最後の夏合宿②
EP31です!
よろしくお願いします!
3日目の朝。
僕はいつもの部屋で、昨日撮った写真を見返していた。夏生とのツーショット、同期との写真、冬真に髪をセットした時のツーショット、夜のBBQ。
前に、幹樹先輩に僕と撮りたいと言ってもらった事を思い出す。その時の先輩の横顔は、今でも忘れない。
早いなぁー。もう卒部か。
食堂を見ると、ちらほら朝ごはんの準備が始まっている。僕もお皿を並べるのを手伝う。
みんなが揃い、冬真が大声で「いただきます!」と言う。みんなも続く。
今日の朝ごはんは、施設の人が作ってくれた。僕の好きな焼き鮭と、だし巻き卵が並んでいる。…嬉しい。
僕はそれらを口に頬張る。
「うん、美味しい。」
なんて幸せな朝だ。
朝ごはんを済ませると、荷造りをして、最後のレクリエーションが行われる。ー僕たちの卒部だ。
ひと通りの内容が終わり、あとは僕の卒部の言葉のみとなった。
「今日まで、みんな、ありがとうございました。みんなは、このオーキャンスタッフに入ったきっかけを覚えていますか?…僕は、憧れの先輩のようになりたくて、オーキャンスタッフに入りました。
ただ、それだけのきっかけで。僕自身は成長出来たし、最高の仲間に出逢うことが出来ました。ここが、僕の居場所です。」
あぁ、寂しいな。
みんなの表情が、寂しそうにゆがむ。
「……冬真。」
僕の声に、彼は「はい」と応える。
「あとは、任せた。……よろしくな。
みんな、ほんとうに今日までありがとう。」
気づけば、僕の目からは涙が溢れていて視界が歪む。
ーー1年生の時の僕。あの時の先輩たちみたいに、泣いて卒部することが出来たよ。
秋学期が始まる。ゼミに顔を出して、卒論の進捗を教授に確認してもらう。
「陰山ー!久しぶりじゃないか。文献研究は進んでいるかー?」
教授は、僕の卒論を確認しながら言う。
「夏休み、これでも頑張りました。」
「…うん。良いんじゃないかな?あとはー……」
教授の助言が始まる。僕のために言ってくれてるから言うべきことではないが…、この感覚は1時間は拘束される。
1時間後。
「引き続き、頑張って。」
「ありがとうございます。」
教室を出た僕はへとへとだ。そのまま、スーツに着替え、就活を行う。
9月中旬。僕の元に第一志望の企業からの連絡が来る。おそるおそる電話に出る。
『ぜひ、我が社で一緒に働きましょう。』
内定がもらえた瞬間だった。
僕はすでに内定が決まっている夏生に連絡をし、共に喜び合う。夏生の提案で、焼肉に行くことになった。
「おめでとー!おつかれー!」
僕たちは盛大に乾杯をする。
「やぁーこれで東京で働ける。やったな!」
夏生は嬉しそうだ。
これまでの苦労話をしながら、夏生は珍しく酔っ払ってしまったようだ。
「春輝ー!幹樹先輩には言ったのか?」
「いやまだだけど。」
「今言えーー!」
そう言って彼は僕の携帯を差し出す。
「え、今?」
心の準備が出来ていない。
「そ!今!電話しろー!」
楽しそうに笑う夏生とは裏腹に、僕は緊張する。
しかし、ここで酒の勢いを借りて電話しなければ、僕はずっと報告しないだろう。
意を決して、先輩に電話をする。コールの度に、鼓動が高鳴る。
『もしもし?』
幹樹先輩の声がする。
「もしもし、春輝です。お久しぶりです。」
『久しぶり。どした?』
「あ、あの。僕就職決まりました。」
『あーおめでとう!』
先輩は喜ぶ。
「ありがとうございます。それで、春から東京に行きます。」
『……そなの?』
「はい。……ご迷惑でしたか?」
『んなわけないだろ!会えるの楽しみにしてる。』
「はい。ありがとうございます。」
僕は電話を切った。僕の電話を眠そうに見守っていた夏生はご満悦だ。
「よくやった。」
彼は細い目をしてふふっと笑う。
「ありがと。…てかもう眠いだろ。帰るよ。」
「んー!」
こうして、僕たちは卒論の提出と卒業を待つのみとなった。
いつもありがとうございます。
いかがでしたか?
これからも、よろしくお願いします。




