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力の使い方  作者: やす
三年の春
104/474

#103~力のサイレン~

遅くなりました…

清瀬小学校は今日の大きな予定として、避難訓練が予定されている。

”大きな予定”とは言うが、他の行事は勉強の授業すらなく、給食も無い、遅く登校するが、昼で下校する程の予定の無さだ。

児童が学校に居る時間は三時間程だ。

いや、「予定が無い』と言う予定がある。


『遅く登校する』と言っても、実際にはいつもより二十分長く校門が開いている。

常日頃の学校だと、登校時間が終われば校門が閉まる、校門が閉じた後に登校した児童は体育館と校舎の間にある、職員入り口から学校に入る事になる。

校門が閉じる程遅刻した児童は、職員入り口を利用する事になり、其処の名簿に名前を書く事で『遅刻』の記録が付けられる段取りだ。


この日、外から入る事が出来る箇所である『正面玄関』・『職員入り口』・『体育館入り口』のうち、

『体育館入り口』に詰める警備員が少しの間持ち場を離れ、訓練用のサイレンを操作する。

その間、体育館出入り口は物理的に封鎖するので特に問題は起こらないはずだった。

そう、”起こらないはず(・・)だった”のだ。

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今年の清瀬小学校、日中の暑さが肌を撫でる頃に行われる、『春の避難訓』は訓練用のサイレンがなかなか鳴らず、

他の学年の児童が三年生の教室に訪れ『自然公園の季節を見る(春)』の発表をフライング気味に見学を始めている。

何処からか情報が漏れたのだろう。別段秘密にしている訳でもなく、三年生の兄妹や、他学年の教師が言ったのかもしれない。


今日の避難訓練は”休み時間中の”災害を予想して、訓練開始時、『児童たちの居場所は自由』となっている。

自分の所属する教室外でサイレンが鳴っても、近くの集合場所に集まり、学年分けせずに、校庭へ避難する段取りである。

避難先の校庭で、各学年・クラス別に整列し、その時間を測るのだ。

児童が各教室で自分の椅子に座っている時、予定されたサイレンが鳴り、担任の教師が先導して避難した時間を調べても、避難時間はそれほど変わらないだろう。

もしそれを何度繰り返しても、結局は”1・2分”の早い・遅い程度しか変わらない。

その『1・2分程度』で救われる命はあるのだろうが、それよりも『”様々な状況”を想定して避難訓練した方が有意義』と清瀬小学校・清虹市の教育委員会は思っている。『様々な状況で対応できる様に』を願っての物だ。


勝也達壱班の模造紙にある、どれが一番良い写真かを、他の者が投票する、『清虹公園遠足・写真展』では全学年向けに写真が一新されている。

前のクラス内での投票と違う点は『写真が題名付き』な事だ。

一覧にすると以下の写真である。


勝也・壱班メンバーがカメラ片手に写真撮影・公園の中を歩いている一枚:『写真を撮る者』

七川・勝也と純一、勝也の手にはカタツムリが乗っている写真:『雨にカタツムリ・清虹公園』

純一・公園の広場に居る人達(:通行人で他人である、個人が特定出来ない程度に小さい):『公園に居る生き物達』

茉奈・タンポポの一輪:『タンポポ』

朱音・公園内部での壱班メンバー休憩風景、春香が水飲み場で水を飲んでいるのが全面で、後ろのベンチに小さく映るのは壱班男子;『水飲み休憩中』

春香・壱班の一部面子:『春の出会いと別れ』※#43~力の討伐~参照


事前に昨日、壱班メンバー、勝也・七川・純一・茉奈・朱音…の順番で班内に見せ合い、被らない様にしていた。

春香は最後の一人として、写真を当日持って来たのだ。

勝也はこの日、春香に抗議の声を上げたが、この一枚しか無い為、泣く泣く了承したのである。

勝也が皆の写真を刷り、フィルムと一緒に皆へ渡したので、全ての写真を把握している。

だが、その時にはこんな写真は無く、勝也としては思いがけない一枚だ。


マナーは顔を赤くするも、恥ずかしがり、何も言わない。

と言っても、奥に写っている女子児童がマナーとは解らない塩梅だ。

それが解るのはその現場に居た壱班の面子だけである。


その壱班の模造紙を廊下で見る他学年の児童達は『なに、これ?…』『ウケ狙い……?』等と笑いながら投票していく。

投票は置かれている紙に、学年・組と出席番号を書いて箱に入れる方式である。

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清瀬小学校の目の前にある公園、『日差し公園』では黒ジャージの男達三人が何もせずに固まって待機している。

三人のうち一人、弓使い(アーチャ―)はおもむろに他の者へ声を掛け始める。

「…そろそろだな、『魔人』と”波”には、発言の用意。法力が予定通りに発現されたら全員で行動を開始する。」



朝の空気が薄まり、だんだんと昼の時間に変わろうかと言う時。

清瀬小学校は『ウゥ――………、ウゥ――――、』とサイレンが鳴り響かせる。

(ry

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