表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力の使い方  作者: やす
三年の春
124/474

#123~力の集結~

青い肌の男の右腕、肘より先は綺麗な断面を残して地面に落ちる。

『なっ、ぎ、義手……?』

03(バックパッカー)はうろたえ、先程まで自分の右腕を抑えていた腕が地面に落ちるのを視線で追い、己の右手を所在なさげにおろす。

『お、おいっ……』「ちっ、生成(プロダクション)!」

その動作に後ろの02(アシスタント)が慌てる声を出すのと、前にいる紺色ジャージ黒仮面の女が舌打ち交じりに発言するのは同時だった。

『ボワァ!』

03(バックパッカー)の上半身が炎に包まれる。

『わっ……』

03(バックパッカー)は即座に地面へ腹這いになり、横に転げまわる。

火に体を包まれ、服が燃えた時の消火法だ。


間を置かずに続けて02(アシスタント)03(バックパッカー)と入れ替わる様にして二人組の前に身をすり込ませる。

02(アシスタント)は『風の……(ウィンド……)』と発言を始め、再度右手に風を纏わせて男女の二人を無力化しようと足を進める。

『う゛ぁだぁ゛どう゛だぁ゛!』

しかし、先に動いたのは右手を切られ、特に血が噴き出る様子も、痛がっている様子も見せない、口を大きく開けたままの青い肌の男であった。

口から黄色い液体を『ドブッ!』っと音を立てて吐き出したのである。

『……(ブレード)、っ!』

02(アシスタント)は左足を前に出し、風に包まれた右手を胸の前に構えた姿勢から、右手の狙いを急遽男の吐き出した液体に向けて己の右手を前に出す。

『パンッ、ビチャビチャ……』

液体の塊と02(アシスタント)の右手がぶつかると、液体は『ビシャビシャ……』と拡散し、周りに跳ね飛びちる。

「うわっ!汚水(オミズ)汚ぇ!」

紺色ジャージ黒仮面の女は咄嗟に、液体に名前を付けつつ、飛び込む様にして青い男の影に隠れて汚水を回避するが、汚水を口から出した青い男とそれを拡散した02(アシスタント)の二人はそれをモロに浴びてしまう。


しかし、その汚水を浴びて被害にあったのは02(アシスタント)だけであった。決して汚いと言う意味でではない。いやもちろん汚いのだが……

『ジュウゥゥ……』と02(アシスタント)の装備が汚水を浴びた所や、コンクリートの地面から白い煙が上がる。

と、『ドンッ』と青い男は頭に衝撃を受ける。こちらも汚水が掛かっているが、特に煙が上がっている様子はない。

「汚ぇ事すんな!」

女は自分に汚水が掛かっていないのを確認すると、青い肌の男の頭を叩き、非難の声を上げていた。

『もうその技は禁止な!……それやるなら……』と声を続けていて、周りに気をやっているそぶりは見られない。


『っ!……(サブ)へ退避……頭を上げろ』

02(アシスタント)は後ろで火を消火するために横になっていた03(バックッカー)の足を掴むと、『えっ!ちょ!』と言う声を最後に、ズルズル引きずって指示車弐の方へ走って行く。



その一幕を壊れた門の内側、校庭の南側に居る紺色ジャージの集団で1人手の空いている知識(ノウレッジ)はそれを黙って見ていたが、苛立ちを隠さずに声を張り上げる。

彼の周りにいる同じ服装の女性たちは彼らと対峙している他の法力警察官、腕や装備に黒色を増した装飾をしている04(サクセス)、灰色を増した06(コミュニ)、色の装飾をしていない08(ディフェンダー)達を相手に翻弄している。

「おい!いつまで待たせる気だ研究者(リサーチャー)!さっさとその化け物を弓使い(アーチャ―)の所にやれ!お前に与えられた指令はそうなっているハズだ!いいのか?それで?」


「あ?あんだよ……ヴィッセンのヤロー……覚えとけよ……」

研究者(リサーチャー)と呼ばれた、青い男と行動を共にしていた紺色ジャージの女はすべてに興味を失くしたかのようにして門の中へと向き直る。

「おい、行くぞ。……」

と、知識(ノウレッジ)の方へ黒仮面を向け、隣に立つ青い男へ命令する。が、隣の者へ声を続けた。

「……いや、やっぱりお前だけであそこに行け!あの茶色い奴らの所だ。」

研究者(リサーチャー)弓使い(アーチャ―)へ向けて指をさすと、仮面の顎をしゃくって先を促した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―


清瀬小学校校舎の北側上空には火だるまの01(エース)が未だロールが回転する事で浮遊している。

……が、徐々に高度を落とし、地面である校庭まで人二人分程の高さまで落ちている。

その姿は脱力している様子で、とても元気な様子では無い。


そこへ最後に清瀬小学校へ向かった者が到着する。


白髪の頭で、立派な長い白鬚を生やし、顔はサングラスで目元を隠した妖精Gさん。

清田校長だ。

右手には小ぶりでほとんど機能していないファッションアイテムの杖を持ち、左肩には小さなポシェットバックを下げている。中には何も入っていない。

そう、彼の装備はほとんどが機能的に使われていないファッションアイテムである。彼は校舎の北側・校庭の東から現場へ足を踏み入れた。


「ほう……あれはもしかしなくても飯吹くんだな……」

そんな事を上空を見ながら言う清田校長は発言する。

生成(ジェネレーション)弾丸(バレット)

無駄に杖を振り回すと、空中に拳二個分程の水の塊が『プルプル……ボチャン!』と生成され、それはそのまま弾丸のように『ブォン……』と飛んでいく。

『パシャ!シュゥ……』

清田校長の放った水が01(エース)を包む火は消化する。

防護プロテクターや顔を守る仮面、頭を守るヘルメット、手足を守る厚手のブーツやメンパン、手袋、少し出ている髪の毛は所々焦げているように黒く(ススケ)けているが、他は特に目立った外傷はないようだ。

01(エース)の背中から伸びるポールの先についたプロペラが『フル……フル……』と目に見える速度で回転をする頃、01(エース)の足は清田校長の近くの校庭の土を踏みしめる。

頑張って毎日投稿できるように……出来たらいいのですが……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ