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力の使い方  作者: やす
三年の春
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#14~力の矛先~

勝也は後ろから放たれるプレッシャーを感じながら話し出す。

「雨田か…つ…で…ゅ、最近買って貰ったカメラで写真を撮る事を趣味にしています。風景や、何かの記念に人や物を撮って楽しんでいます……これからの学校生活は仲良く、楽しんで行こう…」

名前を小さく喋り、自己紹介として不十分だが、『言う事は言った。』と席に座ろうとする勝也。目は前にしか向けない…


「待った!!雨田なんて?聞こえないぞ?もう一回ハッキリ聞こえる様に言いなさい!!」

神田先生は隠そうともしない、不機嫌な声で勝也を叱る。勝也は動きを止める。

先生も人間だ。

虫の居所が悪い時に、勝也の様な『注意して下さい』と言わんばかりな態度を見れば仕方のない事であろう。勝也が『すいません…』と誤ったのを皮切りに先生が続ける。

「しかもなんだ?写真を撮るのが趣味なんて、盗撮じゃないのか?何が楽しいんだ?カメラなんて勉強に関係ない物を学校に持って来てるんじゃないだろうな?もっとそれっぽいスポーツや遊びの趣味を言いなさい!!」


もはや暴論で人の趣味にケチをつける言い草である。勝也は『はい…』と我慢して、言い返さない様にしていた。しかし、我慢は限界だった…

『ガタン!!』

と席が倒れたかと思えば声がする。いつもとは違い、言葉遣いは丁寧で、理路整然とした声だ。

「先生?朝の職員会議は出てないんですか?昨日の襲撃事件を聞いていれば少しは配慮があって良いと思いますが…襲われたんですよ?私たち(・・・)

声は勝也の後ろから、勝也が後ろを見ると春香が眉間に皺を寄せて椅子を倒す様にして立っている。続けて言う。

「それが無いかと思えば私たちに転校生の机を運ばせて、おまけに理由を隠す様に言ってみんなに嘘をつかせる……それに写真家は盗撮ではありません。彼らの写真は、かけがえのない様に綺麗で、渾身の一枚は心が洗われる様な作品があります。彼らに対して侮辱は許しません。もう少し教養を身に着けた方がよろしいですよ?恐らく遅刻されて話は聞いていないんだと思いますが、職務怠慢からくる、児童虐待ではありませんか?」

『ぬぁ…』と焦る先生は事実、朝は遅刻して職員会議に出そびれていた。さらに転校生の対応、玄関先での朝の挨拶。と出来なかった自分の作業を生徒に肩代わりさせている。極めつけは一番(・・)怒らせては行けない生徒に今、怒鳴られている。対応は早かった。

「そ、そうか…先生はあんまりそういうのに縁がなくてな…そうだな!!写真は記録に残せて良いもんな…盗撮だなんて、とぼけた事を言って悪かった…色々大変だったんだな…良いよ、言い直さないで…じゃあ次は…」

「待ってください!!自分の名前を憶えて貰う為に…もう一度言い直します!」

勝也が割り込み、了解も取らずに言い直す。名前を憶えて貰うためにも必要だと勝也が判断したのだ。勝也は言う。親から貰った誇らしい名前を…

「雨田かちゅやでしゅ!!」

皆は『ん?』と思ったが誰も指摘出来ない。思い切り良く言った事で、素で噛んだのだった…

この判断は後に勝也を苦しめる事になる。

12部の日常にある一文ですが

これは

この判断は後に筆者を苦しめる事になる。

でした…不定期に続きます…

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