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5 朝ごはん

 暗闇の中で気が済むまで寝て、流石に腹が減り顔を歪めながら光に出てきたところで、いつの間にか太陽が東に移動していることに気がついた。僕が物置部屋に引きこもったのが確か西に落ちていく時だったので少なくとも一度夜が過ぎていることになる。一度も屋敷から出ておらず、何度日をまたいだのかわからないが、起きる時間は冒険者をやっていたときと同じ早朝だった。まだ癖が抜けていないのだろうか。


 当然ながら屋敷に食べられるものはない。となれば外に買いに行くか何処かで食料をとってくるしかないが、金はあっても店の場所を知らないので取れる選択肢は一つだけだった。しかし困ったことに僕は魚の取り方を知らないし、食べられる草の種類も知らない。何も考えず王都を出てきたが保存食の一つでも買ってくればよかった。僕はナイフだけ持って屋敷を出た。


 とりあえずそのへんの草を食べていれば飢えはしのげるだろう。幸い屋敷の外には食うに困らないほど草が生えている。僕は屋敷を出てすぐの場所に生えている名前も知らない草と黄色い花をナイフで刈り、口に放り込んだ。すぐに口の中に苦みと青臭さが広がる。これまで食べていたパンや干し肉も不味かったけれど、そもそも生命を維持するために食しているのだから味なんてどうでもいいのだ。その日を生きられたら、何を食べても同じである。


 草を刈って、口に放り込む。咀嚼しながら今度は花を刈って、口に押し込む。これを腹が一廃になるまで繰り返す。


 通りがかりの男性の老人と目があった。老人の顔には老化で増えた分以上の皺がより、僕に化け物でも見るような目を向けてくる。そして足早に立ち去ってしまった。僕は構わず草を食べる。


 腹が膨れたら、また物置部屋に戻り、床と一体化する。魔王を倒した僕は、あとは死ぬまで生きるだけだから、これが一番合理的な生活なのだろうと思った。

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