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ロレンヌ奪還作戦 その2

 切羽詰った状況にドラゴマ軍の騎馬隊の統制力は失われていた。空からは死の雨、大地からは迫り来る業火。上も下も攻撃された兵士らは恐慌状態に陥いる。当然、混乱した舞台は士気も低下する。ルベアの目的は大方、成功したといえる。あとは空き城になったロレンヌが陥落するのを待つだけである。


 だがドラゴマ軍にとってはこれ以上もない究極の絶望が迫りつつあった――――――それは闇のそこから戻ってきた邪悪なる魔王というべき存在、最強にして最悪の相手が、彼らに迫る。


「ボアラ卿!! 撤退しましょう」


 ボアラの部下たちが青ざめた顔で言い寄る。


「俺様が撤退だと?! ふざけんじゃあねぇ!! 俺様は老いぼれじじぃをこの手で殺すまでは、退かねぇんだよ」


 その部下を突き飛ばした。


「しかし、このままでは」


 そんな、混乱の最中、先頭列の兵士らがある一点を凝視した。


「ま、なんか……来る……?」

「人か……?」


 凝視する兵士らの目に映るのは一人の人影であった。その人影は燃え盛る火の中を走るように迫ってくるのだ。火の中から人影が現れる。それには、驚愕してしまった。


「……て、敵……?」

「そんな……火の中を……?」


 ドラゴマ兵の目の前にいるのは黒髪の娘が立っていた。それはミネルヴァだった。彼女は燃えているところを避けて進めば、熱さなど大したことないのだ


「た、隊長……なんなんですか? あれは」

「お、お前は何者だ!」


 その言葉にミネルヴァは口を開いた。


「貴方たちは本当に邪魔です。私は怒りを覚えます。いつも、いつも貴方たちが邪魔をし、ご主人様に会えない……だから……帝国より先に決めました」

「な、何を決めた?」

「帝国より先に―――――貴方たちのドラゴマを滅ぼす事をです」


 表情は変わらずも異様な雰囲気が滲み出ていた。ドラゴマ兵らは息を呑む。


「貴様?!」


 ドラゴマ軍の部隊長が剣を抜こうとした。その瞬間にミネルヴァは反応し迫ってくる。それも、かなり速かった。


「う、討ち取れ!! 早くしろ」


 部隊の隊長各らが焦るように兵士らに指示を出す。


「「「うぉぉぉおおおお――――――ッ!!!」」」


 ドラゴマ兵らは次々とミネルヴァに剣を構え立ち向かった。


 だが、ミネルヴァはその剣を華麗に避けていき、馬の首と兵士ごと、斬りつけたり、ドラゴマ兵の武器を奪い、縦横無尽に自分の思い通りに剣を振るう。兵士らのぐぐもった声や悲鳴が上がる。


「ど、どうして、剣が当たらないーあぁぁあぁぁ!!」

「なんなんだ!! あいつは!! 俊敏過ぎて、目が追いつかない」

「あ、あんなの人間技じゃない」

「ば、化け物か!?」


 ドラゴマ兵はミネルヴァの剣技に圧倒され一人ずつ確実に仕留められていった。まるで、獲物を狩る狼のように追い詰め息の根を止める。ミネルヴァは戦っているとき、無意識的にドラゴマ兵の部隊長に背中を向ける。これは、チャンスと感じたドラゴマ兵部隊長は行動に移した。


「それを貸せっ!!」


 部隊長が兵近くにいた兵士から強引に奪い取り、ミネルヴァに狙いを定め引き金を引く。押し出された矢は回転の速力を上げ、ミネルヴァの背中に向かって飛ぶ。


 だが、ミネルヴァはそれに反射的に反応し、近くにいたドラゴマ兵のむなぐらを掴んで人盾にした。


「ぬぁにぃ?! くそ。矢だ!! 早く渡せ」

「はっはい!」


  一人のドラゴマ兵が部隊長に矢を渡す。一瞬、ミネルヴァから目を離しただけなのに彼女は自分の目の前まで、迫っていた。


「いっいつの間に?!」


 驚きつつも急いを矢をつがえて放つ。だが、それをあっさり避けるとミネルヴァは踏み込むようにして、右足を軸に飛翔した。その場にいたドラゴマ兵はそれに視線を送る。ミネルヴァは空中で前へ回転しながら剣をドラゴマ兵部隊長の頭部に斬りつけるのであった。

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