表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力の使い方  作者: やす
三年の春
4/474

#3~力の事象~

行間を少し付けました。

「はっきり言っておくぞ!」「何?」

勝也は下校時に隣を歩く女子生徒に釘を刺す。返す言葉は鋭い。


「俺はお前の召し使いでも!お世話係りでも無いの!俺の力は困った時だけ!医者か、それに近い人の指示が有ったら法力を使って良いって認められているわけ!!」

勝也の弱冠声量を抑えた叱責に春香はこう返す。

「分かってるわよ……『救急医師補助師』の資格でしょ?法力医師関係者の法力無免許者が持つ……そういえば勝也のお父さんとお母さんは最近いつ帰ってきたの?」


春香の返しは効果絶大で赤い顔の勝也は冷や水を掛けられたように青ざめる。

「いや、昨日は……ちゃんと帰ってきたよ……」

「ふーん?いつ?」

「……夜の11時だけど…」

「それは昨日(・・)とは言えないよ?ほとんど今日(・・)じゃない!!」

「……仕方ないだろ!!法力医師は沢山の人を救えるんだから!!子供の俺が良いのなら良いの!!」

「あのねぇ……いや、確かに救える命の数を出されたら『間違ってる』とは言えないけど、それ育児放棄って言えるんじゃないの?(りん)ちゃんだって……」

「あーーもうこの話は終り。良いったら良いの!!」


勝也の両親は法力免許を持つ医師である。その力の有用性は凄まじく、特に水系、土系の法力はそのまま患者の生存率を高める。

国は法力医師の育成に力を注いでいるが、その難しさと生まれ持っての法力総量が物を言う現段階では日本に法力医師は数十人というレベルである。

その人数を当面の補充、災害時の医療現場維持の打開策として勝也のような法力専門の補助師資格が発足された。実際は補助師の質にバラツキがあり、『無いよりはマシ』と言う感が拭えない。


「で?今朝の秋穂お姉様の誘いはどうするの?」

「へ?誘い?……ってご馳走(・・・)か……そっか、(ウチ)の内情はバレバレか……」

「あったり前じゃない!あんたが近所のスーパーに毎日顔出して、近くの病院を調べたら、あんたのお母さんが毎日何処かで活躍してんだもん!」

春香は少しヤケクソ気味に続ける。

「厘ちゃんはあんまり見かけないけど!そんな感じを少しも見せないあんたの姿を毎日見てれば少しはし、ぱ………」

春香は口ごもりながら顔を真っ赤にさせる。ようやく言葉を出せば…

………

「『厘ちゃんどうしたのかな?』って心配になるじゃない!!」

………

「何でお前が(うち)の内情をそこまで知ってるのか逆に心配になるわ!!」

勝也が黙っているかと思えばこう言い続ける。

「まぁ、厘と最近……話が出来ていないから良い契機になれば良いけど……てか、厘も良いんだよな?ご馳走って……」


勝也が最近抱える懸案事項を聞き、満面の笑みを持って春香は答える。

「当たり前じゃない!!むしろ厘ちゃんをお留守番にさせたら私達があんたの家の厘ちゃんをもてなしに行くわよ!!あんたを(ウチ)に置いて!」

さんざんな会話に毒気を抜ききられ、疲れたように勝也はこぼす。

「金山お嬢様(・・・)の相手は大変だな…普通、病院に確認とか出来ない事なのに……」

ひとまずは勝也の家を目指す二人。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ