#104~力の二度目~
すみません…話があまり進みませんでした…
もう少し早く進められるように頑張ります。
少しの改稿を入れました。
話は変わりません。
清瀬小学校では昼の少し前、その日の最高気温を記録し始める頃、避難訓練のサイレンが鳴り始めていた。
『ウゥ――………、ウゥ――――、ウゥ――――、……このサイレンは訓練です、昼休み中、体育館で火災が発生した場合を想定しています。体育館近くにいる者は、速やかにグラウンドへ避難してください。担任の先生は自分の担当教室に急行してください。校舎内に居る者は近くの教室、又は、職員室へ慌てずに移動し、大人の指示に従ってグラウンドへ避難してください。このサイレンは訓練です。繰り返します、昼休み中、体育館で火災が発生した場合を……』
非常用訓練のサイレンが鳴った時、勝也は三年一組の教室でクラスメイトと話をしていた。今日は朝の会で点呼を取ると、サイレンが鳴るまで自由行動の時間だった。
見ると三年一組のクラスメイトは、他の場所で自由に過ごしているらしい。男子児童はグラウンドでサッカー等に興じている様であった。
三年一組の教室にはクラスメイトの三分の一もいない。
間もなく一組の担任教師、神田圭介教諭が勝也達が過ごしていた教室に現れる。
走って来た様で少し息を切らしているが、焦りは無い、平常運転だ。教室の児童達に話し出す。
「はぁ…よし、教室に居る児童は教室の外に並ぶように!他学年、他クラスの児童も一緒に。順番は見た感じの背の順で、仲の良い同士で多少は背の順を無視しても良いから、急いでー」
勝也は、出席番号と席が近い、マイペースな石巻譲・江藤晃一、春香、転校してきた事で席が近い双子の妹、山郷朱音と話をしていた。
教室の外には『自然公園の季節を見る(春)』の展示を見ていた、高学年児童や低学年児童なんかもいる。
様々な学年の児童が入り乱れる場合は背の順に並ばせる事で、年上の者が後ろに並ぶ様にしたのだ。
「じゃあ、行こう、こういう時の神田先生は怒ると厄介だからなー」
石巻が気楽に声をかけ、勝也達が教室の外に出る。
と、他の二組、三組……のクラスでも同じ様にして児童が並び始めている。
三年一組の前に並ぶ児童の数は『自然公園の季節を見る(春)』の為か、他のクラスよりも若干多い様に思われた。
神田先生は一組の前に並ぶ人数の多さに『多いな…』と戸惑いながらも、気を取り直して声を張り上げる。
「三年一組の教室前に並ぶ皆、聞くように、人数が思ったよりも多いので三列に並びます。一組が出発しないと二組、三組…と、後に続くクラスが出発出来ません!皆、急げー!『おかし』だぞー!」
そこで想定外の事態が起こる。
『ガコン!ザバーン!!……』
『え?…』『な……何?…』『?今年は火事だろー?』『音を間違えたんじゃねーの?』
二階の校舎東側に居る、三年一組から見て、西側、体育館の方角から、堅い、重い物が壊れ、海の波の様な音がした。
神田先生は驚きの声を上げ、後に続くのは整列し始めた児童・上級学年の声である。
『ウゥ――――――!、ウゥ―――――』
再度サイレンが鳴った。
神田先生は『えっ?また?』と疑問顔である。
予定にはないサイレンらしい。
「今年は駄目駄目だな……」「どうせ暇だから、良いんじゃね?」
と上級学年の児童は笑いながら、『サイレン・効果音のミス』と囃し立てて私語が目立つ。
勝也も『ふーん…まぁ、毎回やるもんじゃないしな…』と心の中でその私語・上級生の考えを肯定していた。
次のアナウンスを聞くまでは。
『ブッ!、こ、このサイレンは訓練ではありません!突然の水害が発生!!『ぉぃ!消防と市役所に……』っ!!『ブチッ…』……」
なんと、又もやサイレンが鳴る。
先程の訓練時の声とは違い、非常事態のアナウンスを送るのは木麻清次副校長である。
訓練の声と同じ人なのだが、訓練時と本番時のアナウンスは声の質・焦り方が違い、あたかも別人と錯覚してしまう程だ。
アナウンスの裏では突然の事に怒鳴る、小路松也校長先生の声が遠くに入り、慌ててマイク・スピーカーの音を切った様だ。
木麻副校長先生の声が尚も清瀬小学校のスピーカーから聞こえて来る。
『プチッ…』「き、清虹川の水が本校に流れこみ、体育館側の校庭入り口が浸水しています!こ、これは訓練ではありません!原因不明の水害事故発生、体育館側の校庭入り口に………今は1㎝程度、浸水しています!!……」
避難訓練時に原因不明の浸水事故が発生したらしい。
「えっ、マジ?」「やべーって!清虹川と清瀬小って、結構離れてるじゃん!」「川とは1㎞ぐらいしか離れてないぞ?」「そうですぞ!」「校庭に早く逃げますぞ?」「静かに!『喋らない』だぞ?6年!スピーカーからの声が聞こえないだろ?静かにしなさい!最上級生が恥ずかしい!」「………」
上級生・6年生のふざけ気味な掛け合いに、怒鳴り散らす神田先生である。
その浸水に対処する為、木岡副校長先生は細かい指示をスピーカーから流す。
「……現状、人が通れない程では…ありませんが……念のため、二年・四年年・六年の教室にいる者は、正面玄関からの避難経路に変更します!これは訓練ではありません。多少の猶予はあります。落ち着いて行動してください。清瀬小学校の校舎は高い位置にあり、浸水は『少し流れて来た』程度なので、騒ぎ立てる程ではありません!!当初の予定通り、校庭に避難してください。繰り返します。二年・四年・六年の偶数学年の教室、校舎西側にいる者は、避難経路を正面玄関からの道順に変更してください。一年・三年・五年生側の教室、校舎東側にいる者は、予定されている避難経路で校庭に避難してください……』
「…っ!!整列したな!これから階段を下って、一階に行き、校庭に向かいます。前の人と離れない様に!、、では出発!」
神田先生は一瞬呆気に取られるも、教室前から階段に向かう。
三年一組の教室前に整列した児童達は階段を駆け足気味に下っている。
児童の先頭には、階段を”駆けない”程度に降りる神田先生だ。
神田先生は後に続く児童へ、大きな声をかける。
「皆、落ち着いて!一歩一歩確実に足を階段に付けて行動する様に!『押さない、駆けない、喋らない』の『おかし』は守って、遅れない様にキビキビ行動する様に!!……停まる事もあるから、前の人の動きには目をそらさないで!!」
「すげぇ…」「こんな事ってあるのか―」
と他学年の児童達が所々喋りながら勝也達の前を歩いて行く。二年生で最後の方に避難する者達だ。
彼等は校舎西側にいた児童達で、清瀬小学校の校舎に入ってすぐの所にある『憩いの場』の前を通って正面玄関から外に向かって行く。
勝也達校舎東側にいた児童達は階段を下り、一階の『憩いの場』横に設置された内玄関から校庭に向かう。
『憩いの場』横の、校庭に向かう内玄関は狭く、今内玄関から外に行くのは一年生最後のクラス。
勝也達は一年六組の児童達が内玄関から校庭に出るのを待っている。
一年生はそのほとんどが教室にいたため、一年生はほぼフルで校庭に移動している状態だ。
上の学年の児童達は、年齢の反比例グラフの様に、教室から移動してくる児童が少ない一面を持っている。
学年が上がる事で休み時間の過ごし方が違うのだ。
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