#443~力の国のこれから~
「「「「「……っ」」……」」」
六つの島からなる”輪の国”の中でも真西に位置する島で、雷銅達は大柄なバトルスーツ男から顔と声を向けられても特に喋ろうとはしない。
「”第一”……ここまで来れたと言う事は……いえ、自分から報告します……」「ふんっ」
雷銅達をココまで先導してくれたバトルスーツを着て目元を隠す者、、実は女性である”第六警備隊隊長”が雷銅達に声を向けた大柄なバトルスーツ男に対応する。
”第六警備隊隊長”は彼を”第一”と呼んでいるが……彼は雷銅達が特に返事をせず、”第六警備隊隊長”が声をかけて来た事で期限を損ねたのか雷銅以下私服姿の法力警察官達を小馬鹿にする様にして鼻をならしていた。
「……”彼女等”は”政治部”が把握して身柄に責任を持ちます。”その報告”は既にさし上げていますが……」
”第六警備隊隊長”は大柄バトルスーツ男を非難する様にして声を続けている。
曰く、”既に報告は行っているだろう?”と。
「”第六警備隊隊長”ともあろう者が”政治部”などの言葉を信じるのか?」
大柄バトルスーツ男としては”第六警備隊隊長”と言うよりは”政治部”や雷銅達に食って掛かりたいらしい。
「「「「「……」」」」」
雷銅達としてはひとまずとして、静観する構えの様だ。
「……あら?……ではこちらとしても言わせて貰いますが、”第一警備隊隊長”若しくは”軍事部のトップ”であろう貴方が、未だにそんな事を言っているのですか?」
”第六警備隊隊長”は、大柄バトルスーツ男あらため”第一警備隊隊長”の言葉を聞いて落胆した様な声を出す。”第六警備隊隊長”はこの時だけは、らしくもなく女性らしい声色だ。
実は”第六警備隊隊長”はヘルメットをかぶり、目元を隠している状態だと女らしさを排して一見すると男らしく振舞っていたのだが……それに気づいた者は皆無かもしれない……そんな態度を取っている。
「と、ともかくだ……コチラとしては”そんな報告”は見ていない。よって、”この者”達の通行は貴様等”第六”一行が同行するとしても到底認められん。」
”第一警備隊隊長”は”第六警備隊隊長”が言葉を尽くしても最後は突き放す様にして雷銅達の通行を阻止している。
「はぁ……では”二級”の”第六警備隊隊長”として進言します。自分の”報告”を今からでも確認して来てください」
「っ、聞くが、自分がココから離れたら”第二”は「はぁ……勿論ですが、”第一”に構わず、”彼女等”を連れて”ロ島”に向かいます」ちっ……」
どうやら”第六警備隊隊長”は”第一警備隊隊長”をこの場から遠ざけて、その隙にこの場・”イ島”の前を通過する様にして移動するつもりらしい。
”第一警備隊隊長”の言葉を遮る様にして”第六警備隊隊長”は言葉を重ねてそうする事を宣言している。”第一警備隊隊長”はその宣言を聞いて舌打ちして口元を歪めている。
「……聞くが、その”報告”とやらは”それだけ”か?」
「えぇ……まぁ、それ以外は特に……」
”第一警備隊隊長”は”第六警備隊隊長”の”報告”の内容を聞き、”第六警備隊隊長”はそれを認める様にして言葉を返している。
「なっ、ならば、わざわざ”報告”を確認するまでもない。「あぁ?」いや、待て……別に”第六”の言葉を蔑ろにしている訳ではない、その者達の通行を黙認する」
どうやら”第一警備隊隊長”は”第六警備隊隊長”の行動、雷銅達法力警察官達が”ロ島”に向かうのに異を唱えない様だ。
「では……時間を取らせてしまって申し訳ありません。”話し”は付けましたのでこれからすぐにでも”ロ島”に向かいます。今度は時間も掛かりませんので」
「「「「「……」」」」ええ……」
こうして、雷銅達は輪の国の中でも北西に位置する島・”ロ島”に向かう。
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「えっ?……や、山籠もり道場?……とは……」「?」
平岩は飯吹の言葉を聞いてもイマイチ理解していない。
「えっ……いや、だから、それって……場所は土旗の道場で……」
飯吹はその道場の主、高山と一応は旧知の中だ。流石に無視は出来ない様だ。
「……一応、ココは土旗にある開発されていない大きな”あき地”となります。……まぁココが開発されていないかったのは……その……”防人部隊”の人が管理していた土地で、その人が知人の男性に譲ったそうですが……登記や税金が払えないって事で競売にかけられていたんですが……土地が大きいのと、既に建造物があったので分割も出来なかったそうで……まぁ、飯吹さんの資金を頼るのは申し訳なかったんですが……その……”ここは”辞めた方が良いですか?」
平岩も平岩で後ろめたい事があるらしく、飯吹が声をあげて言及してきた事に戸惑いの声をあげている。
「……いっ、いやぁ……そりゃぁ、家に関しては”条件さえ良ければ好きにしても良い”って言ったけど……」
飯吹は飯吹で平岩にお任せしていた様子だ。
「あのぅ……良ければ”コチラ”でも場所をご提案出来ますけど……」
ココでブライダルショップの女性が平岩と飯吹の会話に割り込んで提供できるサービスの営業を行う。
「……ぁ!、じゃあさ、”ココ”で良いんだけど、”コレ”をそのまま残す形で家を建てられない?それなら全然良いよ!」
なんと、飯吹は空中に指で円を描く様にしてそんな言葉を並べている。
曰く、”山篭り道場”の周りに家を建てると言うのだ。
「ま、まぁ……施工を頼む”ゴルドラ”にそれが可能かどうか聞いてみるぐらいは……」
平岩は言う。彼はどうやら是が非でも土旗に居を構えたいらしい。




