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詩全集3

初雪

作者: 那須茄子

今見た空の青が剥がれて

まぶたの裏で散った

ちぎれた雲の切れ端を

拾い集めているのは多分

初恋の人


たとえば喉を震わせる

たわいのない言葉の裏側に

隠されたままの焦りの所在を

僕は知っているふりをしていた


簡単なことばかり数え上げて

簡単なことばかり祈った日々は

やがて感覚を鈍らせて錆び始める

真っ二つにされた断面に残された

甘いだけの味じゃない苦み


 

だからなにもかも手放した

この僕のその手にはもう

誰も掴めないほど脆いカケラが

転がっていくどこまでも

砂に混じってなくなる



しんしんと降り落ちる雪に紛れて

初恋の人はそっとやってくる

僕は気付いてない振りして

肩にその手が置かれるまで

黙って待っていた


簡単なことばかり数え上げて

簡単なことばかり祈った日々ももう

今見る空のように剥がれていくに違いない


粉雪がちりちり

まぶたの裏で散った

ちぎれた垂雲の切れ端を

拾い集めているのは多分

初恋の人

僕は舞い上がりそうだ

この心は初雪

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