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力の使い方  作者: やす
三年の夏
443/474

#442~力の国の行く先に~


「「「「「……」」」」」『……カタッカタッ、カタッ……』

雷銅達はトンネルチックな様相を呈している通路、海上通路を歩いてはや一時間程が経過している。

途中、道なりに右に曲がったり左に曲がったり、通路の天井、恐らくは電気であろう明かりが点滅したり、向かう先が暗くなったり、後方の明かりが消えたりと、”もういい加減にしてくれ”と誰かが言いそうな頃だった。


「……だぁかぁらぁ!そういう事じゃねーんだって!……、……はぁ?何が”そう”じゃねーんだよ?……、……いや、さっきお前が”そう”言ってたぞ?……、……はっ、はぁ?知らねぇよ!……、……お前はいつもいつも”そんな”じゃねーか!……、……まぁ、待て待て、”お前さん”がそう言うのはいつもの事だ。つまりは……、……はぁ?!俺が悪ぃってか!……、……はぁ……少し黙れ……、……う゛っ!……悪ぃ……」

雷銅達の歩く先、前方では”第六警備隊”の面々が”ギャーギャー”と(やかま)しい雰囲気で歩いていた。

もう雷銅達を案内している事を忘れているのではないかと言った様子だ。

だかしかし、”第六警備隊隊長”はそんな面々に聞こえる様にして盛大にため息を吐いて、彼等”第六警備隊”の(うるさ)い者を(いさ)めている。

「「「「「……」」」」」『……カタッカタッ、カタッ……』

雷銅達はそんな”第六警備隊”の人情味溢れる様子に、何も言えない顔をして黙々と歩みを進めていた。


「……ちっ!……やっとですか、だけど、、、これだけ時間を掛けると言う事は……」『……カタッカタッ、カタッ』

”第六警備隊隊長”は独り、前方に視線を向けて何かに気付くと舌打ちをしてから独り言と一緒にその歩みを止める。


「「「「「……っ」」」」」『……カタッカタッ、カタッ』

そして、”第六警備隊”が歩みを止めるのと同時に雷銅達法力警察官達もその歩みを止めた。


「……はぁ……お待たせいたしました。準備が整った様です。”こちら”にお進みください。」

”第六警備隊隊長”は人知れずにため息を吐いてから通路の壁を手で指し示しながら横に歩き出す。


『ガゴッ』

”第六警備隊隊長”は海上通路の横にある壁の一点を押すと、その壁は崩れ、その先に人一人が通れる様な道が出来上がる。

「「「「「っ……」」」」」

雷銅ら法力警察官達は苦虫を噛み潰す様にして渋面を作り、その様子を見ている。

どうやら海上通路は見た目には分かりづらい様にして婉曲していたらしく、また通路を明暗させて無限回廊の如く、同じ所をぐるぐると歩かされていたらしい。

”へ島”から見えた”イ島”までの距離は近く、精々で二・三十分で歩いて行ける所にあったのだが、既に方向感覚等は狂わされていたらしい。

「「「「「……」」」」」『……カタッカタッ、カタッ』

雷銅達は”第六警備隊隊長”が指し示す小さな横道を歩いて行く。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―


「ではまず始めに、どの様な式を挙げようと考えていらっしゃいますか?」

受付にある椅子に腰を据えて、その店の店員である女性は飯吹に向けて質問を投げかける。

「いやぁ……特には何も考えてなくて……その……ほら、”この人”の”良い様に”したいってだけなんです。」

飯吹は隣に座る男性・平岩を”この人”呼ばわりして話の主導権を譲った。


「ええっと……では、どのような式を考えていますか?例えば、教会式だったり、神前式だったり、仏前式だったり……と宗教の兼ね合いもありますし、それとも平岩さんだと人前式として宗教とは関係のない結婚式を選んだ方がよろしいですか?」

受付の奥側、従業員側の女性は平岩に結婚式のタイプを聞いた。

清虹市の中央に位置するこの店ならどんなタイプでも行えるのだろう口振りだ。

平岩が清虹市の市長職に準じている事から当たりを付けて話しをしている。


「……いえ、ええっと……”ここ”ではスキルのある人員とかを派遣してくれると聞いて……その……」

対して……と言うより、この場では平岩のみが浮かない顔でポツポツと喋り出す。誰が見ても乗りきではない様子が見て取れた。

「ええっと……あ、もしかして、ご自身で結婚式を開催しようと思われてますか?」

受付女性は平岩の態度とその言葉からある程度の予測を立てている様子だ。

宗教とは無縁の人前式を行う際は特別に用意しなければならない人材も比較的には少なく、また自分たちだけで行える可能性が高い。

「……まぁ、そんな感じでして……」

平岩は悪い企みが看破された者の様にして縮こまって女性の言葉を肯定する。

「ええっと……だとしても、ご自分たちだけで結婚式を行うのはあまりおススメ出来ません。ちなみにですが、どのぐらいの人数をどこにご招待して結婚式を行う予定ですか?」

女性は平岩の態度を見たからだが、平岩を”結婚式を蔑ろにするタイプの人間”と切って捨てて若干だが攻める様な声で話しを進めていた。

「……人数は決めてませんが……その、多分……入れようと思えば千人は余裕を持って入れられる場所で結婚式を行う予定です……」

「ええっと……もう場所は決めてる訳ですね?……もしよろしければ、コチラの方でも同じだけ人を呼べる場所を手配しますので……今予定されている場所を教えて頂けますか?」

受付の女性は平岩に敵愾心を持っていると言っても過言ではない様子で平岩に相対している。


「……あき地のような所で……”今は”何か建ってるそうですけど、ゆくゆくは自分たちが住む予定の場所です。住所は確か、土旗のはずれの方で……」

平岩は壊れたロボットの様にのそのそと動いて携帯端末を取り出し、受付女性にその画面を見せる。


「あぁ……そういえば、まだドコで”するか”見てなかったね……」

また、どうやら飯吹も場所はまだ知らなかったらしく、平岩の出した携帯端末を覗き込む。

「……って!あっ……”ここ”……」「っ!」「?」

飯吹が画面を覗き込む。平岩の携帯端末には地図と実際の場所の写真が表示されていて、”その場所”は飯吹も知っている場所だった。もっと言うと少し前に訪れた場所である。

また、平岩は飯吹の言葉に反応したのか彼女の方を見つめ、受付女性は意味が解らずに困惑顔を覗かせていた。


平岩が見せる携帯端末の画面には土の地面に岩の様な物が置かれ、写真の中の手前側はポストが地面に刺さっている画像だ。

その”ポスト”は携帯端末の画面から見ても分かる程に、ボロボロで、中に入っているモノが外からでも見える様な代物だが……

「……”山篭り道場”じゃん!」

そう、飯吹は知っている。そのボストには以前、板が突き刺さっていて、そこには『山篭り道場』と書かれていたハズだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―


「よくここまで来たれたモノだな」

「「「「「……」」」」」

雷銅達が”第六警備隊隊長”の先導で着いた場所は、立派な門構えをしている所だ。

そこには大柄な男がバトルスーツに身を包み、マントをたなびかせて彼女達の来訪を待っていた。


小袋怪獣行けでは”行け!祭り2022”が今日・明日と今日(6/4)から開催されましたね。

有料イベントですが……

ゲッツイロチ、高個体!!

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