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力の使い方  作者: やす
三年の夏
408/474

#407~力のミス~


「「「「「「「「「……」」」」」」」」」

清敬高校の西、コンクリートで舗装され、水路となっている清虹川で何やら法力を発現させていた上下ジャージ姿な少年から青年と呼べる様な者達は、目の色を変えて訪れた女性を囲い始めていた。


「いっ、いいのかい?君たちはそれで?……ここで”何かする”予定だったのだろう?」

そんな言葉少なな至って普通な感じの上下ジャージ集団に対して口を開くのは茶色い浴衣を着こむ秋穂である。

先程まではジャージ集団と ある程度普通に言葉を交わしていたが、秋穂の言葉を聞いて幾分か真剣な面持ちで秋穂を中心にして距離を詰めていた。

「”何かする”前に”こんな”騒ぎを起こしても良いのかい?」

秋穂は気丈にも言葉を重ね、『”何か(工作)する”つもりならば、その”(たくら)み”は失敗するけど良いのか』と、暗に言っている。

もう秋穂は”ジャージ集団”を”仮面ジャージ集団”と決めつける様にして”自身の周りに集まる彼等に”言い聞かせていた。


「……ふっ、「風の(ウィンド)「「障壁(バリア)……」」」」『ブォン!ブォンブォンブォ……』

「っ……」

秋穂に近づくジャージ集団の、秋穂と面と向かっている先頭にいる者達以外が先に動く。

少し遠くにいるジャージ男達が、秋穂を取り囲むジャージ集団諸共、清虹川の近くを取り囲む様にして渦巻く風の壁を発現させたのだ。

「……そう来たか……」

どうやら彼等の動きは秋穂として見れば予想外の行動らしい。

これほどの規模の技を発現すれば、近くの者達は気付いて寄ってくるだろう。

また、秋穂が大声を出したとしても、そんなに遠くまで声が届かなくなってしまった。

さらに付け加えると、見ただけでは細かい所は不明だが、走って距離を開けるにもひと苦労する様になっているのかもしれない……

つまり、ジャージ集団は”多少人に見つかりやすくなったとしても、短期決戦”を挑んできた様だ。

『……ブォォォォ……』

まぁ、清敬高校にいる教師たちがもし異変を察知して来たら”暴力に慣れているであろう仮面ジャージの彼等”でも太刀打ちできないだろうから、”短期決戦”は、当たり前と言えば当たり前な判断なのかもしれない。


「……くっ……」「「「「……」」」」『『『『ジリッ』』』』

秋穂と数人のジャージ男達は、手を伸ばして一歩を踏み込めば手が届く距離にまで男達の方が詰め寄ってきている。


「……はっ!『ダッ!』「……「「「っ「「「!?」」」」」」『ギュゥ』いっ!?いででっ、いでででっ!」んっ?」

あと一歩詰め寄られると身動きが取れなくなる瞬間、先に動いたのは秋穂だ。

秋穂から見て右側から詰め寄って来た者の腕を、短い裂帛(れっぱく)と共に掴んで引き寄せてその腕を背中に回して他の者達に向けての盾にする。

ジャージ男は予想外の痛みで痛がっていた。


「っ!『ドシッ!』「いでぇ!?「なっ!?」「おっ、おいっ」」『ガタッ!』ふんっ!」

痛がるジャージ男には内心で肩透かしを食らう秋穂だが……もうこうなると途中では止まれない。

秋穂は続けて盾のお尻を膝で蹴り倒し、正面の男性諸共押し倒させる。

その間、他のジャージ男達は突然動き出した秋穂に呆気をとられて動けていない。

戦闘に関して言えば、ジャージ男達は驚くほどに素人だ。


「はっ!『フォォ』っく、”本命”はそっちか?!」

秋穂は手頃な所に手を前に出している者の手を掴もうと、その一歩を踏み出そうとするのだが……しかし、その一歩はやんわりと吹く風に押しとどめられてしまう。

どうやら秋穂の前に出てきている”彼ら”はさほど脅威ではない。むしろ”今の”様に適切な所で風を吹かせ、風系法力を発現させている者”だけ”が秋穂としては脅威だった。

秋穂の前に立ちふさがっている”者達”は陽動の”捨て駒”な感がある。

「っ……」「えっ?!こ、子供!?」

秋穂はそんな風系法力を発現させる者を探して、清虹川の向こう側に立つ”者”の背丈に気付いて少しだけ勢いを緩めてしまった。


秋穂の動きを阻害したり、風の(ウィンド)障壁(バリア)を張っている者は数人がかりでそれを実行しているらしいが、その1人は先程まで一緒にいた、春香や勝也、厘達程の背丈な少年だ。素顔もそれくらいな見た目で、心持ち凛々しい雰囲気がある。服装も他の者達と同様にジャージ上下を着ているのだが……


風の(ウィンド)(アロー)」『フォフォフォ……』「っ!?」

その”少年”はあろうことか、風系法力の攻撃技を発言する。

風が渦巻き、矢の様にして飛んでいく攻撃技だ。

今の秋穂としては対処に困る技である。

「くっ「フォフォフォ、、、フォン……」えっ?」「……」

秋穂は眉根を寄せて対処しようと身構えるも、風の矢は発現する前に掻き消えてしまう。どういう事か秋穂には予想も出来ていない。


「……水の(ウォーター)弾丸(バレット)」「っ!?」

しかし、続けて少年が発現した技は”水の弾丸”だった。確かに清虹川が”すぐそこに”流れているので”水の弾丸”ならば十分に発現出来るだろう。

『……ジョロジョロ……』と流れる清虹川は『……ジャバ!』っと音を立てて一滴の水が発射される。

”水の弾丸”は投擲技としての威力が桁違いな水系法力技だ。

「やばぃ!」

この技に関しては結構な難易度の技で、それに見合うだけの威力が保証されている。

”水の弾丸”は、土が近くにない現状で、避けなければ最悪命を落としかねないだろう……

『ビュン!』っと風切り音を鳴らす水の弾丸は、秋穂の胸に目掛けて飛翔する。


…………

……


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