#352~力の船に乗る!2日目、前編~
すみません……文章をすこし推敲しました。
話はほとんど変わりません。
※すみません……ナンバリングをミスしてました
厘:285枚(基本・+6枚)(朝食・-1枚)
澄玲:21枚(基本・+6枚)(朝食・-1枚)
夕;5枚(基本・+6枚)(朝食・-1枚)
勝也:12枚(基本・+6枚)(朝食・-1枚)
『ピンポンパンポーン……皆さま、二日目の朝食はお気に召して頂けたでしょうか?……もしまだ朝食をお取りになっていない方は、もう間もなく恵比寿レストランでの朝食メニュー提供が終了いたします。メニューは日替わりで、また、朝昼晩と時間帯ごとにメニューが切り替わります。朝食をまだ食べていない方は、出来るだけお早めに恵比寿レストランをご利用ください。……それではココで、今日の”予定を”お伝え致します。これより、毘沙門ジム区画を開放致します。ここでは、皆様が船で運動不足になる状況を改善する為、身体を動かすトレーニング等を提案し、様々なフィットネスマシーンで身体を鍛える事が出来るサービスを提供しております。専門の知識を有するインストラクターがトレーニングマシンとその施設のご提案や使用方法のご案内をいたします。金貨はこの区画に入る際に一枚だけ頂き、この区画を離れるまでは毘沙門ジム区画内のサービスをご自由にご利用して頂けます。つまりは他区画のサービスが必要となる際は、その区画を移動する都度金貨をお支払い頂きます、計画的なサービスのご利用をお勧めいたします。基本的にこの金貨お支払いに例外はございませんので、ご理解のほどを宜しくお願いいたします……』
「ぁ、トレーニングジムねぇ……」
勝也達が恵比寿レストランで朝食を食べ、一旦布袋損ベッドルームの777号室に戻ってきていると、船内に女性の声で今日の予定が告知される。
夕お姉さんは満腹になったお腹をさすりながら、今これから解禁される毘沙門ジムについて考えを巡らせているらしい。
要は『行くか・行かないか』で、夕お姉さんは別に毎日運動を日課にして生きてる訳ではない。別に1日や2日・3日程度の運動不足を気にしないのは当然の事だろう。
「厘は……ジムはいいかな、別に……運動で金貨を集めるのは大変かもしれないし…………今日もゲームセンターで金貨を集める!……勝兄はどうするの?」
「ぇ?……ぅーん……どっちでも良いけど……」
また、厘は金貨集めに熱をあげているらしい。
もう既にその行動指針が”金貨集め”を基準にし始めている。
……多分だが、トレーニングジムで金貨を集めるのなら『とあるトレーニングを100回、又は良い記録を初めに達成した者は金貨100枚進呈!……』と言うような感じだろう。
夕・澄玲・厘と、同室の女性達は一般人並か、種目によってはそれ以上の身体能力を持っている。
だが、勝也に関しては歳相応かそれ以下で、彼は運動が得意とは言えず、『身体を動かすセンスがある』等とは到底言えない者なのだ。
「っ、そ、そう?……なら私は……毘沙門ジム?だよね?……折角だから行ってみようかな。確か……私達が船に乗った時に『力について』のクイズを出したゴルドラファミリーの女性が『金貨獲得がより可能な施設』って言った中で、その『毘沙門ジム』の名前を出してたと思うし……金貨も多分……結構簡単に貰えるハズ。厘……良いの?”こういう”のって、あとから行けるようになった場所の方が、より沢山金貨を貰えるハズだよ?」
そんな、”行かない方向”に考えている勝也達の考えを知っていても尚、その母親の澄玲は敢えて”毘沙門ジムに行って、身体を鍛えよう!”と、ノリ気な言葉を子供達に向けていた。
また厘には、あとから解放された施設の方が『金貨をより多く集められるハズだ』と誘導している。
「っ!確かにそう言われてみると……」
厘も澄玲の言葉を聞き、考えを改める様にして、”金貨集め”の作戦を練り始めていた。
既に前日・この船に乗った初日に、弁財プレイルーム=ゲームセンターの様な区画で金貨を沢山獲得した厘だ。
こういうアトラクションだと1か所に沢山金貨を集める事は避けそうな考えも頭に浮かんでいる。
まぁ、それでも『二日目は二日目で、また金貨が用意されている!』と厘は考えているらしく、”弁財プレイルーム”に行かない事は無いが、それでも配られる金貨は少なくなるだろう。
『……また、今日の夕方過ぎ頃、太平洋沖の停泊ポイントにこの船は到着致します。その地点に船が到着して安全を確認したあと、アンカーを下ろし、寿老人ホールで”春香お嬢様の誕生日パーティー”を執り行います。……ですので皆さま、今日の夕飯は恵比寿レストランでのお食事をせず、今行っている様な船内放送のご案内次第、寿老人ホールで皆様のお越しをお待ちしております。”春香お嬢様の誕生日パーティー”では、食事は勿論、ホールの入場に金貨は必要ございません。パーティーの参加は皆様のご自由ですが、誕生日パーティー途中の出入上等は安全上の都合により、一部制限いたします。シャワーやお風呂等、”様々な準備”は皆様の方でお済みになる様お願いいたします。……それでは皆様、二日目の航海をお楽しみくださいませ。』
「ぁ、誕生日パーティーか……」「「「……」」」
夕お姉さんはどうやらこの船の主目的を忘れていたらしい。そう、船内放送の言う様に、この航海は”春香の誕生日パーティー”が主目的なのだ。
少し誕生日から数日時間が過ぎてはいるが……
「じゃあ、ともかく、今日は夕方から春香ちゃんの誕生日パーティーが控えているし、最初から最後まで皆で行動しましょう。良いですよね?夕お義姉さん?金貨も足りなくなったら私の分を渡しますよ。「うん!ぁ、いや、良いよ良いよ。今日、金貨を稼ぐつもりだからね!」ぁ、そうですか?今日は春香ちゃんの誕生日パーティーですもんね。」
「……」
澄玲はまだ金貨に余裕があるとして、夕お姉さんを”自分たちに付き合わせる”代わりに融通しようと言うが、夕お姉さんは『今日の誕生日パーティーで金貨を稼ぐ』案があるらしい事を言っている。
勝也はこの船の目玉イベント・『春香の誕生日パーティー』に少しの不安を抱いているが如く、言葉少なに布袋損ベッドルームの777号室から出ていく準備を始める。
『……ガッ……』「……」
ちなみに凪乃は部屋の外で待機している。彼女は厘の命令に逆らって、部屋の周りに目を光らせていた。




