#35~力の反省~
勝也達はお昼ご飯の準備を早めに始める。
各自持参した弁当を食べる為、児童たちは公園に設置されたベンチや、木製のテーブルを確保するのだ。
勝也達の班は現在、四人と二人で行動している。春香の言葉を信じるなら、そろそろ勝也達に合流するハズだが、未だに春香とマナーの姿は見えない。
「マナー…俺たちの前に出たがらないのかね?トイレなんて普通じゃん?恥ずかしがるから恥ずかしいだけだろ?別に漏らしたわけじゃないし…」
七川が勝也を気遣ってなのか、男子目線でなのかはわからない声量でこぼす。
『じー…』『まぁ…』『ふ~ん…』
純一が七川を見て、勝也は原因を作った本人として曖昧に返し、朱音は解らない調子で返す。
七川は焦って返す。
「い、いや、そういうモンだろ?人間、誰でもおしっこはするし…それをいちいち隠してちゃ…生きてけないだろ?」
と双子と勝也に返事を催促する七川は『男子が多いこの場では有利。』と男子目線で話す。
「そういうのは人それぞれだからね~何とも言えないかな?」
と曖昧に返すのは純一だ。対して朱音ははっきり言う。
「私は知らないよ、言われちゃ嫌な人もいるし、気にしない人もいる。斉木…マナーちゃん?は恥ずかしかったんでしょ?そういう考えもあるんじゃない?だから私はどっちが良いかは知らない。私は普通に言うから、考え方はアンタと同じだけど。それを強制するのは違うと思う。まぁ?今回のはアマチ―君の言い方はゼロ点、っていうか、嘘をそのまま暴露しちゃったから、マイナスで不正解だけどね?」
朱音は侮蔑とも面白がっているともとれる目線を送ると勝也は縮こまって言う。
「いや…朱音の言う通りなんだよね…俺が嘘をバラす様に言ったから駄目だったんだよ…はぁ…こういう人の機微を探るのだけは苦手なんだよな…何て言えば正解なのかも解らないし…今回の遠足は反省点が多すぎる…はぁ…」
勝也のため息に本気の反省を見る三人はすぐには何も返せない。『ふーん…ん?』『まぁ…正解って言ってもねぇ…』と言う双子の声を聞けば、七川は重い口を開く。
「…謝って、許して貰うんだな、俺、人がビンタされるのを生で見るのは初めてだわ、カメラも格安で用意してくれたし、『写真を撮る』なんて楽な準備の企画を考えてくれただけ、俺は感謝してるよ!雨田先生?『男は黙って土下座』!!俺、ガチ土下座も見た事無いんだよねー?」『チラっチラっ』
と変な目配せを送られる勝也は苦虫を噛み潰した顔で言う。
「本当、…土下座で許してもらったら、楽なんだけど…」
「いや、私は土下座をマジでされたら引くわー」「土下座されても、ただ迷惑なだけだからねー」
と他人事で言う双子を内心無視しながら、勝也はあいている見晴らしの良いベンチを見つける。
「あそこで弁当を食べるか…見晴らしが良い所だから、春香達も見つけられるだろうし…」
勝也達がベンチに座ろうと少し駆け足でベンチを確保する。
…と、
『きゃぁぁぁぁ!!!!』と言う女子の叫び声が森の方から聞こえた。聞き覚えがある声色だ。
『『『!』』』「今のは!マナー?っ……」
斉木茉奈の叫び声と判断すると勝也は早かった。
「七川、神田先生でも誰でも良いから今の叫び声を先生に伝えてくれ!純一、朱音、見に行くぞ!」
『なっ…先生呼んだ方が…俺らだけじゃ…』と渋る七川に勝也は補足して説明する。
「見て来るだけ!頼む!…じゃあ、行くわ!!」
『はぁ…何なの?マナーは…世話の焼ける…』『まぁ…見に行くだけなら…』と双子は了承してくれた。
『ダッ……』と勢いよく走る勝也の判断は正しいか解らない。
その時その時で正しい事は変わり、そもそもテストの回答のような正解は人生に無いのだから…
純一は独り、先ほど聞きそびれた事を聞く。
「所で、『人のキビをさぐる』って何?キビ団子…?」
先を急ぐ勝也と朱音は何も言わなかった…
不定(ry




