#326~力の団体~
「……はい。私がスタフラで作った団体は”打ち倒そう防人部隊”と名乗っています。仲間内では通称”打倒防人”と呼んでいます。……その活動はスタフラ内……いえ、清虹市内の様々な地域にも知れ渡っています。……聞く所によると、私たちを知らなくとも多くの方達が”活動の成果”を感じる為に遠くから足を運んで来てくれるそうですし、その人達はさらに人を呼び、全世界の方達が私達と同じ思いを持ってくれると信じていますっ!!」
立花店長の隣で、ろくに言葉を発していなかった 彼の妻、立花喜乃は堰を切った様にして最後は興奮冷めやらぬ様に胸を打ちながら言葉を並べている。
車内にいる者は皆、ピンマイクを服に付けてそれぞれの声は囁き声でも伝わる様になっているが……彼女の言葉には自信が満ち満ちていて、所作に迷いがない。
彼女は法力を暴力の手段・武器として使う防人部隊の存在を否定している人物だ。
つまり、彼女の”成果”とは、法力を武器とする者達への自重と戒め(ルール)だろう。
「っ!……」「「……」」
賢人も防人部隊を目の敵にしている喜乃の存在を知ってはいたが……まさかここにまで来てその思想をひけらかすとは思っていなかった。
喜乃の言動に面食らう飯吹と平岩は思う様に口を開けられていない。
こんな事を言う様なら、今現在のウェブ配信を取り仕切るゴルドラファミリーの水上や土間が喜乃の発言を許さないだろう。
「……」「……」
多分そろそろ、助手席に座る土間が車内に向けて固定されているカメラの撮影を停め、立花夫妻をつまみ出すハズだ……
「あ、あの~……」
だが、この場のトークを任されている猿野アナが機先を制して言葉を刷り込ませる。
「……すみませんが、飯吹さんの賞品と関係ないお話しは今はちょっと……」
昨日、金山市長が開催した七夕のイベントで最初にして唯一課題をクリアした者に授与する賞品、ウェディングドレスを用意するのを手伝うからと言って、今回のイベントと関係ない団体の宣伝活動をされてしまっては困るのだ。
場合によっては、先ほどまで市役所前で賞品授与イベントを撮影・放送していたテレビ局にまで迷惑が掛かりかねない。
「あっ!……も、申し訳ありません!妻の言葉を補足致します。「え「っ「?」」……」まず、妻の作った”団体”ですが、スタフラ風台店にある、活動・入会は完全無料が原則のクラブ活動ルームを拠点に活動している、趣味クラブの事です。妻はそこで、先ほど言った”打倒防人”と呼ばれているクラブを設立しました。そのクラブは服や小物バッグ、ぬいぐるみ等を裁縫で作成したり、料理や、他に陶芸・工作などで、”物作り”を主体に活動しています。勿論どこかの団体を指して批判したり、ましてや妨害活動は一切行っていません。”スタフラ”としましても、その様な攻撃的なクラブはお引き取り頂くか、活動を差し止めています。……世間で思われている様な活動は一切していない、大変クリーンな活動をしているクラブなのです……妻は先ほどの金山市長が仰った”裁縫が得意なのか?”と言う疑問に答えただけです。」
立花店長は”妻の立花喜乃は防人部隊を批判などしていない!ただ、クラブ活動をしているだけだ”と。彼女の言葉を補足する。
「……でもっ、”打倒”って……」
しかし、猿野アナはそのクラブの名前はすでに”批判しているのではないか?”と反論したげに口をついてしまう。
「……はい。確かに名前で”批判している”と取られても仕方がないのですが……、防人部隊は”民間軍事企業”と言う側面がありながらも、”フライヤーロール”等をはじめとした、様々な物を作って世界から名声を得ていたと聞いています。『その大きな名声を越えたい・塗り替えたい』と言う意味合いでの”打倒”でして……”批判している”と言うよりも、”物作り”集団の先達として、”憧れる”と言う意味合いがあります。そもそも……クラブの創設は、”防人部隊”解体後ですし……それに”防人部隊関係者”がクラブ会員に多く、クラブの名前に”防人”を採用したいと要望があったモノでしで……勿論”クラブ内で他者に考えの強制は無い”と断言しておきます。」
そうなのだ。”防人部隊”は国内外問わず、全ての地域で活動する際に、重火器等の武器を一切携行・使用しておらず、主体的に法力を行使する。
だが、法力だけでは対応しれきれない部分は全て何らかの物資を持ち込んだり、作成していたのだ。
中には”戦闘”だけでなく、生活用品だったり、食物等があって、彼らの作戦地域によって、英雄視さえする者もいた程だ。
小袋怪獣行け!の共同体の日でしたね……
毛虫の事を予告するの忘れてました……




