#36~衝突する力~
題名で分かると思いますが
33部~力の衝突~のBパート的内容です。
春香がマナーこと斉木茉奈を追い始めた頃に時は戻る。
「茉奈ちゃん…足早いなぁ…もう見えなくなっちゃった…」
春香は追いかける足を徒歩に変えて考える。
「私は労働向きじゃないんだけどなぁ…」
と漏らす春香は独りなのを良い事に独り言をして他の事を考え始める。
「ふふっ…でも、やった!アマチ―の怒り写真撮れちゃった!『マル秘、思い出アルバム』の暫定一位にしよう!タイトルは『春の出会いと別れ』鉄板だわ!!ふふ…」
と独り、人の悪い笑みをこぼす春香。
撮るのに使ったカメラを取り出し、お花畑の妄想に浸かっていると、思い出したかのように頭を『ブンブン』振る春香。勝也に渡された予備のレンズ付きフィルムもバックに仕舞う。
「いけない!本当に茉奈ちゃんが帰って来れなくなっちゃう。その前に見つけて連れてこないと…あれはあれで面白い娘だし…アマチ―には必要な娘…必要な相方…必要な?……」
少しとは言わず、かなりおかしな事を考えている事に気付かない春香だった…
『ひとまずは茉奈ちゃん優先。』と、友達を探す事にした春香。
逃げた茉奈を探すことに本気で取り掛かる。
「ごめんね、茉奈ちゃん…これはあなたの為、引いては私の為…土追跡」
春香は友達に懺悔らしき言葉をかけると、目を閉じてしゃがみ、手を地面に置いて発言する。
地面全体に力が行き渡ると目を開ける春香。
「あれ?変な反応…私たちみたいな子供じゃないな…先生?…あ、茉奈ちゃん発見!駐車場近くのベンチ?かな…どこかに行っちゃう前に行かないと…」
春香が行った技は『土追跡』、土の地面に立つ者を発見する技で、実用性の有無は解らないが、犯罪チックな技だ。
その関係であまり使う者はおらず、希少性がある技である。実は春香も勝也同様に土系法力を一通り使えるが、まだ誰にもその事は明かしていない。春香は茉奈の所に向かう。
茉奈はかなりの距離を走り、走り疲れた頃には公園の端に居た。恥ずかしさに襲われ、無我夢中だったのだ。
「もう!雨田は!…みんなの前で言わなくたって良いじゃない!!あー…むかつく!……あれ、こんなところにベンチ?……新しいのかな?…少しの間だけ座ってよう…」
茉奈はあまり来ない公園の細かい地図が頭に無く、見かけた事の無いベンチに独り座る。
「はぁ…ヤバい!…皆の所に行けない………私、かなり恥ずかしい事してるじゃん……雨田のバカーーーーっ!!」
茉奈は、らしくもなく独り愚痴をもらし、自分の行動を後悔する。
『ドッ、ドン!!』とあまり聞き慣れない音がして、茉奈はベンチに座ったまま振り返って駐車場を見る。
駐車場は目の前に大きい車が停まり、音源は見えない。茉奈はベンチに膝を付け、背もたれの方を向いて駐車場を見る。その車は土色をして窓ガラスは黒く、窓の向こう側が見えなかった。
『変な車…』としか、茉奈は思わない。
春香の家に現れた襲撃犯の使う車だが、茉奈は勿論そんなことは知らない。
そしてもう一つの問題は茉奈の座るベンチである。
座るお尻の部分は、名前は解らないが、硬質な素材だ。
だが、脚部や、骨組みは見るからに土だった。
茉奈は独り、自分の失態の動揺を抑える為、ぎりぎりまでここに座って居ようと思ったが、それも長くは続けられない。
ある者が茉奈を見つける。茉奈はそれに気付けない…
茉奈の後ろ・ベンチの正面には体格の良い、黒ジャージ姿で土色の仮面を付ける男が現れる。
茉奈はそれに気付けない……
茉奈の後ろに現れた男が手を振りかぶる。
が、茉奈はそれに気付かない………
…………
………
……
…
駐車場端の男が法力で作ったベンチ近くでは『ゴンッ!』という衝撃音が響く。
茉奈はそれにすぐに気付けない。
すぐに続きます




