#420~力は競う~
『ピュ……テイクユアマークス…………プッ!』『ドンッ』『ドッ』『『ジャッパーン!』』『『ジャボン』ッ』『『バシッン』ッ!』
清虹市の水藻地域にある”総合体育館”、そこの”25mプール”では、プールのスタート台やプール内のスタート地点に人がいたりすると、自動的にスタートの合図が鳴り響く機能がある。
今、25mプールにある6レーンすべてで人が泳ぎ始めていた。
中でも”第一のコース”と”第二のコース”にいる者はスタート台から飛び込んだ訳ではなく、プールの中・スタート地点からスタート台の壁を水中から蹴って泳ぎ始めている。
『……ジャバジャバ「っ、」ジャバ!ジャバ!「っ、」ジャバ!……』
第一のコースで泳ぐのは小学生低学年頃だろう見た目の少年だ。黒い水泳ゴーグルを付けた顔を水面から出して泳いでいる。
『……ジャバジャバジャバ「っ、」ジャバジャバ「っ、」ジャバジャバ「っ、」ジャバ……』
第二のコースで泳ぐのは小学生低学年頃な見た目の少女だ。紫色の水泳ゴーグルをつけている顔を水中から出して気持ち速めに泳いでいる。
『……ジャバ!ジャバ!「っぷぉ」ジャバ!「っぷぉ」ジャバ!ジャバ!「っぷぉ」ジャバ!、バシャ!「っぷぉ」バシャ!……』
第三のコースで泳ぐのは見るからに成人している女性だ。豊満な身体を惜しげもなく”揺らし、黒色のビキニ水着と黒い水泳ゴーグルを水面から出して『バシャバシャ』と水をかき分けている。
『……ジャバ、ジャバ、ジャバ「っ」ジャバ、ジャバ、ジャバ、ジャバ「っ」ジャバ、ジャバ、ジャバ、ジャバ「っ」ジャバ、ジャバ、ジャバ、ジャバ「っ」ジャバ……』
第四のコースで泳ぐのは成人女性である。水泳帽から幾分か髪が出ていて、黄色く透明な水泳ゴーグルをつけている顔を水面から時折出してかなりのスピードで泳いでいる。
『……ジャバジャバジャバ「っ」ジャバジャバジャバ「っ」ジャバジャバジャバ「っ」ジャバジャバジャバ「っ」ジャバジャバジャバ「っ」ジャバジャバジャバ「っ」……』
第五のコースで泳ぐのは成人男性である。水泳帽や金色に光る水泳ゴーグルで全体像は分からない顔だが、顔が見えずとも、見るからにイケメンな顔立ちをしているのが解る男性だ。中々に早いスイミングである。
『……ジョバジョバ「、」ジョバジョバジョバ「、」ジョバジョバジョバ「、」ジョバジョバジョバ「、」ジョバジョバジョバ「、」ジョバジョバジョバ「、」ジョバジョバ……』
第六のコースで泳ぐのは小学生頃の男子である。水泳帽と青色に光る水泳ゴーグルの顔を時折だして息継ぎをしている少年だ。速度はかなりあるのだが、手足が短く、他の大人達に何とか追いつく様な速度である。
第一のコース・少年
第二のコース・少女
第三のコース・飯吹
第四のコース・雷銅
第五のコース・賢人
第六のコース・勝也
と言う面子で泳いでいる。
「あっ、勝にぃ、、」「うん……勝也、意外と泳ぐの速いじゃん……」「えっ、えっええ……勝也君……本当に泳ぐのが速いですね……」
「……なっ、勝也君、賢人さんに追いついてる?」「にゃ~雄二の見てた二人は凄い泳げる様になってるにゃー……」
『『『ガヤガヤ……「しちょーさん……」」』』』
そんな25mプールをプールサイドで眺めるのは厘に春香に凪乃、そして平岩と三夜の五人+三夜が泳ぎを教えていた少年少女達数人だ。
25mプールで今行われている泳ぎの順位で言えば
雷銅・賢人・勝也・少女・飯吹・少年……
と言った具合である。
雷銅・賢人・勝也の三人は混戦状態で、
少女・飯吹・少年がそのあとを追う様にしていて、
それぞれの集団内で追い越し追い越されが繰り返される様にして競っていた。
『……ッ』「……んあっ!」『……ッ』「……くっ」『……ッ』「……っ、はぁ、はぁ……」
「ぁ、終わった。」「……勝也は三位?、スゴイじゃん」「……いっ、いえっ、春香お嬢様?、、勝也君の年齢を考えたら……実質一位なのでは?」
「雷銅さん?……が一位ですね」「にゃー、、、賢人さんよりも早いって事は、雄二や俺といい勝負をしそうだにゃ!」
そして、25mプールの終着点である壁をタッチして顔を水面から出すのは黄色い透明な水泳ゴーグルをつける雷銅だ。
そんな一幕をプールサイドで見る厘、春香、凪乃は口々に勝也の健闘を称え、
平岩と三夜は一位を飾った雷銅を素直に褒めていた。また、三夜に至っては今25mプールの近くにいて、一番早いだろう平岩か自分との対戦を考える言葉を発している。
…………………………
……………………
………………
…………
……
その後、平岩・三夜・賢人・雷銅・勝也・凪乃の六人で泳ぐのだが、その”順位”や”泳ぐ様子”はどちらも熾烈を極める戦いとなるのだった。
こうして、勝也達・学生の夏休みは平和なウチに終わりを迎える。
そういえば今日(5/29)と明日(5/30)は
小袋怪獣行けで牛丼屋の特別週末期間でしたね。
事前に牛丼屋アプリを提示しつつ一定金額以上の利用をしなければ参加できませんが……




