#125~力の願い~
「よし!来たか、地面の中にある水を抜け。今のお前なら出来るだろう?」
弓使いは強い水系法力を使える青い肌の男へ声をかける。
「ぐぬぅ?」
しかし、青い肌の男は不安を覚える声を出すと、頭をひねるだけで動こうとする反応がない。
「ちっ……駄目か、おい知識!こいつ命令を履行しないぞ!どうなっているんだ!?」
弓使いは南で法力警察官達と交戦している紺色ジャージ集団へ向けて声を飛ばす。
「なにっ?……」
弓使いの声を聴き、数舜動きを止めて思考を張り巡らせる知識、すぐに答えは出たようで、違う方向へ顔を向けると指示を出す。
「おい、研究者、やはりお前は魔人に付け。魔人を運用するのは貴様の役目だ。」
研究者と呼ばれた、先ほどまで青い肌の男:魔人と行動を共にしていた紺色ジャージの女へ言葉を向ける。
「あ?こいつら話に聞いてたほど強くねぇぞ?法力を直に受けてもケロッとしてて、しぶてぇだけじゃん……強くもねぇのにしぶといだけとか、まるでお前みたいな、細くて遅いふにゃふにゃヤローをあいてに……※自主規制」
研究者は女として、男を傷つける発言をする。
『あぅー確かに知識はそれっぽいね』『いあ、知識でそれはキモイ……』『うぇ、想像しちゃった……』『えー?それはそれで……』『おいおい……』
知識の周りに居る、紺色ジャージ女集団が姦しくはやし立てる。
「ちっ……これだから女は!」
知識はいらただしげにつぶやくと、なおも続けて姦しい声が続く。
「わぉ!……ヴァーム発言いただきましたーー!相手はシュゼで決まり!」
「うるさい!黙れ!イッヒ ビン ニヒト シュウル!もう貴様らは金輪際評価しない!」
知識は一通り紺色ジャージを着た女集団を仮面で見回すと、研究者へ向けて再度指示を出す。相当の怒声である。
「おい!研究者、お前が初めに燃やした奴が一番の手練れだ。もう黙って言われた事をしろ!これ以上やかましくするならお前”も”終わりだぞ?」
『ドゴッ!』『うわっ』
弓使いを指さす知識だが、ちょうどその時01が黒ジャージの一人である無名壱の持つ棍棒を砕き、拘束したところであった。
さらにもう一つ変化が続けて起こる。今度は校庭の南側、知識達のすぐ近くの変化である。
『ボォォ!』『ググッ!……』
ペットポトルの液体を振りまき、水牢獄で動きを阻害していた児童達近くで樹木が突然生えたのだ。
校庭に木が生える事などありえないが、しっかりと根を張るようにして立っている。
「ちっ!面倒なヤツが来たな、次から次へと……」
木の近くにはいつの間にそこまで行ったのか、和服の老人が立っており、サングラスで目元を隠していても白い顎髭ですぐにその人と分かる人物。木系の特異法力を使う清田三郎その人だ。
知識達こそ清瀬小学校から見れば十分面倒なヤツに変わりはないのだが、そんな事を露ほども思わずに事を進めるジャージ集団である。
『ギュゥ!』
「あぅっ!いっ、痛いっ……こ、殺さないで……」『ちっ!』
01が黒ジャージの一人である無名壱を後ろ手に拘束していた、本当は弓使いと呼ばれている者を拘束したかったのだが、その前に隣に立っていた男を無力化してからだ。
隣で無防備に腰を下ろしている弓使いはよほど大切な作業なのか、舌打ちと共に目を光らせているだけで腰を上げようとしない。
「もう観念しなさい!ひとまず仮面を取るから、それに協力すること!抵抗しても痛い目を見るだけだぞ!』
01の口調が若干柔らかいのは簡単に拘束させてくれた無名壱の年齢がおそらくは若いためだ。若くて十代後半、言っても二十歳前後の声質である。
『じゃあ取るぞ!抵抗するな!』
無名壱の顔に張り付いている、土色の仮面へ手を伸ばす01
『カリッ、カリッ、』
しかし、寸分の狂いもなく顔に張り付いている為、手袋越しでは顔に指を立てて仮面を撫でるだけである。
『ぁああ!全然取れないじゃんこれ!どうなってるんだよ!』
取り乱す01は悪態をつく。
『仕方ない、後回し』
囁くと、手錠を腰から引っ張り出して後ろで手を施錠し、無名壱を『ドンッ!』と蹴り飛ばす。
続けて弓使いも同じように拘束したい所だが、紺色ジャージの女が独りでこちらにやってくる。
そちらから先に対処しなくては駄目な様子だ。
無名壱が予想以上に若く、時間を裂きすぎてしまった為である。
清虹市は学生が多い都市であり、単身の者や親元から離れてきている者が多い。
その分非行や怖い物見たさで悪ぶる者が多く、特に未成年で悪事を働く者へは繊細に、かつ大胆に、重点的に対処しなくてはならない。
「おい研究員!何をするでもいいが、その前にこいつに指示をしろ。地面へ向けて水蒸発だ。」
しゃがみ続けていた弓使いがこちらに来た研究員へ声をかける。
「わーったよ!……おい!めんどくせぇからそこのおっさんの言うとおりにしろ!」
「なっ……そんな事で……」
研究者のぞんざいな言葉に声を荒げる様子の弓使い。
『お゛う゛っ……う゛ぁたぁえう゛ぁ……』
だが、当の魔人は納得したのか、地面を見つめ、技を発現し始めている。
それを見ていた01は研究者と呼ばれていた紺色ジャージの女へ、静かに語り始める。
『君も学生だよね?そんな奴らの協力なんてやめてみたら?あれだけの法力が扱えるのなら、仕事先はたくさんあるし、お金もたくさん稼げる。何だったら、私が法力警察で面倒を見よう。今ならまだ未成年って事で罪も償えると思うし、私としては君みたいな娘はもっと良い環境で活躍して欲しいなーと思うんだけど……どうかな?』
「はっ!あたしが警察ぅ?あんな府抜けた野郎達と一緒にいるのが、私は我慢ならないね!それにあたしは学生じゃねーよ。……それよりアンタ強いんで、しょ、強打!」
言うや否や、研究者は発言と共に01へ殴りかかる。超高熱の打撃、火強打。当たれば即死は免れない。
『ブフォォオン!』と研究者の拳が01の胸を打った。
三日坊主クリア!頑張りやす!




