表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力の使い方  作者: やす
三年の春
32/474

#31~力の入った声~

勝也達が学校を出発してから30分程は歩いた頃である。


『疲れたー…』『喉かわいた…』『眠たい…』『暇だなー』『…………っ……』

『ん?』と勝也が班の女子一人を見ると言う。

「どうしたの?マナー?顔色が白く見えるけど…大丈夫か?」

マナーは勝也の気遣う声に冷や汗を垂らしながら返事をする。

「べ、別に?何でもないよ…あと10分ぐらいで公園?」

マナーはらしくもなく間違った見当をつける。急いでいるのか足踏みまでする始末。『いや?』と勝也は訂正する。

「多分あと30分ぐらいだけど…何かあった?」

『な、なんでもないよ!?』と強く返された勝也は『そ、そう…』と引き下がる。


それを見る春香はマナーにコソッっと寄り添うと何かを耳打ちする。

『っ!』と驚いて言えばコクコクと頭を縦に振るマナー、顔色を戻してどこかに行ってしまう。

班長然とするマナーには珍しい勝手な行動だ。

『何っ!…ん…ん?』と、春香は本気の目で制すると、勝也は声を出しそびれる。



『そう言えば…』と純一が勝也に軽く話し出す。

「勝也君は水系が得意らしいね、僕もなんだけど、どれぐらいの技が使えるの?免許は取らないの?」

「ん?法力免許?」

と勝也が聞けば首を縦に振って先を促す純一。

「…水系免許取得の最低条件が『水生成』だろ?俺、あれが苦手でね…なんで水系の免許だけあんなに難しいんだか…」


-------------------------------------------------

勝也の言う様に系統によって免許の取得難易度が違う。

水系が一番難しく、次いで火系、風系という順番で難しい。これらは生成系の技が免許取得の最低条件で水生成はかなり難しい技なのだ。

土系統は特殊で、これは総合的に判断して免許が交付される。


もう少し言うと火系・風系の技には上位互換技があり、火系統で今の所は二種、風系統で三種も存在している。しかし、水系統は上位互換技が無く、技の強さか、技発動の速さを磨くしかないのだ。

-------------------------------------------------


「ふうん?じゃあ、どんな技なら使えるの?僕は水の矢(ウォータアロー)が少し出来るぐらいだけど…」

純一の何気なく言った事に『なっ!!』と食いつく勝也

「それもう免許が取れるまであと少しじゃん!!思いっきり攻撃技でしょ、それ……忠告しとくけど…あんまりそう言う事を外でべらべら言わない方がいいぞ…法力警察は怖いからな…どこにいるのかも、何考えてるのかも解んないから怖いし…」

身を持って遭遇し、体験している勝也は、純一の事を思って感慨深げに言う。


『でもさぁ…』と始めた純一は続ける。

「法力に免許が必要な事がおかしいとは思わないっ?!」

『えっ!?』と純一のこれまでとは違う空気の声に、度肝を抜かれる勝也。

『だってさ、』と続ける純一は、勝也の驚きを『話の先を促された』と思って話す。


「法力って人間が元々持ってる力でしょう?人が自分の力を使うのに、それを『免許が無いと使えない』のはおかしいとは思わない?」

『ん、そ、そうか…?』と話についていけない勝也は純一に相槌しか打てない。


「どういう事かと言えば、例えば…

[この世界では自分の筋肉を60%ぐらいの力で使うには免許が必要です。』目の前に暴漢に攫われそうになってるお姫様(・・・)がいます。でも、僕は筋肉を30%しか使える免許しか持っていません。30%の筋力じゃ暴漢には太刀打ちできません。お姫様は暴漢に攫われてしまいました。めでたしめでたし。]

とはならないよね?普通に考えて。」

『まぁ…言いたい事は…』と返す勝也は、先週の襲撃された時、自分のとった行動を振り返って汗を流していた。勝也は困り、話を切り上げる様に言う。

「ま、まぁ…免許は誰でも取れるからね…『免許を取ってお姫様(・・・)を助けよう。』って事なんだよ…」


その声を聞きつけ、朱音が二人の話に加わる。

「何々?水系免許の話?大変だね!!難しい系統に選ばれた二人はー!」

と含み笑いを隠そうともせず、水系法力が得意な二人をバカにしている。


「ま、まぁ、法力の話はもう少し大きくなってからね…」

と勝也は話を切り上げ、意味なく先を急いだ。


「……『法力教育は高校生から』なのに『免許は年齢制限が無く誰でも取れる。』『法力は人前や、公共の場では免許保有者じゃないと使っちゃ駄目。』って……

…暗に『人前や、公共の場以外で練習して』免許を取れば良いって国が認めてるんだけどね…」

と一人返す純一の虚ろな目は点になり、どこを見ているか解らなかった。

…その声を聞き・顔を見る者は誰もいない。



マナー不在のまま自然公園に到着する児童たち、班がそれぞれ動き出す。


班単位の自由行動となると勝也達の班はそれぞれカメラを片手に動き出そうとする。が、勝也が機先を制すように言う。

「春香、マナーはどうしたか知ってる?何か話してたみたいだけど…」

「え!?…もう!!アマチ―は気遣いが出来ないの?『お花を摘み(・・・・・)に行った』んだよ!!これじゃあ、厘ちゃんが怒る訳だよ……」

勝也は赤面するも、他の皆は作業に取り掛かった。

不定(ry

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ