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力の使い方  作者: やす
三年の夏
420/474

#419~力の再開~

『……ジャバジャバ「がっ!、、、」「……っ……ふむ……」ジャバ!「、、、っ、、」ジャバ!ジャバ!……』

『……ジャバ!ジャバ!「っぷ」ジャバ!「っぷ」ジャバ!ジャバ!「ぷぉ」ジャバ!、バシャ!「ぷぉ」バシャ!……』


「はい、次にょ子ー」

「はいっ!」『……ジャバジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバ……』

清虹市内の東側、水藻地域にある”総合体育館”、その中でも”25mプール”の”第一コース”と”第二コース”は今、一般利用が出来なくなっている。

”お兄さん”と言える様な 大柄男性・小柄男性 のイケメン男性二人が”先生”となって、小学校低学年程度の少年少女達に『水泳の特訓』を行っていた。


清虹市独自の相互扶助施策・『お手伝い』で、彼等は面識のない子供に”水泳教室”を開いている。

『お手伝い』を行う対価として”お駄賃”が支払われる。”お駄賃”はわずかばかりの資金や物資が支払われるモノだが、その”お手伝い”の最中に怪我や負傷・死亡事故が起きても『お手伝い』に関わる者はその責任を”その場に居合わせた者”・”監督する者”程度までしか負わなかったり、もしもの時には”代わりに市が保証してくれる”取り組みではない。


その為にも危険が伴う『お手伝い』は”総合体育館”等で行われたり、ソコまで危険を伴わない”『お手伝い』まで”が多数を占めている。

また、”お駄賃”は金額的にも”所得”とは言えない程度の金額なので”虹の子”に課せられている『稼いだお金の半分をそんな施設や団体の運転資金に収める』事にも見過ごされている。

つまり、”虹の子”達にとっての”お小遣い稼ぎ”程度の位置づけだ。


『……ジャバジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバ……』

しかし、その『お手伝い』には”保証”も無いので参加人数等の制限等が基本的には決められていない。

”お駄賃”を払う側の”一人頭”の金額は決められているが、一度の”お手伝い”を10人や20人から受けて、まとめると結構な金額を稼いでも基本的には問題は無いのだ。


『……ジャバジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバ……』

まぁ、”なんらかの事故”を懸念して、『お手伝い』を頼む方がそれを取り止めるので多くは”それほど稼げない”施策となっている。

『……ジャバジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバ……』


しかし、どんな事柄にも”例外”は付き物だ。

『……ジャバジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバジャバ!「、」ジャバッ』『トンッ!』

「にゃ『ジャバッ!』『ダッ、』はい、じゃあもうこれで良いかにゃー?最後にゃ皆一人一人が本気で泳いでタイムを計って貰うにゃよー!」


三夜は25mプール・第二のコースからひと思いに上がると第二のコースとその隣の第一のコースへ向けて声を張り上げた。

今日、みゃごろが取り付けた『お手伝い』の集大成を確認する為に、”最後の仕上がり”の確認を始める。


「っ『ジャボッ!』くっ、『ジャボジャボジャボジャボ、、、』

そんな三夜の声を聞いた第一のコースで泳ぎを教えていた男性も、プールの横からプールサイドに上がる。

「ゆうじ~、どうだったにゃ?結構泳げるようにゃにゃったかにゃ?」

「っ、えっ、ええ……一応……”形になった”と思います。」

三夜はプールサイドを移動して、『お手伝い』の助っ人を頼んだ平岩に首尾を確認すると、平岩は”上々”とだけ答えている。

「ふむふむにゃ、」

そう、これから三夜の言った通り、プールの中に未だにいる少年少女達(+女性一人)は本気で泳いでもらい、タイムを計って”どれだけ泳げる様になったか”確認を始めるのだ。


「じゃーすみませーん、タイムを記録するのに撮影をしたいんですけど、良いですかーー」

三夜はプールサイドを歩いて自分のだろうバックからビデオカメラを取り出すと、監視員に声を張り上げる。

「ぁ、はい。では……ん゛っ゛、”第一のコース”と”第二のコース”は一時的に撮影を許可します。周りの方はご注意してください。……では、どうぞ。」

監視員席に座っている男性は周りを見てから、監視員席の側面に付けられている白ボードに『第一・第二のコース撮影中』と書き込み、それが見える様にまた監視員席の側面に戻す。

プール内の撮影を一時的に認めて、回りにいる”他の者達へ”協力を求めていた。


プール内での撮影は、例えそれが”記録の為”とは言え、水着姿の撮影をよく思わない者がいる。

なのでプール内の撮影行為は全てNGなのだが、何か理由がある撮影が必要になる場面もある為にプールの監視員が”それらの”確認・許可と監視を”総合体育館のプール施設”は行っているのだ。

三夜が今回取り付けた”お手伝い”は泳げる子供達に”泳ぎの指導”をして、”泳ぐタイムを縮める”モノだ。

結果如何によって”お駄賃”の額が変わるモノとなっている。

また、こういった状況でなければプール内の”撮影”は基本的にされる事はない為に、”泳ぐ姿”を撮影したい親たちはこういった方法で映像の記録を残すのだ。


「……ふむふむ、そうか、君は自己流と言うか、お父さんとお母さんに泳ぎを習ったんだ?「えぇ、だから、そんなに泳げるワケじゃなくて……」んっ?撮影?」

「……あそこのウォータースライダーは駄目ですね……角度が急すぎです。「いやいや、それが良いんじゃないですかぁ」んっ?」

そんな折に、25mプールには二組の集団が訪れる。

一組は競泳水着と行楽用の海水パンツ等の様々なタイプの水着を着る集団で、いい歳をしたイケメン男性の大人がひとりが保護者なのだろう少年少女合わせて5人と、

もう一組は皆が競泳水着を着る、30頃の男性五人に女性が一人の、見るからに只者ではない6人だ。


「んっ!?雄二と……みゃごろ?!」

「あっ!?いっ、飯吹先輩!?」

一組は賢人と、その娘である春香に護衛役の凪乃、、そしてその友人である厘にその兄である勝也である。

もう一組は今日、思いがけずに休日となって泳ぎに来ている法力警察官のトップ集団・前線班の面子だ。


彼等、”保護者”と”隊長”は25mプールに見知った者を見つけて驚いている。

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