#16~力の取り締まり~
少し話が黄な臭くなってしまいますが…
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体とは縁もゆかりもないです。
色々と力の羅列が抜けていました、改稿を許して下さい
人々が人外と思っていた力、法力を使う様になって、永くの時がたった。
発祥は海外のある地域だが、各国にもそれと似た伝承があり、人々が力を認めると感染する様に普及し、今では十人に一人以上は法力を発動し、力を使う事が解っている。潜在的には皆が力を使え、特に若い世代では力を使える者の方が多い。
その利便性、力の有効性が迎合されて今に至る。
しかし、人間は力を持つと間違いも起きやすく、法力を使っての犯罪や事件が後を絶たなかった。そこで考えられたのが法力の免許制度である…
勝也と春香は掃除を終わらせ、下校しようと校門をくぐる。と見知った顔を見つけた。勝也は焦って言う。
「風間さん!ど、どうしたんですか…?」
「はい、お迎えにあがりました。四期奥様も勝也様達の身を不安に思っていらしたので…昼で大学を終らせてこちらに。一足先に帰った厘様は既に私がお見送りしましたが、ご迷惑でしたか?」
金山家に住み込みの使用人兼、身を寄せる、風間凪乃の姿がそこにはあった。
「あれ?凪ノン……ロールは…何処?」
勝也が一番気になる事を聞く春香。風間は困り顔をのぞかせて言う。
「ふふ、今日はすみませんが徒歩でのお迎えです。私も車の免許を取れればいいのですが…ロールで多大な出費をさせている身としては免許費用ぐらいは自前で出したいのです…それに、勝也君には不評みたいですし…ね?今日は許して春香。」
幾分か呼び捨てが板に付いてきた風間に『どうしたいの?どうなりたいの?風間おねぇさんは…』と漏らす勝也。
ロール世界最高時速ホルダーの持ち主にしては可笑しな言いぐさである。
『うちのお給金で免許取れば良いのに…』と漏らす春香は多分、風間のロール運転で『スピードジャンキー』になりつつある。『この義姉妹…何とかしないと…』と話の世界に付いていけない勝也だった。
『荷物を持ちます。』という風間の申し出に勝也は渋ったが見事にランドセルを取り上げられてしまう。春香のランドセルも持つようだ。
特に荷物を持っていない風間は背中と胸にランドセルの板挟みである。
良い大人がダブルのランドセルサンドイッチで何も持っていない勝也は、むしろ一番恥ずかしかったが、勝也のランドセルで胸を窮屈にしている風間の姿に勝也は何も言えない。
勿論ワザとである。ワザとなのだ…勿論…わざとである。
恥かしがる勝也を先頭に帰り道を歩いていると風間はおもむろに話し出す。
「昨日はお怪我はありませんでしたか?招待したその日に暴漢に襲われる失態を犯してしまい、申し訳ありません。私が門を閉める際、注意を怠ったのが事の発端でして…内心、とても凹んでいます…本当に申し訳ありません…」
風間の懺悔に勝也は滅相もないと反論した。
「え?…いえいえ、それを言ったら俺が厘の言葉を嘘って決めつけたのが原因ですから!風間さんには良くして貰ってとても助かってますよ。秋穂お姉さんが一番の功績者ですけどね。春香がうらやましいよ…あんな素敵なお姉さんを持って…それに比べて厘は…はぁ…」
勝也の言葉に『それは…』と言って、言いなおす風間。
「…厘様は、あれはあれで敏いお方です。一番の功績者は『勝也様だ。』と金山家の方は全員一致しています。『竹刀』を持って来たのも勝也様ですよね?だよね?春香?」
『うん…』と言う春香は内心それが気掛かりだった様でそれを言えた事に幾分か明るい顔をする。勝也は全員一致の意味に気付けなかった。
「そこで感謝の意を表したいと思いまして…」
と風間が言った所で勝也は内心、訳も分からず焦った。『っ!!不覚!!』と風間も遅れ見て気付く。
勝也の前方5mの所に男が一人。立って勝也を見下ろし、背は2m行かないかぐらいで顔には仮面をつけている。仮面男が勝也に視線を当てて話し出す。
『失礼します。お時間は取らせません。警察の者です。任意でお話をお聞かせ願います。』
声はボイスチェンジャーを当て、巷で黒い噂の絶えない『法力警察』がそこに居た。
「未成年者に声を掛け、身柄を拘束するのは未成年者略取・誘拐罪が成立します。まずは保護者に確認を取るのが先でしょう?通行の邪魔です。お引き取りを。」
風間の隠そうともしない感情の言葉に『ヤレヤレ…』と言う感じで対応する仮面の男。
「我々は警察です。捜査の一環としてお声掛けする場合もあります。なんなら逮捕してもよろしいのですよ?」
風間の物言いが発端だが男も負けていない言葉である。見えない所にもいるのだろう。
「ならば罪状か逮捕状をお見せ下さい。子供だからとバカにする言い方はどうかと思いますよ?」
「はぁ…まぁ、逮捕は言い過ぎました。申し訳ありません。『未成年者の補導』です。その場合、保護者の方を呼び出す事になりますが…」
仮面男も警察にあるまじき発言だが、こう言われれば反論しづらいのは事実である。
「下校時間に『未成年者の補導』を言う者がありますか!!これだから顔を隠す事が認められている警察は…公務なのだから……」
「捜査の為です。ご理解とご協力を願います。そういえばあなたも未成年者でしたね、風間凪乃さん。昨日の事を聞きたいので良ければ一緒にご協力を。」
風間は身の毛もよだつ仕草をすると、春香と勝也に『すいません…』と小さく謝った。仮面の男は本題を話し出す。
『昨夜の襲撃事件は我々の警戒の目を欺く卑劣な犯行でした。事前に察知・警戒出来ず、申し訳ありません。』
仮面の男は心にも無さそうに言う。顔を隠し、声を変えているのだから、なおさらではあるが…
『現場に駆けつけた近くを警邏中だった警官の話では、『様々な法力が使われてそうだった。』と報告を受けています。あの場で襲撃後に使われた法力を現場に居合わせた被害者全員含めて、詳しい内容とそれは誰が行ったか教えて下さい。』
襲撃犯は二人、どちらも土装甲を纏い、泥人形が八体で頭数を水増ししていた事。恐らくそれら土系の力は全て体格の良い一人が行っていた事。顔に仮面をつけていたが、声は男で年齢が解らなかった事。そして遠方から真空の鳥で狙撃もされていた事。誰が使った技か解らない事。最後に土の落とし穴を使った事。逃走は車が来てそれに乗って逃げていった事。襲撃犯の対処に免許保有者の風間本人が風の矢と秋穂が土棍棒を使い、水生成と水の矢を使ったのは免許を保有する家主の四期奥様、客として来た法力医師である、勝也の母・澄玲。等を話す風間は冷や汗を流しながら言った。
それを聞いた仮面男は『ん?』と言った感じで聞いてくる。
『こちらの独自に行っている調査では爆発音を確認しています。こちらで確認は出来ていませんが、恐らく家の破損があったと睨みました。現場の状況、起きうる物の中では水爆発が行使されたと当局では睨んでおりますが…それについて何かお心当たりは?』
勝也は内心、焦るが黙っていた。実際にそれを受けた春香も平常心で知らんぷりである。春香はこらえきれずに言う。
「そんな爆発は見ていませんし、実際ウチは被害届を出していません。その捜査は謁見行為ですので…襲撃犯の一刻も早い逮捕を願っています。真空の鳥で大方の位置は把握しているのでしょう?法力警察の一刻も早い功績を期待しています。」
『これでいいかしら?話は終わり。』という態度の春香はかなり怒っている様だった。
『これは失礼しました。さすがは金山さんのご令嬢です。真空の鳥も追跡できていましたが、犯行が巧で捜査は難航している状態です。現場から見て、大方南方10㎞地点から跳んで来たという点しかわかっておりません。』
「犯行に巧なんて言葉を使うのは止めて下さい!まだ言えて『卑劣』ぐらいですよ?」
と怒る春香はいつもの年相応っぽさと違い、勝也は春香の『お嬢様』な部分を見た気がした。四期奥様そっくりである。四期奥様のこんな怒り姿は見た事無いが…
『そうですか…ご協力、感謝いたします。お時間を取らせて申し訳ありません。』
と頭を下げていく仮面の男は終始不気味だった。
「ところで…」
と話す風間は我慢していた事を勝也に話す様だ。
勝也は『何かあったの?』と焦って『はい!何です?』と聞く。
風間は『何よりも深刻な問題!』と言う感じで話し出す。
…………
………
……
…
「下着が蒸れてキツイのでコレ返しても良いですか?」
と言う風間の胸はランドセルで汗びっしょりになっていた。
スーツ下のYシャツは汗を吸って下着がくっきり見えてしまっている。
「お願いですから…もっと早くに言って下さい…」
と言う勝也は風間との今後の付き合い方に困り果てていた。
不定期に続きます。




