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力の使い方  作者: やす
三年の夏
364/474

#363~力の船に乗る!3日目、朝食編~

厘:408枚(朝食・-1枚)

澄玲:129枚(朝食・-1枚)

夕;1005枚(朝食・-1枚)

勝也:120枚(朝食・-1枚)


「……ではコレで注文された料理は全てとなります。何かあればお知らせください。」

緑色のエプロンドレスに身を包む凪乃は、最後に厘へ朝食を持って行くと”セブンスハッピーとレジャーシップ”に乗り込んだ雨田家の面子に向けて声をかける。

どうやら朝は一緒にご飯を食べるつもりがない様子な彼女だ。


「ぅん……」

もしかしたら、勝也の隣に訪れた賢人に気を使ったのかもしれない。

彼は口を開けずに凪乃に会釈をしてから、労いの親指を立てて見送っている。


「……ナギノン……」「っ?!」

それとは別に厘も凪乃に視線を送ってはいるが、その視線は彼女の隣に座る澄玲が代わりに受け止めていた。


「……さっ、皆に朝ご飯が用意されたし、楽しい食事を始めよう。頂きます。」「頂き「……ます」」「「いただきます。」」

賢人は凪乃が立ち去った事を確認すると、彼は勝也達のあとにこのテーブルに訪れてはいるし、別に同じタイミングで食事を摂る必要はないが、音頭を取って食事の挨拶を始めてしまう。

先程食事の前に勝也とお喋りをしていたのもあるが、自然な感じの絶妙なタイミングで言葉を刷り込ませている。


彼は身寄りもなく、無一文な小学生から清虹市で生活を始めたのだが、紆余曲折を経て学生期間の最後には清敬大学を出て、清虹市で特に一目置かれる金山家の令嬢・四期奥様と結婚すると同時に清虹市の市長に就任し、子供を二人も授かる……

……と、たとえ裕福な家に生まれた者でも、そう簡単には同じ様には辿れない人生を歩んできた勇者なのだ。

カリスマ性……等と言える、言葉には言い表せられないモノを持っている漢である。

「ふふん!……」

そして、そんな彼の容姿は同性の男であっても尻込みしてしまう程にイケメンだ。


「あむ……」

賢人は目の前のテーブルに配膳された皿を見ると、その皿に載せられている食べ物をむんずと掴み

「……ぁあああ……」

と大口を開けて、一口サイズなパンを口の中に入れようとしている。

……彼の手にある握りこぶし程の大きさのパンは、魚の形を模したパンだ。

「……むぐむぐ……」「「「「……」」」」

賢人の容姿に反して随分と子供チックな朝の食事である。

「……ん?!」

賢人は一口サイズのパンを口に入れて咀嚼していると、カッっと目を見開いて彼の隣……勝也とは別の方に顔を向ける。


「尾帝さん!コレ、凄く旨いですよ!?」「……えっ、ええ?!本当に?」

賢人は彼が唯一この船・”セブンスハッピーとレジャーシップ”に招待した1人で仕事仲間の初老頃の男性の伊藤尾帝に味の報告をしていた。

しかし伊藤は賢人の言葉に若干の疑問を呈している。

「どれどれ……」

そして伊藤は賢人の前に置かれている皿から魚を模したパンに手を伸ばしはじめた。

ちなみに彼の朝食はクリームシチューだ、彼の前に置かれている皿を見るに、既にいくばくか口に入れたあとらしい。

「……『パクッ』んんんっ?ツナか……うん、まぁこれはこれで……「えっ!?ツナ?!あっ、すみません、自分のは鯖?の味噌煮?だと思いましたが……」あれっ?私が食べたのは間違いなくツナフレークだったと思うけど……「……ん?」」

賢人と伊藤が互いに、全く違う感想を抱いて顔を見合わせていた。


「んっ!……」

「えっ?ツナに、味噌煮?……じゃあ……厘にはまだちょっと……」

二人の会話を聞いて厘の目の前に置かれた皿を覗き込む澄玲である。厘も見た目で一つしかなかった『魚パン』を選んでいるのだ。

澄玲は、厘の舌にはそれらのメニューは少し合わないモノだと思っているが……

「……あーん『パクッ!』モグモグ……んっ!イクラだっ!コレっ!」

「えっ?イッイクラ?……えっ?パンに合うのそれ……えっ?!でも……」

どうやら厘の頼んだ魚パンにはイクラが詰め込まれているらしい。


「おいしぃ!」「……そっ、そう?……でも……確かにイクラみたいだけど……」

調理方法や味に疑問を覚える澄玲だが、厘は存外気に入って口の中に入れた魚パンを噛みしめている。

また、お行儀は悪いが口の中にまだ魚パンの残骸が残っている状態で口を開けていて、見るからにそれはサケのイクラらしい赤色が見えている。


「えっ?イクラ?……は流石に……」「うっ、うん……流石にイクラは……」

勿論だが、賢人達にも厘の言葉は届いていて、厘の満面の笑みを見るに、自分たちの食べたパンとは違う中身な事に疑問を覚えている。

「……んん?……あっ……コレ、イクラだ……」「……ふぅん……」「……」

賢人はまだ手の付けられていない魚パンを持つと、それを割って、中身をあらためる。

ソコには赤い真珠の様な球体が詰め込まれていた。


「……良いな、イクラパン……」「……」

かつ丼のどんぶりを持ち上げていた夕お姉さんは厘と金山市長の頼んだ魚パンに羨望の眼差しを送っている。

勝也は何とも思ってなさそうな視線を送るだけで、自分が頼んだ、ザ・魚定食な食事を食べ始めている。

すみません……結構短いです。

今回はちょっと……切り替え器の苉苦民参 豪華版が忙しくて……


名前がちょっと必要だったモノでして……

※苉…ピ ですね

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