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力の使い方  作者: やす
三年の夏
356/474

#355~力の船に乗る!2日目、誕生日会も中盤編~



『ガッ、ガッ、カチャ……』『サクッ』

「っ……っ!うまっ!……やばっ……っ……うまっうま……」「「「「……」」」」

勝也達は劇場や映画館等で見られるようにして椅子が並べられている空間で食事をしている。しかしそれらの空間よりも席と席の間に余裕がある場所だ。

その中段端にいる勝也達の目の前には、前の席の背もたれから延びるアームで目の前にテーブル代わりの板が存在している。アームは前後左右上下で自由に動かす事が出来るが、料理を載せているテーブルはアームの先端に歯車が見えていて、そのアームを動かす事でその歯車が回り、それらテーブルに載せられている物が落ちない様に板がその都度傾いていた。


『ガチャ』『ググッ』

「凄いわね……テーブルを動かすと同時に板が傾いて、テーブルがななめにならない様になってる……」「……ん?うん……」

勝也の隣で、その母親の澄玲は一本のアームで支えられているテーブルを動かしてもその都度歯車がなめらかに回り、テーブルが水平状態を保つ事に驚きの声をあげている。勝也はそんな母親の言葉に同意の声を返す。


1人1人にテーブルが用意されているこの空間・寿老人じゅろうじんホールで提供されている食事だが

・七面鳥の丸焼き=ローストターキー

・サラダとポテトの盛り合わせ

・牡蠣とほうれん草のスープ

・白米のご飯

様々な深さな四つの皿にそれら料理が結構な量で盛られている。

『サクッ』「……はむっ……っ……うまうまっ」

また、その丸焼きのチキンを切るナイフは分厚いながらも結構な切れ味で、鶏肉の筋等の切断がいともたやすく行われていた。

夕お姉さんはほんのり茶色な焦げ目がついた鶏肉の味と、それを一刀のもとに切断できるナイフの切れ味にご満悦だ。


『……ガシャ、ガチャ……』「……」『ザワザワ……』

「…………春香ちゃんは綺麗なドレスに……自然なメイクの目元も相まってとっても綺麗ね「うんうん!……」……でも「……っ?」元気が無い様に見えるんだけど「……」勝也は何か知ってる?」

ステージ上に用意されたテーブルで、黙々と料理をを食べている春香を見た澄玲だが、彼女が着こなしているドレスに負けない威風堂々とした姿勢と態度・嫌味にならないメイクを褒めると、隣の椅子で同じ様にステージに目を向ける息子にそんな言葉を掛けていた。

そんな言葉を向けられている方とは反対にいる厘が母親の言葉に背後からうなずくも、続く言葉に少しだけ驚きの顔を浮かべている。


「……えっ?……いやっ……知らないけど……「そう?」ぅ、うん……「本当に?」ん?……「でもなんか……」……いっ、いやっ、少しの間でも家に帰れてなかったんだし……その……色々あったんじゃないの?」

だが、勝也は春香の顔を遠巻きに見ても、母親の言葉を深く受け止めずに言葉を返していた。……まぁ、勝也としては気を使った”言葉”を選んでいる。

「…………そんな風にも見えない気がするんだけどな……」

しかしそれでも、勝也の無難な言葉に澄玲は納得出来ていない。

「……うーん……」

澄玲にしては珍しくも”女の感”を根拠にして疑問を深めていた。


「っ……」

母親に突然春香の様子を聞かれた勝也は内心で『厘は知ってるんじゃないの?』とは思ったが、それは口に出さずに目の前の食事を片付けていく。



『……皆様お食事中に失礼致します。……今回のクルーズは皆様への告知と出航の間が短かった事もあり、春香お嬢様の誕生日を祝いたかったにも拘わらず、スケジュールの都合でこの船に乗船出来なかった方達からお祝いの言葉と素晴らしいプレゼントを頂いております。……諸般の事情でそれら全てをココで発表致しませんが、この場で私共からお知らせ致します。五十音順で紹介致します。まず始めに、財閥の存続企業の代表……さま、またそのご子息の……さま連盟で……』


「えっ!?「んっ「?」……」

澄玲達が目を向けるステージ端に立つ水上が、手元のマイクに”このセブンスハッピーとレジャーシップに乗船しないながらも、金山家の末の令嬢・つい一週間程前に8歳から9歳になった春香の誕生日を祝う者達”を紹介する。

澄玲はそこに並べられる者や、その一族が経営するグループ企業を聞いて驚きの声をあげていた。

その両隣に座る、彼女の息子と娘は母親の驚き声に反応を示す。


「……日本をリードする企業や、世界的に有名な皇族の名前までココに?……」

澄玲は、ココには来ていないらしいが、宇宙開発や国策を請け負う企業・日本で長く暮らしていても、名前を聞いても一般人では分からない面子 の名前を聞いて言葉を無くしていた。

今後の日本を引っ張る様な人材の名前が紹介されているらしい。


『……春香お嬢様のお誕生日を記念して、誕生日石をあしらった特別なイヤリングを贈呈して頂きました。……ではココで、この場に集まった方達の中で春香お嬢様へプレゼントを提出して頂いた方達をご紹介します。皆さまがこの船の乗船時に提出して頂いた物の紹介となります。……また、今からでも、春香お嬢様のお誕生日プレゼントをお渡ししたい方はいらっしゃいませんか?』

「……」

ここで遂に、春香の誕生日プレゼントの話しが行われる。勝也達は乗船時の持ち物検査をされていないのだが……どうやら誕生日プレゼントも乗船時に回収されているらしい。

中には勝也達の様に持ち物チェックをされていない者もいるらしく、直接手渡す者達を呼んでいた。


「あっ!はいはいっ!」「よしっ、じゃ、行く?」「勝也?……」「……うん」

勿論勝也達も春香の誕生日プレゼントを持って来ていた。どうやら澄玲は持って来ていないらしい……


勝也を含め、100人ほど集められているこの場で、数人が動き出していた……

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