#22~力の再来~
勝也達が学校で遠足の班を決めている頃、
風間は雨田宅の庭にあるロールを一人で点検・調整している。
本格的な調整は出来ないが、回転羽を傾けるシャフトの油さし、ポールの固定ビスの錆などを除去する簡単な作業だ。
特に決められている作業ではないが、強風を起こし、それを動力に羽を回転させて浮力を得るフライヤーロールは金属疲労が起こりやすい。特に風間の様な乱暴な運転では定期点検として定められている・『半年で一回の点検』でも少ないぐらいである。日頃から作業着を着て自前で点検・調整をしていた。
今日の大学の講義は午後からで、雨田家からロールで直接行けるが、点検・調整も早々に切り上げなければならない。
「ふぅ…ひとまずは、こんな所でしょうか…やはり…一度、整備工場でオーバーホールして貰わないと…」
点検した事で油・ほこりまみれな作業着姿の風間は独り言を区切りに大学の準備に移ろうとする。
そのタイミングで一人の男が雨田家に訪れる。
『失礼します。法力警察です。お話を伺いたいのですが?』
「ん?はい?何でしょう?この家の方は今留守にしています。私はこの家の者ではありませんが……代わりに御用件を承ります…」
見ると門のインターホンを素通りして仮面の男が庭に入ってくると、ボイスチェンジャーを通した声を響かせた。風間は不信感を覚える。
『いえ、先日の襲撃事件を調査していまして…現場に居合わせた被害者の方にお話を伺っているんですが…』
風間はひとまず、話は聞こうと『はい、何でしょう?』と先を促した。
『こちらのお子さんも襲撃を受けた時、現場に居合わせたそうですが…家に入って何をされていたのか、少し気になりまして…何をしていたか聞いていませんか?今は学校でしょうけども…私共が学校を調べると大事になりますし、警察でも簡単には調べられないので…よければお帰りになるまで、ここで待たせて貰ってもよろしいでしょうか?』
『はぁ…』と言う顔の風間はうんざりしていた。
「そうですか…申し訳ありませんが、私も知らない事なので…一緒に学校まで行って聞いてきましょう。ロールの整備が今終わった所でして…今すぐ行きましょう。」
『おや…すみませんがロールは少し苦手でして………そういう事なら徒歩でお願いします。』
「はい、そうですか…では早速行きましょう。」
と風間が言うと歩き出す。
行先は学校とは反対の金山家だ。
後に続く仮面の男は行先に感づいて言う。
『ん?こちらは襲撃現場のようですね?申し訳ありませんが…学校に案内して欲しいのです…』
と、民家が少なくなり、人目に付きにくくなった事を見て風間は振り返る。
「矢!!」
『ゴスッ!』と音がしたかと思えば風の矢を受けた個所、法力警察制服裏からは土くれが落ちる。
『なっ…公務執行妨害で…』
続けて風間はさらに上位種の技を宣言する
「嵐の矢!!」
先程の技がおもちゃに見えるほどの風をまき散らせ、一瞬にして空気の矢が男に向かう。『ゴフッ』と音がしたかと思えば仮面や、法力警察の制服が破け、痛そうにもがいている。半分に欠けた仮面を頭に張り付かせた仮面男は風間の恐慌に恐怖した。
「なっ…なにを…こんな事を…してぇ…ただで…うぅっ、がはっ…」
口からは血を垂らし、仮面が下半分欠けた般若の形相の口元を晒す。声は聞き覚えのある物になっている。
『あと一息で意識を刈り取れる。』と思った風間はらしくなく切羽詰まっていた。
そんな風間の目の前に大きな物が割り込む。
「弓使い!!バカか!ガキが家に入った事は俺たちしか知らん!」
と、見覚えのある車が目の前に割り込み、車の中の男が風間に襲われている男に言う。
そう、勝也が家に入った事は言っておらず、それを知っているのは襲撃現場に居た者のみ、勝也は『襲撃犯の目の前でただ暴れていただけ』と言っていた。勝也の水爆発を隠す為にである。
襲撃犯がまたも襲いに来ていたのだ。雨田家の庭で戦闘するわけにもいかず、風間は人気の少ない、金山家の近くに誘き出していた。
「き、帰投する…やはり苗は…まだ 手はだせん……時期を見る……」
弓使いと呼ばれた男を回収して、走り去る車。
ナンバープレートは土で覆われて判別出来なかった。風の矢を車に見舞ったが特に決定打が無い。恐らく法力を使って適宜、車体の強化・ナンバーを隠しているのだろう。
今回は特に損害を出さずに雨田家を守れた事に満足する風間だった。
男達の目的、狙いは未だ解らないが、男の最後の言葉に一抹の不安を覚える風間。
『無力化出来なかった事』を悔やんでも悔やみきれなかった。
不定期に(ry




