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力の使い方  作者: やす
三年の夏
423/474

#422~力の賞品~

明日(6/6)は小袋怪獣行けの共同体の日ですね。

時間は恒例の11時~17時までで、

11時~19時の間に陸サメ怪獣を最終進化させると大地の力を覚えるそうです。

怪獣を捕まえた時の経験値は三倍でおこうも延長されます。

陸サメ怪獣は原作でも最強の部類なので熱いイベントになるでしょう。

気温も高めなので、ともかく頑張れるだけ頑張ります。

まぁ、通信障害とかは避けられなさそうですがね……

ゲッツ、イロチ、高個体!


「ワイワイ……ガヤガヤ……

気虹市内で一番北にある小学校の清瀬小学校、そこでは二学期が始まっている。

児童だけでなく、老若男女の誰もが夏の気温にも慣れ、夜は肌寒い日もあるかもしれない時期だ。

清瀬小学校では先日、夏休み開けの登校日に始業式が行われていた。


……ワイワイ……『カチャカチャ……』……ガヤガヤ……

今、清瀬小学校は給食の時間である。

児童達は給食を楽しんでいる頃合いだ。


……ワイワイ……「あっ、あのっ……」……ガヤガヤ……

「んっ?……なに?」

勝也達のいる三年一組は給食の時間、班で机を寄せ合って、班のみんなで給食を食べる様にしている。

そこで、”とある男子児童”が、これまた”とある女子児童”に声をかけていた。


その”とある男子児童”の手には”容器”が所在している。

声をかけられた”とある女子児童”は”とある男子児童”に対してほんの少しだけ”棘のある”声を返していた。

ただし、”棘のある”とは言っても表面的には邪険にしている訳ではない程度である。

それを傍から見ている”男子児童”だけが解る程度の”小さな棘”だ。


「……こっ、”これっ”……」

その”とある男子児童”は、手に持つモノを”とある女子児童”に差し出している。

「”これ”が、なにっ?!」

今度こそその”とある女子児童”は険のある声で先を促す。


「……あのっ……”あのコート”を”盗ろう”として……ごめん……」

そう、その”とある男子児童”とは、夏休み前”とある女子児童”・春香が学校に着て来た雨具・”雨だ!レンジャー、晴れ女の濡れ女子雨具SET”を盗んだ児童だ。

彼はそのお詫びとして春に行われた学校行事・”清虹公園の春を見る”で一番票を獲得した特賞として渡されている”プリン”を献上している。


「うん……でも、謝ってくれただけで許してあげるから、”コレ”は別に良いよ。私こそ、貴方が”謝りもしなかった”から怒って”心にもない事を言っちゃったから”……それで許してあげる。」

春香は怒りに身を任せて”庶民にはこのコートを着る機会がないから貸してあげる”等と言った事を”心にもなかった事”として”お詫びプリン”を受け取らないつもりの様だ。


「……ぃ、いやっ、でもっ……調べたけど……あの”コート”の”葉っぱ”って直せないんでしょ?、、、だから親と相談して、、時間はかかるかもしれないけど……それでも……迷惑をかけたのは変わりないから、、”親から”も『”コート”は弁償して、何が何でも・何をしてでも許して貰え』って言われてて……」

どうやら彼は”コート”の惨状を覚えているらしい。モノが”10万・20万以上”はしていて、希少価値も高い。

そんなモノを”思いがけずに壊してしまった”と言うのならまだしも、”盗もうとして壊した”となれば弁償は当たり前だ。

また、相手は”あの”金山家のご令嬢である。もし金山家に目を付けられれば”彼の一家”はまともな人生を歩めなくなってしまう。

ゆえに彼の両親は『金山家から何か言ってくるまで待つ』と言う事が出来なかったのだ。

なにせ相手はあの金山家である。”子供のやった事だから”・”全額弁償します”で表面的に許されたとしても、今後は『夜道に気を付ける』様にしなければならない……


「……だからもう良いって!?”コート”も直っちゃったし……これ以上何もしなくて良いから!」

遂に春香は爆発する。

「……ぃゃ……でも……」

だが彼は”プリン”を差し出したまま粘ってしまう。

「っ!?いい加減にっ「春香お姉さまーん!」「「っ」!?」厘ちゃん!?」

春香はしつこく許しを()う者に再度怒りを露わにするのだが……

そこで、何処からともなく……ではなく、教室の出入り口から、勝也の妹である厘が現れた。


厘に反応するのは春香に勝也、そして教卓で給食を食べている神田教諭だ。他の三年一組の面子は”珍入者”に視線を向けるだけである。


「どっ、どうしたんだ?「厘っ?!」んっ?雨田……?」

神田教諭は給食時間に珍入してきた者に声をかけるのだが、その女児の面影と、教室内で反応を示した者から、すぐに”関係者”へ視線を向けている。


「あっ、すみません……俺の妹です。」

勝也はすぐに神田先生と教室の皆に謝罪して、”闖入者”を説明するのだが……

「はい、勝にぃ!」「あっ、あぁ……えっ?」

厘は勝也にノートを差し出して特に何か言おうとしていない。

ノートには一枚の紙が挟んである。


何かあったのだろうか?


「っ……」『ピラッ」

勝也はノートを開き、挟まれている紙に目を向ける。厘が給食時間に来る事等は初めての事だ。

別に厘の存在を隠す理由等は無いし、クラスメイトが物珍しく目を向けてくる事はどうでも良いが、厘が給食時間に勝也達のクラスまで来る事の理由に検討がついていない……

まさか、母澄玲や、父(まさる)の身に何かあったのだろうか?いや、だとしたら”厘に連絡”が行くのは不自然な気もするが……


「……えっ!?これっ……」

厘のノートに挟まれている紙を見て、ソコに書き込まれている文字を黙読する勝也は予想外の事に驚きの声をあげてしまう。


そこにはこう書き込まれていた。




『プリンを貰いに来ました。』


「……どういう事?」「春香お姉さまーん!プリン、貰って良いですか?」「うん、良いよ厘ちゃん!……コレ、私に”くれる”んだよね?」「うん……それで許してくれるのなら……」

こうして、厘は”清虹公園の春を見る”で一番票を獲得した班に送られる特賞・『一定期間、給食時にプリンを貰える』権利を”春香を介して”享受する事になる。



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