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力の使い方  作者: やす
三年の夏
405/474

#404~力が選ぶモノ~


「そういえば…………うーん……「秋穂お嬢様、どうしましたか?」ぁ、いや、”清敬”って今日は”どうなってるか”知ってるかい?」

「え?高校ですよね?」

秋穂は、妹の春香がその友達の妹と抱き合っている頃、秋穂は”高校”に行こうと歩き出したのだが、数歩進んで何やら考え混んでいる。

そんな考え込む女性・茶色い浴衣 のお尻部分を眺めていた緑色の浴衣を着る女性・凪乃は、その”お尻”が前に進まない事から何事かと顔をあげて言葉を向けていた。

しかし秋穂から返された言葉は彼女であっても予想外の事だったらしく、他に答える事ができる学校がなくとも、目的地である学校の種類をわざわざ言って確認している。


清敬高校についてなにか知りたいとしても、つい十数日前までその高校へ教育実習の為に通っていた秋穂自身よりも凪乃は”清敬高校について”の情報を持っているのだろうか?いや、そんな事はないハズだ。


「えっと…………毎年清敬ではこの日、校庭で屋台の出店(でみせ)等が出ていると思います。今年も清敬は”市の広場”扱いで、”屋上を”花火スポットとして開放しているハズですが……」

凪乃は毎年の恒例行事として、”秋穂お嬢様も知っている事でしょう?”と言わんばかりに考えを述べる。


「あっ、いやっ、ごめんごめん、、、えっと、、”校庭でやってる屋台の種類”は”去年は”どうなってたか、覚えているかい?」

そんな風に凪乃が”貴女も知っての通りですけど?……”と言うのを聞いた秋穂は謝りながら聞きたい事を具体的に述べ直す。

どうやら秋穂は清敬高校の校庭で出店されている屋台の種類は”どうなってるか?”を聞いていたようだ。

しかも、”去年の話し”を聞きたいのならば、去年は生徒として通っていた凪乃に聞くのが一番であろう。

「っ、申し訳ありません……去年は”ホットドッグ屋んけ!”と”飲み物屋?”、”かき氷屋ん”、”焼きそば屋な!”が出店していました。」

そこで秋穂が聞いただけあって、凪乃は去年の今頃に清敬高校の校庭に出店されていた屋台をスラスラと答えている。


「そうか、と言う事は……今年は”飲み物を”用意して行った方が良いね。「っ、はい……”ホットドッグ”と”かき氷”、”焼きそば”は高校の校庭で調達できるハズです。」うん。じゃあ、ここで”飲み物”を買って行こう。みんな、自分が飲みたい飲み物を買ってから高校に行くよ。」

秋穂は最年長者としての自覚があるのか、それとも、少しの間でも清敬高生の面倒を教育実習生として見ていたからか、同行する者達に指示を出している。


これから向かう先の清敬高校は、”南の空に打ち上げられる花火が見えやすい”と言うだけでなく、食べ物の屋台が臨時的にいくつか出店されていて、そこでもお祭り気分で食べ物が買えるそうだ。

だが、彼女等の話しとは裏腹に”今年はそこで”飲み物を取り扱っていないらしく、ココ・土旗商店街で飲み物を調達してから行こうと言うらしい。


「あっ、はい、飲み物と言うと……コンビニ?とかで良いですよね?」「うん、良いんじゃないかな、コンビニに行こう。……」

勝也は秋穂の言葉をかみ砕き、これから向かう先に足を向けようとして、秋穂は勝也を先頭にして歩き出そうとしている。

この集団の司令官的なポジションにいる秋穂は勝也の提案を快諾して足を動かそうとしていた。

「ふっふーん!厘はそれよりももっといい所を知っているのです!春香お姉さまも!コッチです!」

「……んっ?そっちって?」「そちらは……」「デュフフ……」

しかし、厘に限っては兄の提案を蹴るらしく、勝也とは逆の方に向けて足を動かし始めていた。

秋穂はズンズン歩き出す厘に興味を惹かれて足を向け、凪乃はそんな秋穂の後ろ姿を見つめながら歩き、春香は手元の機械で被写体を見つめながら厘について行く……


「あれ?……そっちじゃ随分遠くに……」

勝也にしてみると厘の向かう先は想定外らしく、勝也の覚えている限りでは多少は遠い所にしか飲み物を買える店舗はなかった。


「ふふん!ココです!」「えっ?ココは?」「銭湯?」「……デュフフ……」「……んっ?!あぁ……」

そして、厘が四人を連れて来た所は凪乃が言う様に、土旗商店街に店舗を構える”猿の銭湯”だった。

お猿さんが湯に浸かり、頭の上に手ぬぐいを乗せている姿が目を引く看板が建物に描かれている。

勝也だけは厘の思惑を察していた。


「ココで色んな味の牛乳を買って行きましょう!”持ち出し”用にバッグもお金を預ける事で無料で貸し出ししてくれます!」

「あっあぁ……そういえばそんな物もあった……かな?」「なるほど……」「……デュフフ……」「……牛乳?まぁ別に……でも良いのかな?……」

”猿の銭湯”では、銭湯浴場でも洗濯業務も行っていて、お風呂に入っている間に着ている衣服や、持ち込んだ衣類の洗濯してくれるサービスを行っている。

また、”猿の銭湯”は乳業メーカーとも契約しているらしく、洗濯待ちの間に商店街をぶらつく際には牛乳瓶を持ち運び出来るような”手提げポーチ”も貸出していた。

以前、夕お姉さんと雨田兄妹がココに訪れた際に、厘はそこらへんをちゃんと覚えていたらしい。

まぁ、今日は銭湯の利用者ではない彼女等にそんな物まで貸し出ししてくれるのかは分からない……


「うん、良いんじゃないかな?牛乳駄目な人はいない……し、炭酸ジュースとかよりかは……」

秋穂は厘の提案を理解して”猿の銭湯”に足を踏み出した。


彼女はかなり着やせするタイプなのだが、秋穂が着ている茶色い浴衣は身体のラインが浮き出る程にはタイトなモノで、彼女のお尻や胸が艶やかにもその大きさを主張している。

「「……っ」」

そんなところにそれとなく視線を向けるのは、彼女に同行している四人のうち二人だけだ。

「行きましょう!春香お姉さま!お姉さまはイチゴ牛乳ですね?!」「……デュフフ……」

他の二人は秋穂のすぐあとに銭湯の暖簾をくぐっていく。

……そういえば”遊ぶ駅5”買えました。

”遊ぶ駅”の本家本元と言いますか……ネットショップの東京通信工業店の第二回抽選の中間枠で当たったんです。


てっきり”遊ぶ駅5”本体の電源端子は”遊ぶ駅4専門”と同じく三ピンタイプのいわゆる大電力家電と同じだと思ってましたが、意外にも”遊ぶ駅5”はメガネ端子でしたね……

一応蜘蛛男の究極版を買ってみましたが……

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