調査報告
タイトル通り、おまけです。
一応、奴隷監視委員会がどんな仕事をしているかを書きました。
ちょっと、独特な書き方になりますので、混乱されたら、申し訳ありません
彼女の名前はグラリス・アレイシア。奴隷監視委員会、第十一保安部隊所属。大隊長殿の直々の命令により、とある任務を遂行する為、現時刻をもって行動を開始する。今回は対象者を三日間監視し内容をここに書文として、記録に残すことである。早速、書くとする。
一日、対象者が奴隷として所属するのは、キンブレイト家である。朝、八時頃、対象者の主人である、ヨハンネ殿は奴隷である対象者により、担がれた状態で屋敷から出て来た。この時、グラリスはヨハンネが殺されたと思い、直ちに報告するつもりであったが、よく見ると、ヨハンネは生きていた。どうやら静かに抵抗をしなていないようだった。
その後、中庭に行き、対象者は主人であるはずのヨハンネを物の様に放り投げた。様子をしばらく、うかがった所、朝の剣術稽古をし始めた。だが、教える側は主人ではなく、奴隷である対象者だった。この不思議な光景に、グラリスは浅はかにも身を乗り出してしまい、思わず、音をたててしまったのである。通常、この距離とこの小さな音であれば、気がつかないはずなのだが、対象者は即座にこれに反応した。
「ん?」
「どうしたの?」
ヨハンネはミネルヴァに聞いた。
「……あそこに誰かがいます」
グラリスの方を向き、指差した。まるで、目を光らせる狼のように見えた。彼女は急ぎ、臨機応変に動物の真似をした。
「ワン! ワン!」
今思えば、恥ずかしいかぎりだ。
「なーんだ。犬だったみたいだね」
ヨハンネはグラリスのモノマネに騙されたようだ。
「……そうみたいですね」
後味悪い様な顔をした。
(――――――――間一髪。どうやらごまかせたようだ)
奴隷監視委員に成ってから、こんな緊迫した場面に直面したのは久々だった。
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一日目の昼十二時。
対象者とその主人は庭のテーブルに移動しヨハンネは椅子に座り、おもむろに本を読み出した。対象者については、主人の背後に立ち、ヨハンネの姿をずっと眺めている。このとき、グラリスはヨハンネをどう殺そうかを考えているのではないかと思ってしまったが、本が読み終わるまで、何もなかった。どうやら、主人が本を読み終わるのを待っていた様である。ここで、忠誠心及び勤めるべき任務を全うしているようである。
その後、対象者はメイド服に着替え、キンブレイト邸の隅々まで、掃除した。特に力が入っているのが、ヨハンネの寝室である。さすがに中までは確認できない。
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一日目の夜
食事の時、対象者はヨハンネの背後に立ち、食事が終わるのをずっと待っている。この時から、対象者となぜか、目が合う様な気がするが……。
(――――――――まさか、私の存在がばれているのか?! いや、待て待て。見よ。この完璧なカモフラージュを…)
グラリスは自分に言い聞かせるように言うと、再度自分の服装を確認した。黒髪の奴隷は落ち葉を集めて作ったマントに覆いかぶり、両手には小枝を持っていた。その後、就寝のとき、対象者は邸宅から出てこず、明かりが消されても、動きは無かった。どうやら、邸宅内で寝ているようである。
(―――――――――かなり、珍しい)
通常ならば、馬小屋、倉庫など、隔離された場所で寝起きするはずであるのだ。グラリスはなぜか違和感を感じた。これまで、監視した奴隷とは格段に違い、今回の対象者は反抗心、殺意が全く見られない。奴隷としては優秀であると評価する。今後、残り二日間の監視を継続する事にした。




