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神核戦記  作者: ハムジン
2/17

選ばれし器

二話目です。

間違いなきよう。


 「死んで……ないッ!?」


 目の前の男――神核を宿す天津神の戦闘斥候。人間では到底敵わない異能を操る存在。


 光の短剣は悠真の胸元へ――いや、確かに、その刃は悠真の胸を貫いたはずだった。


 だが、先程の瞬間、確かに綾部は見ていた。


 光が巻き戻るように霧散し、悠真には傷ひとつ付いていなかった。


 「時間じゃない。空間でもない……これは、結果が……書き換わった……?くそっ!死ねよ!」


綾部の光刃が再び、今度こそ悠真の生命を刈り取ろうと胸元へ向かう。


 「《守律・結界》!」


結芽が札を破く。


 空間が歪み、綾部の腕が跳ね返された。


 「今のうち! 走って!」


 悠真は戸惑いながらも、結芽の手を取り、夜の校舎裏を駆け出した。


市街地外れ:廃ビル内部


 二人は廃墟と化したビルの一室に身を潜めていた。


 「何が……どうなってるんだよ……」


 息を荒げる悠真に、結芽は静かに言った。


 「神核――それは、神の本質を人の魂に宿す力。魂と神核が融合すれば、人は人を超える」


 「つまり、あいつは神様ってことか?」


 「いいえ。あくまでも神の力の一部を使えるだけで彼は人よ。」


 結芽は自身の腕をまくり、手首に浮かぶ光の文様を見せた。


 「私もその一人。私は“国津神側”の継承者。あなたを護る義務がある」


 悠真は困惑する。


 「なんで俺なんだ……俺はただの高校生だ。勉強も運動も普通、取り柄なんて何も――」


 「あなたの中に眠る神核は……  《アメノミナカヌシ》。宇宙を創造した最初の存在。すべての神の根源」


 世界が、静止する。


 耳鳴りのように、脳内に響く声。


 ――我の力を使え


 再び、悠真の中で“何か”が目を覚ましかけていた。


 そのとき、廃ビルの床下から異音が響いた。


 「また来た……早すぎる……!」


 綾部か、それとも別の神核継承者か。


 結芽は短く息を吐き、腰元の鞄から札を取り出した。


 「次は……逃げきれないかもしれない」


 だがそのとき。


 悠真の中から、光が溢れた。


 掌に、浮かび上がる円環の神文しんもん


 時空が軋み、空気が震える。


 彼の中に確かに、“神”が宿っていた。


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