#10~力は変わらない~
時が戻る
『ガチャ……』「わっ!あっ……」『ダッ!ガッ……』
丁度その時、春香が玄関から現れる。しかし、バランスを崩したのか転びそうだ。
春香は『ズテン!』と顎から前に倒れる。起き上がると口を抑えながら痛がっている。
『……ヒューン…………ガサッガサッ!』
ふと見ると春香が持っていた武器が二つ秋穂の足元に落ちる。
男達はそれを見て遠巻きに様子を伺っていた。
懐かしさと頼もしさを思い出す様にそれを拾った秋穂。見るからに目の色が変わる。
「春香……よくぞ…良くぞ私の不十分な説明でこれを持ってきてくれた…流石は私の優秀な、愛すべき妹だ!」
「……」
秋穂の独特な言い回しに一人笑みを浮かべる風間。楽しそうである。
「……しかし、こっちはな…流石にこれで実戦は無理だろう…まぁ…これも懐かしい、高校時代の思い出が一杯詰ってはいるけど…」
使わない武器を腰のベルトに指すと手に馴染んだ得物を構えた。正眼の構えを取る。
「もう面倒だ!纏めてかかって来い」
…………………………風間は目を閉じて回想する
高校時代、一年間だけ同じ校舎に通い、先輩後輩の関係で聞いた。
当時の武勇伝そのままだ。
それは鬼気迫る清敬高校剣道部三年エース・主将兼部長。
烈土の鬼女こと、金山秋穂先輩の姿だった。
手に持つのは勿論竹刀である。
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勝也が遅れて玄関から現れ、春香の症状を診る。
「春香、舌を思いっきり噛んだな…今は我慢して舌を伸ばせ、気道を確保しなくちゃ駄目なんだぞ?」『んあ…いだい…』
勝也の読み通りに進んでいる様でもう出番は無さそうだ。
勝也は春香の様子を見る。
男達はそれでもどちらも決定打を打たせない様に長引かせていた。
しかし、今度は秋穂の動きが違った。
まずは小手打ちの様に手元に数発入れられると土装甲が削られ、男達の動きが鈍る
さらには胴打ちの要領で脇腹側から腹回りの土を削られる。
続いて情け容赦無く喉に突きを食らい、顎を引かされる。さすがにコレはかなり手を抜かれていた。
締めに晒される頭部を勢いよく撃ち抜かれ、数人が悶絶して戦線から脱落する。
風間の動きで翻弄されていた三人もすでに残り一人しか動けていない。
ちょっと頑張りすぎました…続きます。
不定期です。




