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太陽の人と、日陰の僕  作者: ことね
僕と先輩の出会い〜大学生活について
30/69

最後の夏合宿①

Ep30です!

いつもありがとうございます。

今日もよろしくお願いします。

 8月。最後の夏合宿が始まる。

 新幹線で大学の施設に向かいながら夏生と話をする。


「1年の時、新幹線で幹樹先輩に髪セットしてもらってたな。あの時から春輝の雰囲気が変わったんだった。」


「そう。幹樹先輩にいろんなこと教えてもらったから、ようやく形になった感じ。」

「幹樹先輩と出会って、お前本当に変わったな。」

「うん。幹樹先輩に会いに来て良かった。オーキャンスタッフに入らなかったら、今の僕は居ないから。」


僕たちは、後輩たちを見る。

「みんなも、ここで成長してもらえたらいいな。」

僕は、夏生に伝える。

「そだな。」


 夏合宿では、新入生歓迎会イベントに次いでリーダーの力量が試される。ここでの経験は、成功でも失敗でも自身の力となる。それを、分かっているのか立川は、いつもに増して肩に力が入っている。


きっと、彼のことだから、僕たち4年を喜ばせようと張り切っているに違いない。

そんな彼を、橋本と近藤がスムーズにサポートし、場を回している。彼らは同期が3人しかいないのに、よく協力してオーキャンスタッフをまとめている。

彼らに追いつこうと、2年生たちも手伝っている。


「僕たちが居なくなっても、安心だね。」

僕は隣にいた中島に言う。

「うん。私たちの後輩があの子たちで、本当に良かった。」

彼女は優しく微笑む。そして続ける。

「先輩たちも、こういう気持ちだったんだろうね。」

「…そだね。」


 立川たち3年生が中心になって考えたレクリエーションの内容は、とても面白くて楽しめた。みんなでやる夕飯作りは、僕が初めてここに来た時に、大城先輩に助けてもらいながらやったことを振り返る。


……あぁ、懐かしいな。


残すはあと1日。やっぱり少し寂しい気持ちにもなる。

いつもの部屋で、一息ついて余韻に浸っていると、ノックが聞こえる。


立川だ。


「どした?」

「春輝先輩!ちょっといいですか?」

彼はいつもの人懐っこい笑顔で問う。

「うん。」


彼は、僕の目の前にヘアケアセットを置く。

「最後に、俺の髪セットしてくれませんか?」

彼はそう言って、目の前の席に僕に頭をむけて腰を下ろす。

「え?」

「俺、春輝先輩のヘアセット真似してたんですけど。先輩との思い出が欲しくって。」

「……いいけど。時間かかるよ?」

「はい!その間、いっぱい話しましょう!」

彼は楽しそうに笑う。


立川の髪を触りながら、思い出話をする。

「俺、新入生歓迎会の時の春輝先輩の姿がめっちゃ格好良くて、オーキャンスタッフに入ったんですよね。

こんな人みたいに、目をキラキラさせて大学生活を送りたいって思って。」


立川は懐かしそうに言う。


「そうだったんだ。」

「はい。大学に入りたての俺は、第一志望の国立に落ちて、悔しくて。第二志望のこの大学に来た自分のことを、どうしても許せなくて。

…だけど、あの新入生歓迎会のイベントに参加したら、なんかそんなこと考えてる自分ってちっぽけだなぁって思えて。俺も胸張って、ここの大学生として輝きたいって思えたんです。春輝先輩に会えたから。」


「ありがとう。」

「こちらこそです。ありがとうございました。」


そう、お礼を言う立川の声は震える。


「立川?」

すすり泣く彼は言う。


「やっぱ、寂しいですね。先輩が居なくなるなんて。」


「またいつでも会えるよ。こうやって、髪もセットしてあげるし、ご飯も食べにいこうよ。」

「本当ですか?」

「うん。あーでも、来年の春から東京に行くから。また地元に帰ってきた時にな。」


「はい。」


「…立川。僕、立川をリーダーにして良かったって心から思ってる。僕のために怒ってくれる立川を見て、立川を信頼も尊敬も出来るって改めて思った。最高の後輩だった。ありがと。」


立川が涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら嬉しそうに笑う。


「先輩。もう一個お願い聞いてもらってもいいですか?」

「なに?」


「俺のこと、(ふゆ)って呼んでください!冬真でもいいですけど。」

その顔はイタズラに笑う。


「……分かったよ。冬真って呼ぶことにする。」

「やったぁ!」

「言っとくけど、僕が下の名前で呼ぶ人は特別なんだからな。」

「分かってます!!」


ヘアセットが完成した。我らながらに良い出来栄えだ。


「ありがとうございます。」

冬真は、嬉しそうにお礼を言った。


ありがとうございました!!

これからも、よろしくお願いします!

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