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力の使い方  作者: やす
三年の春
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#43~力の討伐~

黒ジャージ男達が逃走を始めた頃に現場に着いた者が独り。

空に浮遊している者はしびれを切らし、いつ現場に介入をするかのタイミングを考え始める。

同僚(・・)からの救援要請が入っていた(・・・)から気付いたが、事件の処理に際して、『言い訳』を考えていたからでもある。


もっとも、標的(・・)として付け狙っていた本星(・・)は南東方面からくる、『真空の鳥』の対処をしていた為に、みすみす逃がしてしまった。

…『真空の鳥』が今は来ない事を見ると、このまま黒ジャージ男を逃がせば狙撃はされないらしい、空に浮かぶ者は自分の未熟さに恥じ、フラストレーションが溜まりにたまっている…

それもあって地上にいる同僚(・・)の健闘は、意味の無い動作としてしか見えていない。


そこには地上の法力警官とは別の出で立ち(・・・・・・)をした法力警官(・・・・)が浮かんでいる。


背中から延びるポールには『キューン…』と高速回転をするプロペラ羽が取り付けられ、仮面は細身を増し、近寄りがたい雰囲気を纏っていた。


『弓使い』が危惧した奴ら(・・)は、正確にはこの空から俯瞰している者に当てていた。

さらに、言えば、勝也が前に抱いた感想、『巷で黒いうわさが絶えない』というのも、正確にはこの者達だった。




神田先生を最後尾に児童は魔人に背を向けて逃げている。

今は何処かに姿を消していた双子の山郷兄妹も一緒だ。

勝也が後ろを見ても魔人の姿は見えず、あと少し走れば森を抜けてコンクリートの道路が見えて来る。


『あっ、』

すると何かの拍子に『ズデン!』と転ぶ春香。

勝也が春香を見ると顔は勿論の事、着ているジャージは元から染みていた水と土にまみれ、足を抑えている。地面は水にぬかるんでいた…


春香らしくないミスである…『もうやだ…』と春香は消沈顔を浮かべて苦悶をこぼす。


勝也は春香の状態を見て、ため息をつくと、振り帰って神田先生に言う。

「先生、春香を抱っこして行って下さい。足を挫いてます。俺が最後を走りますから。」

「しかし………そうだな…、あと少しだけ頼んだぞ、雨田。何かあったら大声で先生に言いなさい。」


追い掛ける姿が今は見えないのを良い事に、少し立ち止まった一同は勝也と先生の順番を入れ替えて走り出す…と勝也が早くも大声で言った。

「っ!来ます!木を倒して!速い!」

見えていなかった魔人はもはや人でな無い速さで走っている。

『ゴン、ゴン、ガサン!ジュー…』と邪魔な障害物をすべてなぎ倒して燃やしながら来ている。


『なっ…』『ぐず…』『ヤバ…』『早くー…』『七川、行くんだ!』『え…』

と一同は焦る…が、それをあざ笑う様にして進行方向を塞いで来る魔人。


逃げ惑うだけの追い掛けっこは春香の転倒で終止符を打つ。

もっとも、魔人が執拗に付け狙うのはなぜかは解らないが、春香なのが原因だが…


「ここまで来て…っ下がりなさい!…別の道を…」

神田先生が方向転換をして別の逃走経路を組み立てる。が、魔人は待ってはくれない。

「グァ…バーニ゛ン…」『すぅ…』

魔人が背中に背負う炎を揺らめかせ、手を引き絞る。逃走していた児童達は多くが諦めかけているが…


それに呼応して『水の(ウォータ)…』と、いつもは見せない、真剣な顔で対処する児童もいる…

……

……

『グ…』『真空の刃(バキュームブレード)!』

すると上空で機会を伺っていた、シルエットが大分細い者が颯爽と空から降下して来ると、『フッ…』と手を振りぬき、魔人を無力化(・・・)する。


純一は『…矢…(アロ…)』と唱えていたが、寸前で力を霧散させた。



先ほどとは違う身なりの法力警察官が勝也達に寄ってくる。

魔人は『ヴぁ……あ…』と背中の炎を無くすと気を失う様にして意識を失った。


『フン…お蔭で……面倒臭い…ん゛ッん!…私は見ての通り、法力警察の者です!お怪我はありませんか?……って、それより!…今、そちらの児童は法力を使おうとしていませんでしたか?……法力の使用をするからには免許証を見せてください!…無いんですか?…保護者か、身柄を預かっている方は………ああぁ!面倒だ……住民課のヤツ(・・)は何をしている!!』


身なりの違う法力警察官は先ほどの法力警察官とは違い、愛想が悪い。

何よりも性別が違った。

咳払いをすると定型文を言い、純一のとっさに発現しようとした法力を見咎めていたらしく、純一のオドオドした対応に苛立ちを見せている…

児童たちと神田先生はその法力警察官の態度と、あれほどの力を見せていた魔人を一刀の下に倒してみせた法力警察官に何も言えない…


そこに丁度良いタイミングで先程の法力警察官が現れる。

『…大丈夫ですか!…あれ?特別捜査課の『01(エース)』さん…特捜の方が何をしに…こんな所まで…』


先程の愛想がまだ良い、男の法力警察官が言うと、『01(エース)』と呼ばれた女性法力警察官は怒りをあらわにして応える。


『こんな所も何も”黒土仮面”の組織犯罪は我々の管轄です!住民課の方には『黒ジャージ・土仮面姿の不審人物』を見つけ次第、至急連絡の事。と対応要請を通達しているハズです!なぜ我々に通達する前に”普通の”応援要請をしているのですか!そもそも貴方達が……』


01(エース)』のお小言を『ま、まぁ後で…』と手で制する『住民課』の法力警察官は勝也達に向き直り、ことさら優しい声音で所々小さく話しかける。


『事件解決のご協力、ありがとうございます。この(・・)怖いお姉ちゃんは対応(・・)面倒(・・)なので、本官が独りで行います。ひとまず、今日の所はお帰り下さい。事情聴取は後日、署で行う様にお願いします。タクシーの手配をしましょうか?』

神田先生は『はぁ…お願いします…』と頼んでいる…春香は『あ、の…』と何か言いたそうだった…



清瀬小学校三年生の遠足は公園で起きた、”魔人乱闘事件”によって中断されてしまう。


この後公園に停まる車は三台。

・魔人を搬送する救急車

・法力警察官の呼んだタクシー

・春香の母、四期奥様の運転する自家用車

だった…


春香が密かに隠し持つ携帯電話(・・・・)で呼んだそうだ…

緊急連絡用に持っているらしい…



事件は通報を受けて駆けつけた法力警察官と

”偶然”居合わせた法力警察官が魔人を討伐する事で解決を見せる。



様々な思惑を巡らせる者達が関わった事件は終わった…


この事件を経て得たモノは

・勝也が水系最高難度の『水管理』を成功させた事実

・春香の持つ法力コントロール|『対象物の乗っ取り技能』の判明

・春香の携帯電話で『(パシ)ャ』と盗撮した、アマチ―が斉木茉奈にビンタされて紅葉型の怒り(・・)を叩きつけられている写真(・・)データである。

題名は勿論の事『春の出会いと別れ』、思い出(お笑い)アルバム』の一ページ目に飾られるのは言うまでもない。

不(ry

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