#401~難破船?!の力~
#397~力のなんぱせん!?~のBパート的お話しではありませんね。
「……はぁ、、暑いな……」
夏で……あるぅっ!!
今日の天気は”晴れ時々曇り”とされる予報通りで、朝は日差しが強くも気温がピークになったであろう昼過ぎに何度か雲が空を覆いつくしていた。
清虹市ではどこも雨は降らなかっただろうが、その代わりに陽射しが差す所では気温があつく、体感的に湿度も結構な数字を記録していただろう。
陽が落ちた頃に屋外は適温になっただろうが、日中からずっと屋内にいた者は熱気も室内に溜まっていたりして外は気温が落ちていても結構な暑さを覚える一日だっだ。
「……皆、なにしてるんだろう……」
彼、平岩雄二は自身の住処である”7カラ11カイ”の四階にある賃貸住宅に住む者が利用できる共有スペース・通称”俺達の秘密基地”にある掘りごたつにもなるテーブルで一人時間を潰している。
『ピィン!』「……わかんないですね?……、……をやってみれば良いにゃ?……」「んっ?……」
平岩が1人、テーブルに両手を置いて一息を吐いていると、彼の耳にはこのマンションに設置されているエレベーターが到着した音と、エレベーターから出て来たのであろう聞き覚えのある男達の声を聞きつけていた。
「……二人とも……プールはどうだった?妃さんたちも一緒に帰ってきた?」
平岩は”俺達の秘密基地”から顔を出して、水藻から帰ってきた二人に声をかける。
彼等と一緒に出掛けた彼らの”おばさん”が無事に帰って来たかも尋ねていた。
「……そうにゃ、妃さんからは 昼に三矢は定食、甲六は”サル丼”も奢ってもらったし、俺にゃんか”猿テーキ定食”を奢ってもらって言う事なしにゃ!晩飯も行った皆が”先頭”で奢って貰ったにゃ!」
「あぁ……晩ご飯も奢ってもらってたんだ……ぷっ、プールはどうだった?」
「……うん、甲六は最初ちょっと乗り気じゃなかったけど、最後は楽しんでましたよ。妃さんに何か用事でもありました?今は”多分”大丈夫でしょうけど……」
「”多分”……いっ、いやっ、特に何かある訳じゃないけど……」
斉田と三夜は平岩から顔と声を向けられると、今日の朝から遊びに行っていた”総合体育館”、ひいては”猿の先頭”での話しをする。
三夜は食べた物を答え、斉田は平岩から尋ねられたプールについてをちゃんと答えるも、平岩の様子を訝しむのだが……平岩は少しだけ焦るようにして話しを止めていた。
「あっ…………”カナちゃん”からメールにゃ。」「っ!?」「えっ?飯吹さんからなんて来たんですか?」
そこで
三夜はメンパンの半ズボンから携帯電話を取り出して携帯が知らせる着信したメールをつぶやく。
平岩は一瞬だけ”ぶるっ”っと震え。
斉田は三夜の手にある携帯端末を横から覗き見ている。
「にゃ?…………にゃんかこんど、俺に”泳ぎ”を教えて欲しいらしいにゃ……まぁ確かに”アレ”じゃーにゃ……」
「ははっ……確かに飯吹さんは……あんまり泳ぐのが得意じゃないみたいでしたもんね……」
どうやら三夜の携帯メールには飯吹からの”お礼”と”お願い”メールが来ているらしい。
斉田も飯吹の泳いでいる時の姿を思い出して、笑みを浮かべながらプールで見た光景を反芻している。
「じゃ、じゃあ……これから”二階で”晩御飯を食べてくるよ。」
平岩は彼等が今いる建物・”7カラ11カイ”の二階にあるレストランで晩御飯を食べに行く事を告げるのだが、
「あっ、雄二さん、まだ食べてなかったんですか……」
斉田はもう遅い時間になっているのに平岩が晩御飯を摂っていない事を聞いて、帰りが遅くなってしまって”悪い事”をしたように言うが、
「にゃにゃーん?もしかして……雄二は俺達を待っててくれたのかにゃーん?」
となりの三夜は何か面白い事を見つけたようにして平岩に確認の声を飛ばしている。
「ん゛っ、ん゛っ゛っ゛ん…………別にそういう事”だけ”ではありません。……っと……まぁ、そんなにお腹が空いている訳ではなかったので……もしも食べていなかったら一緒に食べても良いと思っただけの話しです。」
平岩は咳払いをしてから立ち上がり、”俺たちの秘密基地”から通路に置いている自分の靴を履いて歩き出す。
「じゃー俺も雄二に付き合って二階に行くにゃ、俺は食後のデザートで良いにゃ。それを食べてる間は”プールの話”をしてやるにゃ!」
「んっ……なら……”飲み放題ドリンク”だけで勘弁してくださいよ……「……えっ?!、、、それって俺は要らない感じですか?」いっ、いや?勿論三矢も飲み放題ドリンクだけって意味だけど……」
「いやいや駄目にゃ駄目にゃ!きっと賢人さんにゃらパフェとか色々奢ってくれるにゃ!雄二にゃら出来る!」
「じゃあ俺も”あんみつ”とか……あっ、じゃあ今からプールでの話をしちゃうと、プールサイドで飯吹さんが五人の男達に囲まれて「……えっ?妃さんが見てる前で?!そんな事をしたら」ええ、ヤバかったんですよ。ソコを颯爽と俺達の連携プレーで翻弄して……最後はみゃごろが男を見せて「にゃにゃーん!」「っ……」んで……」
こうして、平岩の今日一日が終わる。
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『ヒュゥゥゥウウウ……』
『ガヤガヤ……』
「知識、知識はいるか?!」
六ツ子島の一つ目の島、イ島ではこの島々の王者である王者がいる。
彼はこの島々の住人が寝起きする建物の一階で一人の男を呼んでいた。
『ブォ……』
「はいっ、ここに。」
その呼びかけに応えるのは紺色ジャージ黒仮面の男・知識だ。
「来たか……最近”向こう”に戻る人数と時間が増えているな?」
王者は副官らしい知識に釘を刺す様にして、スグに来なかった事を責めているような事を言っていた。
「っ……申し訳ありません……”向こう”で予定外の事がありまして……」
対して知識は顔が仮面で隠れているにも関わらず、申し訳なさそうにして顔を地面に向けている。
「いや、別にそれは構わない。しかしな……”箱船”まで持ちだされては”こちら”の予定が滞る。折角”道”を造ったのだから、”箱船”はもう必要ないだろう。いい加減にドックへ戻すようにしてくれ。」
王者は知識の返答を責める事もなく、彼らがこの島まで乗ってきた船の使用を止めさせたいような事を言っている。
「なっ?!もちろん我々も”箱船”は使用していません「なにっ?」ちっ、ちなみに……いつ頃から箱船が”ドック”から無くなっているんですか?」
「貴様等が”向こう”に戻ったあたりからだ。……確か、船底の一か所に航行には影響のないほどのごく軽微な”浸水報告”が上がっていたハズだが……」
何という事か、彼等が乗ってきた”箱船”、またの名を”園後号”はいつの間にか無くなってしまっていたらしい。




