春輝の受難。①
Ep65です!
終わりが見えてくると少し寂しい気持ちになりますね。
今日も、ごゆるりと。
先輩との同棲生活にも慣れた頃だった。
焼けるような日差しを浴びながら、柏木と2人で新規開拓の営業をしていた。
「なぁ、暑くね?」
柏木がワイシャツを仰ぎながら言う。
「……暑いな。」
僕も頭から汗が溢れ出ていて、気持ち悪い。
「昼飯どっかで食べてくか。」
「…そうしよう。」
暑さでやられた僕たちは、お店に入る頃にはすでに気力が奪われていた。
「担々麺の冷やにしよう。…あと炒飯。」
僕の言葉に柏木も同意する。
僕たちは空腹を満たしながら話をする。
「なぁ、お前最近大丈夫か?」
「なにが?」
「土田さん。」
「…あぁー…。」
ここ数ヶ月、僕は土田さんに悩まされていた。仕事中にも関わらず、仕事以外の内容で僕にしつこく絡んでくるのだ。
また、最初は僕に仕事を教えてほしいからと2人きりの機会を要求してきて、次は食事、就業後の待ち伏せ。……いくら断ってもキリがない。
「まぁ、大丈夫ではないかな。」
「ターゲットを陰山に絞ったって感じだな。」
柏木は、ため息混じりに言う。
社内に戻って来た僕に、土田さんがアイスコーヒーを手渡してくる。…ちなみに隣にいる柏木のアイスコーヒーはない。
「さっき柏木とコーヒー飲んできたばかりだから、要らないよ。土田さんが飲んで。」
僕は、はっきりと断る。
つまらなさそうな、不機嫌な表情をする土田さん。
最近はいつもこうだ。そうやってれば、僕が折れると思っているらしい。
「土田さん。午前中に指示出した資料は出来た?」
柏木が助け舟を出してくれる。
「あともう少しで終わります。」
「なら、終わったら声かけて。」
柏木と共にデスクに戻って仕事を続けたー。
週末。
今日は幹樹先輩とデートだ。プラネタリウムを観て、近くで買い物をする。
「プラネタリウム、綺麗だった。」
「はい。僕も初めてでしたけど、凄かったです。」
「な。いつか星が綺麗な場所に行ってみたいなー。」
「行きましょう。旅行しましょ。」
「いいね。」
僕はそっと、隣にいる先輩の手に、自分の手を重ねる。指を絡める。
幹樹先輩は、はにかんで僕を見る。
「今日のご飯、何しますか?」
「んー夏だからさっぱりしたもんがいいなー。」
そんな話をしていてると、後ろから名前を呼ばれる。
「陰山さん。」
振り返ると、そこには土田さんが立っている。
…慌てて僕は幹樹先輩と繋いでいた手を離す。
「……こんにちは。」
嫌な緊張が走る。
「こんなところで会うなんて、偶然ですね。」
彼女は不敵な笑みを浮かべて立ち去る。
ーー翌日。昼休み。
僕は土田さんに呼び出される。
「…陰山さんって全然私に靡かないから、不思議に思ってたんですけど。……男の人が好きなんですね。」
小さく、彼女は言う。
「だったら?」
「このことって、社内の人知ってるんですか?」
「……は?」
「知らないんだ。
私、結構アピってるのに相手にしない陰山さんのこと、ちょっと嫌気が差してるんですよね。
社内の人たちが今回のこと知ったら、どんな反応するんですかね??」
意地悪な顔で言う土田さんに、僕は何も言えずに立ち尽くす。
「…おい、陰山??大丈夫か?」
柏木が、僕を見つけて声をかけてくれたから、彼女は立ち去っていく。
「……大丈夫。」
僕は呼吸が荒くなっていたーー。
ありがとうございました!!
これからもよろしくお願いします!
お知らせです⭐︎
後輩に挿絵を描いてもらったので、Ep1に載せています。
ぜひご覧ください!!




