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神核戦記  作者: ハムジン
3/17

目覚めの断章

三話目です。

間違いなきよう。

異様な静寂が廃ビルを包んでいた。


 悠真の掌に浮かぶ円環の神文。その中心で微かに光が脈動している。


 「これ……俺が……?」


 自身の体から放たれる神核の輝きに、悠真は怯えを隠せなかった。


 「下がって! 発動しかけてる!」


 結芽が叫ぶ。だが、もう遅かった。


 空間が反転する。床が天となり、壁が歪む。悠真の意識が宙に浮かび、世界の“言語”が書き換えられていく――


 目に映る現実のすべてが、粒子の羅列へと変貌していた。


 ――存在の輪郭。事象の連鎖。時間の構造。


 悠真の“神核”の本質、それは「世界の因果律を書き換える」創造の力。


 悠真の中の“何か”が囁く。


 ≪我は初めのはじまりのたね――アメノミナカヌシ≫


 ≪この世界に秩序を。混沌を。理を、編み直せ≫


 「うあああああああッ!!」


 悠真の叫びとともに、神文が膨れ上がり、周囲の構造が一斉に崩壊する――が。


 その光は、寸前のところで凍結した。


 「《鎮律・結界》!」


 結芽の札が悠真の身体を包み込み、神核の暴走を一時的に封じる。


 崩壊しかけた空間が、静かに再構成されていった。



---


地下への脱出


 「……はぁ……なんとか、抑えた……」


 結芽は汗を拭いながら、気絶した悠真を背負う。


 その顔には安堵と、焦りが混ざっていた。


 「こんなにも早く……神核が覚醒するなんて……」


 結芽は地下通路を進みながら、携帯式の符装端末に符文を入力する。


 『至急、転移を。対象、神核覚醒兆候あり。極めて危険。天津の追手もすぐそこまで来てる。』


 送信と同時に、背後の空間が微かに揺れた。


 綾部の気配だ。まだ追ってきている。


 「間に合って……っ」



---


 一方、廃ビルの外。


 綾部晃司は、無言で地面に手を触れていた。


 焼け焦げた跡。空間の歪み。時間断層の痕跡。


 「やはり……“因果律操作”だな。」


 その背後に、黒いフードの人物が立っていた。


 「報告しろ。お前の任務は観測と接触のみのはずだった」


 「だが、奴の神核は“それ”だ。天津でも、国津でもない、創造の原核――アメノミナカヌシ」


 フードの人物はわずかに目を細めた。


 「――バランスの崩壊が始まったということか」


 風が吹く。夜の闇が、不吉に鳴いた。


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