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第一章第三節⑪ HeaRt beat

[HeaRt beat]

2014.5.21 11:04:12 星見里研究所内部(第三試験室)

side:白波 月夏


体はとうに悲鳴をあげている。

だが、やるしかねぇ。なんとかして、この化け物をあそこまで誘導する。

今の足では奴のリーチから走って逃げることはできないだろう。

となると、少しずつ寄る間全ての攻撃の直撃を避けるしかねぇ。

「来な、化け物」

「wrrrrrrr……」

突如、腕を横に広げて突っ込んできた。

掲示板で一昔前にブーンというアスキーアートがあったけど、格好そのものはあれなのに、この局面でされると流石にやばい。

「さっきまでの腕振り攻撃じゃねぇのかよ!!」

このまま挟まれたらパティの出来上がりだ。月見ならぬ月夏バーガーにされてたまるか。

「うぉらあっ!」

化け物が腕を閉じようとした瞬間右上に飛び、そのまま迫り来る腕に手をのせて腕を飛び越える。

これで少しは距離を稼げ……

「うおっ!」

空振ったと思ったらそのまま裏拳で殴ってきたのを伏せて躱す。

やはりそう簡単にはやらせてくれないか。

急いで立ち上がり構える。

化け物はパソコンを掴み上げており……

「嘘だろ」

咄嗟にデスクのある方へ飛んだ直後、さっきまでいた場所に弾丸になったパソコンが通過し、壁に刺さっていた。

少しずつ隙間をぬって貯水槽に近づくしかないが、もしさっきの手を使われて槽が割られたらあの仮説も無駄になる。

畜生、どうすれば……

いや、思い出せ……あの親父殿から教わったことを。

目先に囚われるな、相手の本質を見抜け。

……そうか。教えてもらった中に、ひとつだけある。この状況で、使えるかもしれない技が。

親父……力を貸してくれ。

槽まであと4m。

向こうも確実に仕留めようと、やってくる。

チャンスは一度きり。

「フーッ」

深く息を吸い込んだ。


また、あの感覚だ。

周りの時間がゆっくりに感じる。

今しかない。

奴は両手を振り上げている。

アームハンマーか。

ならば、まず、崩す。

掌底。

顎に入った。

肩から当身。

バランスを崩したな。

右腕を抱え込む。

流石に重いな、クソ!

だが……重心は高い。

これなら!

「うぉらぁ!」

一本背負い。

だが、途中で崩す!

頭から落とす。

禁じ手、脳天落とし。

地面に突き刺さりやがれ!!


ダァン!!

決まったか!?

「アナ!!」

これで決めれなきゃ全てがおじゃんだ!

頼む!

「待ってたよ!」

腕を大きな刃にしていた鴉那の、槽への一閃が走る。

その中に溜まっていた液体が、化け物に降りかかった!

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