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力の使い方  作者: やす
三年の夏
301/474

#300~力は好き~

明日(1/19)は小袋怪獣の共同体の日ですね。

なのでちょっと早めに投稿しておきまーす。

「昨日の”アレ”で……っ……”子供が出来た”って言われちゃって……自分はどうしたらいいんですか?……」

「……「いっ「!!」」」「えっ?!」

平岩は賢人に謝った後、言葉足らずな感じで、これからどうしたらいいかと助言を求めている。

事務所で皆がそろうのを座って待っていた三人と、貸し事務所の共用スペースにある冷蔵庫や簡易キッチンから丁度飲み物を持って来ていた男性の四人は平岩の言葉に動揺の顔を浮かべていた。


「そういえば確か……昔そんな映画もあった様な気が……」

「にゃ「「っ「?」!」」」

伊藤は平岩の言葉を聞いて、昔見た映画で似た様な題材があったと言葉をこぼす。

そんな伊藤の声に三夜、賢人、飲み物を持って来た男性、そして、当の平岩までもが驚きの反応を見せていた。

「にゃるほど……つまり、雄二でも賢人さんの子供を妊娠出来ると……」「嘘だろ……」

三夜はいち早く衝撃から回復をしてみせて、思った事を口から吐き出す。飲み物をお盆で持って来ていた男性は信じられないと言った風に言葉を漏らしている。

「いやでも……確か……映画では”男の博士だか教授だか?……が、誰でも妊娠と出産を安全に出来る薬ってのを発明して、それを実験する為に自分自身にその薬を投与して男が妊娠する”みたいな事で……でもそれは確か、保存してた卵子を使った?……みたいな事だと思うから……まぁ……」「きょうじゅにゃあ?……」「ぇ?今日?……”ジュニア”?いや、”発明”と言ったら普通は博士なんじゃ……」

そこで伊藤は三夜の言葉を否定しかけるが、そうでなくとも何故そんな事を平岩が言い出したのか、そも、何故平岩は”パンツ一丁”でここまで走って来たのか説明が出来ず、口を閉ざしてしまう。

三夜は伊藤の言葉の気になった所を呟き、飲み物を持って来た男性は三夜の言葉を聞いて、思った事をそのまま口にしていた。


「まっ、まて、みゃごろ、”子供”ってのは昨日の飯吹さんの事に決まってるだろう?お前もソコにいて、彼女が言っていた事も聞いてただろうに……伊藤さんも、映画の話しはまた今度にしてください!……三矢(みつや)もコーヒーをありがとう。でもまだ飲んでないから下げないでくれ。……それと雄二、流石に昨日の今日じゃまだ出来たか分からん!最低でも2・3週間は様子を見ろ。昨日やっちまったモンを今日になって今更グダグダ言っても仕方が無いだろう!……それと、服をちゃんと着て出直して来い!」

遂には賢人も口を開ける。やはり永年の相方であるからか、賢人だけは平岩の置かれた状況を理解して、それぞれに指を向けながらこの場にいる者皆に適切な指示をする。

賢人が飲もうとしていたコーヒーは、今飲み物を配ろうと姿を現した斉田(さいだ)三矢(みつや)と言う男性が用意した物だ。

彼は特にそうした訳ではないが、賢人からノリで突っ込まれてしまう。


「っ……すっ、すみません……でっ、でも……一応は部屋からココまで……誰にも会いませんでしたので……くっ……」

平岩は今賢人に指摘されるまで、自身がパンイチ姿な事を気にも留めていなかった反応を見せている。

マンションの居住スペース一番下の階から、その1つ下の階の貸事務所までを階段で移動する場合は、”人とすれ違う事”などはほぼ皆無だが、ココの貸事務所は何も賢人達がワンフロアを貸し切っている訳ではない。

他の組織が今も事務所として使っているが、今日はまだその者達は誰も来ていない様だ。今はまだ早朝と呼べる時間だが、人がいてもおかしくない頃合いと言える。


「……っ……」

だが平岩は賢人に言われても即座に動こうとしない。

「ふぅ……」

賢人は動けない平岩を見ると、立ち上がりながら自身の手を自身の首元にやる。

「しょうがにゃいから……俺の上着を貸してやるにゃ……」

すると三夜が不承不承と言った(てい)で立ち上がり、自身の上着を脱ぎ始める。


ココでこの場にいる面子の服装を明記すると、

賢人・ワイシャツにスラックスの夏場に見られるクールビズスタイル

三夜・肌着の様なランニングシャツにジーンズとあまり外出には向かない服装→out色と生地が薄めのミリタリー柄シャツ

伊藤・メンパンにシャツの年配好みな渋めの装い

斉田・賢人と同じ様な背広姿

となっている。


「んっ、」『バサッ、』

上半身の服として、肌着のランニングシャツとミリタリー柄のシャツを二枚着用していた三夜が一肌脱ぎ、そのシャツを丸めて平岩に投げて渡す。

実際はココでグズグズしているよりも、誰かに見つかる前にサッと部屋まで戻ればいいだけだが、それが解るだろう平岩の足が重い所を見るに、パンツ一丁でこれ以上走りまわって誰かに見られるのを恐れているのか、部屋に戻って服を取って来れない理由があるのか、だろう。


実は賢人がソレを見かねて自身のワイシャツを脱いで平岩に着せて押しやろうとしていたが、三夜はそれを直感的に見抜き、機先を制して平岩に自身の服を与えた様だ。

三夜は平岩と賢人達より歳が一回り半ほど若い。

だが、平岩も、三夜も、それに斉田、伊藤、そして今は席を外している甲花、いつもこの場にいる賢人以外の彼らは皆一つの意思を共有している。


「っ……ぁ、あの……ありがとう……みゃごろ……ぁ、自分のパソコンを立ち上げておいてください。コレが起動してないと……ココのパソコンは全て正常に起動しない様にセーフティロックが掛かってますので……」「分かったからさっさと行くにゃ……」

「だそうだ、雄二、服を取りに行くぞ。今日は忙しくなるんだからな。「……え、えぇ……すみません……」お前が謝るなよ……」

賢人は平岩の肩に手を乗せてから連れだって・平岩は三夜のシャツを羽織りながら事務所スペースを離れていく。


「……賢人さんは俺らの希望にゃ、賢人さんに降りかかる火の粉は俺らが壁ににゃって受けにゃきゃ駄目にゃ。」

三夜は歩き出した平岩の背中に、まず聞こえないだろう声音で釘をさしてから隣のデスクに置かれているデスクトップパソコンの電源ボタンを押下す。


ちなみに、”押下す”とは”おしくだす”と読み、押下だけで”おうか”(ーする)と読む場合もある。

これは英語のプッシュ()ダウン()を日本語訳した名残であり、意味は漢字そのままの意味で、”押してさげる”と言う意味だ。

この”プッシュダウン”はプログラミングや、電子機器に使われる言葉で、その流れで電子機器等の取扱説明書などでは今でも”押下す”と明記される事もある。また、押下すを”おす”と読ませる荒業もたまに散見されている。


「あっ、三夜さん、ホットミルクコーヒーです。」『ゴトッ』

斉田はお盆に乗せて持って来ていたマグカップを三夜の前に置いた。

「うん………………熱ちぃ…………やけどしたにゃ……」

上半身がランニングシャツ姿の三夜はその配膳されたミルクコーヒーを口に含むのだが、スグに赤くなった舌を出して涙目になってしまう。

「……ふぅ……」

伊藤はそんな三夜に視線を向けた後、去って行った二人の方へ視線を向けるのだった


ココにいる面子は皆、幾度となく・賢人本人でも知らず知らずの内に賢人に助けられていて、皆賢人が好きなのだ。

一応言っておくと、”ラブ”と言うよりは”ライク”寄りの”好き”である。

明日の共同体の日の時間は11時~14時までで、16時までに人鳥を最終形態まで進化させると特別な技を覚えるとか覚えないとか……

また、11時~14時の間に孵化装置に入れた卵は孵化距離が0.25倍(四分の一)になるので卵セットは明日(11/19)の11時まで一旦我慢した方が良いです。

ゲッツ色違い、高個体!

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