#19~力のない身の上話~
話が湿っぽいです…
本当はもっと楽しい話が好きなんですが…
「私が物心ついた頃には秋穂お嬢様と姉妹の様にして遊んでいました。私の母親は金山家の家政婦として働いています。今は金山家の所有する別荘の管理者として平穏に暮らしていますが、金山家が有事の際は全てを投げ出して駆けつけて来るでしょう…」
風間は神妙になって語りだす。と、寝室である二階から階段を下りて来る者の声。
「あのー…俺降りて来ちゃ…まずかった…?大事な話なら…上に…」
「っ!いえ…出来れば聞いて頂きたいです。私の身の上話ですが…」
「は、はぁ…でも…俺が聞いても…いえ、知りたい事ではありますから…聞いた方が楽になりそうな顔してますし…風間おねぇさんは…」
澄玲は『うん…まぁ…』とサイコセラピーとしての知識を持って来て勝也に同意する。
人として秘密にする事その物が負担になる場合もある。匿名性のあるインターネットなどで鬱憤を晴らす方法もあるが、それもまた自分を隠している事になるので効果が薄い。やはり、『風間凪乃』として直接本人の口から聞く事も大事なのだ。話の行く先はわからないが…
「まぁ…そんな大層な話ではないんですが…」
と前置きする風間。顔色は若干赤い。
「私の本当の母と父は解りません…ええ、全く持って不明です。なんでも、金山家の玄関先に居たそうです…生後三か月の私が『凪乃』という名札を持って…」
『あぁ…』という声を出す雨田親子。澄玲は『さっきはごめんなさい…』と先ほどの失言を謝った。『いえ…』と風間も慣れた様子。
「そこで私の行く末が話し合われ、その結論が、その時、金山家の家政婦をしていた、風間千恵お母さんが私を引き取る事になったらしいです。義理のですが、千恵お母さんは独りになりがちな四期奥様の姉代わりの様な事をしていたらしいです…千恵お母さんは金山家で若い頃から働いて、その間に結婚したらしいんですが子供に恵まれず、そこに私が現れて…」
衝撃の事実に言葉を失う勝也、澄玲も驚いている。
「千恵お母さんは奥様と10歳しか違わなかったそうで一番年齢が近かったらしく、よく、二人で本当の姉妹の様に遊んでたそうです…」
『話は戻りますが…』と言って自分の事を語る風間。
「そんな千恵お母さんの元で生活するうち、私も金山家で生活する時間が増え、気付けば千恵お母さんの代わりに、金山家の生活を補佐する事が私の生活の一部になりました…」
『それからそのままで…』と絶句する澄玲。勝也も話の大きさに度肝を抜かれる。
「まぁ、つまりは私に隠せる様な身の上が無いという事です。分かって頂けましたか?澄玲さん。」
にっこりと笑う風間は澄玲に迫る様に言った。
「えぇ…ここまでの事を言って貰って『貴方の事を何も知らない』とは言えないわよねぇ……はぁ…どうしたら…」
と澄玲が困っているとまたも階段から声…
「お母ぁさん…むにゃ……むにゃ…」
見れば厘がむにゃむにゃ言いながら目を擦り現れた。
「あぁ…厘ちゃんごめんね…私が大声を出したから…勝ちゃんはもう寝なさい。これからは大人の時間よ。」
と『ふぁ…』とあくび交じりに澄玲に言われる。
勝也としても話の衝撃に度肝を抜かれて眠気が飛んでしまっていた…
「ちぇ、母さんは勝手なんだから…ふぁ…あ?」
勝也は欠伸交じりに一人疑問を覚えた。
「か、風間おねぇさん!千恵お母さんって何歳から家政婦をしてたんですか?」
勝也の声量に焦る様にして風間は考える。
「へ?い、いえ…ちょっとわかりません…秋穂お嬢様の生まれる前だとは思いますが…」
「あの…ちょっと気になった…というよりも、まぁ大した問題じゃないんですけど…俺たち三年生は8から9歳です…風間おえねぇさんって18から19歳になるんですよね?」
「えぇ…あれ…10歳の違い…ですか…あれ?」
「まぁ…たまたまでしょうけど…なーんか…こう…」
「えぇ…たまたまでしょうけども……ん?私はあれですが、春香お嬢様は間違いありませんよ!!これは神明に誓って言えます。毎年記録にも記憶にも残ってますし…」
「えぇ…いや、たまたまで、偶然の一致だとは思いますけど…」
「二人して何を話しているの!!もう寝なさい。勝ちゃん!風間さんも、もう遅いから今日は泊まって行く事!睡眠は美容にも健康にも必要なんだからね!」
『はーい…』と風間と異口同音に仲良く返事する勝也。
風間には寝る前に澄玲から条件を一つ出される。
『様付け禁止。家に居る時は『凪乃』という呼称で統一。』というお達しだ。
凪乃は澄玲の攻略に成功した。後は厘というボスのみ。
ブレイクタイムな二日目終了です。
まぁ、12部で~力の無い日常~と銘打っちゃいましたし…
不定期(ry




