幹樹先輩の独白 壱
Ep57です!
よろしくお願いします!
春輝から実家に帰るとLINEを貰ったのは3日前だった。
『一緒に暮らすこと、お互いの家族に話しませんか。』
春輝がこの前俺に伝えた言葉を反芻する。
俺は、幼い頃からひとりぼっちだった。家にも学校にも、俺の居場所はなかった。
俺の両親は、俺が小学生の頃に離婚。
父は外資系企業の営業職で海外赴任をしていた。そのため、家にいることはなかったが、稼ぎはよく、昔から俺も不自由なく暮らせていたのだ。
母は、若く自由で明るい性格。基本は専業主婦だが、暇になると短期のパートをやってお小遣いを稼いでいた。友だちが多く、家には男性女性問わず色んな人が遊びに来ていた。
母は、俺の面倒を見るよりも、友だちとの時間や優先することが多かった。
俺は、いつも同じ服を着てお腹を減らしていた。
「お母さん、お腹空いた。」
「…冷凍のピラフでも作っておきなさい。」
そう言って、母は友だちと寝室に籠る。翌朝まで、母が部屋を出てくることはない。
俺は、母の時間を邪魔したいとは思わなかった。
いつもと一緒。冷凍庫からピラフの袋を出す。
コンロに手が届かない俺は、踏み台を置いてフライパンにピラフをバラバラと落とす。
この作業も、俺にとっては慣れたものだった。
だけど、いつまで経っても、飛び散るピラフが腕に当たり火傷をする。
ヒリヒリする腕を冷やしながら、俺は出来上がったピラフを食べる。
それでも、お腹は満たされない。
母は、男友だちと別れた際、時折イライラとしていたことがある。
そんな時は決まって、母は俺にこう言う。
「あんたも、人を信じちゃいけないよ。どうせ、みんないなくなるから。」
「幹樹、私とあんたはね、不幸な人生を送るしかないのよ。」
今だからこそ分かるが、その男性たちは母の彼氏だったんだと思う。
そんな生活も1年ほど続いたある日、俺は警察の通告により、児相相談所で一時保護された。
…俺は母と離れ離れになることを望んでいなかった。
なのに。
数日間、狭い部屋で他の子供たちと過ごすことを余儀なくされた俺は、孤独を感じた。
父が俺を迎えにきた時には、すでに母はいなかった。
ーー父に理由を聞くと、母が家を出て行ったことを聞かされた。
その時に思った。母の言った通りだったと。
俺が大好きな母は、いなくなった。
俺は、とてつもない喪失を感じたー。
後輩が挿絵を描いてくれています。
※無断転載禁止
ありがとうございました!!
いよいよ、終盤です⭐︎
これからもよろしくお願いします!




