#105~二度目の力~
前回、#104~力の二度目~の別視点です。
話が進まず、申し訳ありません…
清瀬小学校の前にある公園・『日差し公園』に、今は誰も居ない。
”波”と呼ばれた少年は清瀬小学校の北。東西に通るサイクリングロードの歩行者通路に設置されたベンチに座り、仮面は少年の膝の上に置いている。
自分の役目を終え、休憩しているのだ。
『…ザーッ…』「……ん?”波”……!?」
そこに少しの音を立てて自転車が通りかかり、サイクリングロードでは驚きの声が響く。
『キィ!』とマウンテンバイクのブレーキ音を響かせ、歩行者用の地面に降り立つのは茶色いジャージの人影。
土系統法学研究所に顔を出す、男子大学生の山岡白樹は言葉を発する。
「岡”波”だったっけ?水研と土研の”集大成”様がこんな所でどうした?紅樹からは何も聞いてないけど…」
「工作員!!研究者からは何も聞いては…無いんですか?…な、なぜ?…」
白樹の言葉を聞き、すべてを察した、”岡波”と呼ばれた少年は、白樹と紅樹をコードネームで呼ぶと、その顔は太い眉毛を寄せ、白樹に説明を始める。
「…自分と研究者は今、作戦行動中です。…研究者は自分の力を試したいが為に工作員へ作戦の説明を省いて……そんな子供みたいな真似を……もし知識にバレたら…」
『工作員』と呼ばれた山岡白樹は『ま、まぁ、マテ…落ち着け』と言った感じに手を上げて制し、言葉を返す。
「”波”……まぁ、研究名は置いといて、名前は……岡波、樹太郎…だよな?作戦中なら仮面を付けろ?素顔の俺しかいないから、”作戦時は仮面着用”・”コードネーム呼び”はしなくて良いけど…」
”樹太郎”と呼ばれた少年は失敗顔を見せ、取り繕って喋り出す。素顔のままだ。
「じ、じゃあ、山岡さん」「白樹で良い。」「…すみません、白樹さん、紅樹さんは今、清虹川で『魔人』と居ます。暴走時の鎮圧を|品神さんから指示されて……」
岡波は自分の知っている事を話そうとする。
「今回の作戦は『観察対象への揺さぶり』ぐらいしか聞いていないので、自分も全貌を知りませんが……」
”波”改め、岡波樹太郎の言葉を聞いた白樹。
男子大学生の白樹は身内の情けなさに驚いている様だ。
「っ!今日が”作戦日”かよ…紅樹の奴!そんな大事な事を俺抜きで……紅樹のバカ野郎…」
白樹は双子の妹・山岡紅樹へ、怒りながらもやりきれない罵り声をつぶやく。
その後、”これからの対処”を思い着いたのか、真剣な顔で言葉を出す。
「…ちっ、まずいな……紅樹の様子じゃ、十中八九、その魔人はタダじゃ済まない……『力試し』に使われるのがオチだぞ…」
その時、岡波と白樹達二人の南側で盛大な音が鳴り響く。
『ドォン!プシャァ………キュン……”ガコン!ザバーン!!……”』
「ん?」「っ!早いっ…?」
そこでサイクリングロードの南、渦中の『清虹川』から、低く、振動音・砲撃音と水の落ちる音・高速に物が通過する音ののち、”堅い、重い物が壊れ、海の波の様な音”がした。
それを聞く白樹は顔を青くし、ベンチで腕時計を見る少年、岡波樹太郎へ急いだ様に言葉を掛ける。
「くそっ!、今回の”魔人”は『理性が残っているからコントロール出来る』って話だったな……おい、岡波、俺は紅樹の所に行く。…もし高山先生に会ったら、俺の事を軽く言っといてくれ。」
「えっ?」と言うのは『そんな伝言を頼む相手に自分を選ぶのは失敗ではないか?』と焦る岡波である。
「そんな、困ります。自分はそんな事を言える立場じゃ』「言い辛かったら、”工作員が勝手に動いた。自分は制止したんです。”って言って良い。高山先生ならそれで許してくれるって、」
岡波の声は白樹の言葉に被さって遮られる。白樹は自転車のべダルを踏んだ。
『ブォン…』と勢いよくサイクリングロードから清虹川への一般道を走り出す。
ベンチ近くに残された岡波は途方に暮れた。
「はぁ…………、高山先生…じゃなくて…弓使いへ報告に行かないと…」
岡波少年は言葉の途中で、土色の仮面を付けてベンチを後にする。
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