーツとマントを羽織る者が声をかけていた。

その声の主はヘルメットを頭に付けていて、目元は七色に光るシールドで隠している。

口元はそのままなのでハッキリと見えるが、紅をさしている訳ではなく、薄いピンク色でしっとりとした質感がある。

なるほど詳しく見れば口元が”女性らしい”と言えば女性らしいが、言動をだけを見ると些かガサツな所や固い所があって男性らしくも見え、総評すると中性らしい雰囲気がある。

いや、声をかけられているごわ髪黒ショートなつり目女性である雷銅は声をかけてきた相手が”女性”なのを知る数少ない者なのだが、その今予定を聞いてきた相手は生半可な男性では相手にもならない力量を持っているのを知っているが為に、一歩引いた距離感で言葉を返す。

「……ですから、”そう”私の死角から突然声をかけてくるのは止めてください。……これでも”咄嗟の事”に手を出さない様にするのに結構神経を使っているので。」

「ふむ……それは、どうも申し訳ありません。それで、今日はどのように?」

バトルスーツにマントを羽織る者・”第六警備隊隊長”は、雷銅のうろんな者へ向ける目を感じさせない様にして疑問の言葉を繰り返す。


「はぁ…………勿論今日も昨日と同じです。……と言うより、良いんですか?……確か、”第六警備隊”は”へ島”を警備するのが仕事なんですよね?……もう”一週間は”私達と行動を共にしているそうですが?」

雷銅はため息を吐いてから”第六警備隊隊長”へ抗議交じりに不満を漏らす。

「あぁ……なるほどなるほど、自分たちの心配をして下さりますか……では説明を致しますが、”第六警備隊”はこれでも意外と大所帯でして、”貴方達”と行動を共にしている”我々は”これでも”第六警備隊”の極一部です。なので”へ島の警備”に関しては何も問題ありません。……ですが、ご安心ください。貴方達と行動を共にしている我々は精鋭と言える者達なので、今は”貴方がたの警備隊”と言っても過言ではありません。」

「そうですか……」

”第六警備隊隊長”の言葉を誤解する事無く読み取った雷銅は構わずに歩き出す。

曰く、彼等の仕事は今現在、雷銅達法力警察官等を監視する事で、今は別行動をしている法力警察官等、具体的には塩谷、鎌谷、橋元、小松、坂巻の五人も雷銅の傍にいるバトルスーツと同様に、行動を共にしていると言う事だ。

法力警察官に支給されている携帯電話は特殊な通信機器で、相互に通信ができる。

いわば携帯電話と言うよりも、無線機の代わりが出来るのだ。

簡単に言えば雷銅達は圏外でも近くにいれば通話できる代物なのだが、こうもべったり”第六警備隊隊長”につき纏われては彼等と情報共有もままならない。


『ググッ……』

雷銅は”第六警備隊隊長”とのやり取りに構わらず、進行方向にある扉を押して開き、外に出る。

「……」

”第六警備隊隊長”も雷銅を制止する事もなく彼女に付き従って扉を潜りぬけていた。


雷銅が泊まっていた宿泊施設は『”ロ島”第三コテージ(四階)』だ。建物としては割かし小ぶりだが、高さがある建物で、1つの階を借りるたぐいの宿泊施設である。

げに恐ろしきは七階まである”ロ島”第三コテージだが、各階に出入り口があり、一階一階を個別に貸す営業形態である事だ。

各階を繋ぐ階段等はなく、それぞれの階が独立した宿泊施設になっている。

彼女が泊まっていた空間には大きなベッドが一つあるだけだが人が寝ころべるソファも一つあり、大きなベッドに二人、ソファに一人、固い床に雑魚寝すればもう一人、計四人は無理をすれば寝る事が出来る空間となっている。


「……」「……」

雷銅と”第六警備隊隊長”は黙々と足を進め、隣の建物に入っていく。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―


『……ガッガッガッ……』『……ザッ、ザッ、ザッ……』「はぁ……」

とある場所にはとある建物が建っている……

そこに、一人の男が訪れて、その建物の中に入ると靴を脱いでその空間に腰を下ろす。

『……ザッザッザッ……』「にゃ?!雄二にゃ!?」

「……みゃごろ?」

そして遅れてもう一人の男がその建物に訪れて先の男へ言葉を投げかけていた。

……いや、その建物は”建っている”と言うよりも”立っている”と言える。


「にゃ~雄二もついに土旗に住むとはにゃ~」

「うん……」

そう、その”とある場所”とは清虹市の中でも北に位置する地域で、比較的に一軒家が多く、清虹市の中でも全体的に平均して富裕層が多い区画となる。

『……ガッガッガッ……』

「……まぁ、土旗に住むとは言っても……自分の力でとは言えないし……」

「いやいや『……ガッガッガッ……』って事だにゃ~うらやましい限りにゃ!」

「……」

また、彼らが今いるのは清虹市の中でも最北端に位置する土旗地域、中でもその端にある空地である。

『……ガッガッガッ……』

いやいや、もう既にそこは空地とは言えない。また”空地”と言うには元から構造物があり、もっと言えば人が時折集まっては”ナニ”かをしていく様な場所でもあった。

「……いやみゃごろだって『……ガッガッガッ……』だろ?」

「にゃ?にゃんて言ってるかさっぱりだにゃ!もう一回言うにゃ!」

土旗地域の端にある区画、岩や土が見られる区画の一角で、少し前までは”山篭り道場”と呼ばれていた場所で平岩雄二と三夜五郎は工事の音にまみれながらも会話を繰り広げている。


「うん、『……ガッガッガッ……』みゃごろも”ここに”住むつもりなんだろ?なら「にゃにゃ!見くびって貰っちゃ駄目にゃ!俺も流石に新婚さんの邪魔はしないにゃ!俺達は”にゃにゃからいいにゃい”にそのまま住み続けるにゃ!」なっ、そうは『……ガッガッガッ……』っ、そうは言っても……はぁ……」

不定期に鳴る工事の音に、平岩は喋るのを邪魔されつつも話し続ける。


「……”飯吹さん”には困ったモンだよ『……ガッガッガッ……』まさか、ココに住み着いてた人も何とかしてほしいって……」

「にゃにゃ?でも聞いた話では『……ガッガッガッ……』って話しだにゃ?まぁ、本当の話しなのかどうかは知らにゃいけど、本当の話しにゃら可哀そうにゃ」

「う『……ガッガッガッ……』……うん、それはそうだけど……はぁ……なんで”あの人達”の面倒を見なきゃならないんだ……」

平岩とみゃごろは工事の音にも負けずにその場に居座り、話し合いを続けている。

「そういえば……カナちゃんは『……ガッガッガッ……』雄二は聞いているのかにゃん?」

「……うん?いぶ『……ガッガッガッ……』……彼女は今、清虹にいるよ。この前も言ったけど……山河くんとこの前ばったり会っちゃって……”彼に”その時誘われたらしいんだけど……」

平岩は先日、ブライダルショップで再開した旧友、山河(やまかわ)太郎(たろう)とのゴタゴタを思い出す……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―


「貴方がたの対応を先ほどまでしておりました者から少し聞きましたが、何か技術的な催しをするとかしないとか……と言う話でしたが……そのお話しについて、お伺え出来ますか?」

グレーのスーツを着る男性は平岩と飯吹に……特に飯吹に目を向けて話しを要求している。

「……?」

しかし飯吹は”なんのこっちゃ?”と言う顔で平岩に目を向けるだけだ。

「はぁ……雄二くん……うちの担当に”ちょっかい”をかけるのは止めて欲しいんだけど……君ももう、良い大人なんだろう?そうやって女性に”声をかける”のは……君の”昔の友人として”は黙ってはいられないよ?」

「……?」

グレーのスーツを着る男性・山河は平岩に”昔の友人”と言う関係性で一言モノ申す様にしている。


「いや……その……自分は”清虹市の発展の為の興行補助金”と言ったんです。さっきまで対応してくれていた女性は少し、勘違いをされている様です。その………………市が出してくれる補助金の事でして……」

平岩は山河に何かを言おうとするが、それを一端は止めて、ズボンのポケットから携帯端末を取り出すと軽く操作してみせてその画面を山河に向け見せる。


「ん?”興行”?……あぁ!”今回は”そういう手を使うのか……」

山河は平岩が差しだしてきた携帯端末の画面を一瞥すると、含みを持った様な顔をして鋭い目をむける。


「…………飯吹さんでしたか?「はい?」当店を利用されるお客様にこんな事を言うのは本来……駄目なんですか……この”ご結婚”を今一度考えなおされてみては如何ですか?」

「え?」

山河は飯吹に申し訳なさそうな顔を見せたあと、困り顔の中に一瞬だけ邪悪な笑みを浮かべながら飯吹に提案する。

飯吹もまさか、ブライダルショップの店員から『結婚を考えなおせ』と言われるとは思ってもいなかったらしく、驚き顔だ。


「実は私、”この”男に以前、裏切られまして……その時……まぁ、大学時代なんですけど、その時に交際していた女性と……私の大学での”成績”を盗まれましてね……」

「えぇ!?本当なの?」

山河の言葉を聞いた飯吹は愕然として、その話を信じられていない。

「……っく、」

また、彼女から視線を向けられた平岩は苦虫を噛み潰す様にして口を閉ざしている。

「えぇ?!そんな事って!?ぇえ??」

飯吹はそんな平岩の顔を見て、”全てを察した”様にして尚も平岩を凝視し始めていた。


「えぇ?!本当の話しなの?ほんとうの話しなら」「まぁ、貴女には信じられない事だとは思いますが……良ければ今度お食事にでも行きませんか?”そこら辺”の話しも”貴女は”聞かなければいけないでしょう?……私としては”これ以上”彼の被害者を出す訳にはいきません。”当時を”知る者としては新たな犠牲者を出さない様にするのがせめてもの罪滅ぼしだと考えているのでね。」

飯吹は平岩に話しを聞こうと言葉を続けようとするのだが……山河は飯吹に気を回す様にして殊更優しく話しかけ、”これ以上平岩と話しをするな”と言わんばかりに場の空気を形作っていた。

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