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神核戦記  作者: ハムジン
14/17

雷と風の邂逅

3話連続投稿2話目です。

建部 蓮による格闘訓練を続けてきた悠真の動きは、目に見えて洗練されていた。

受け身、間合いの取り方、気配の読み取り。

神核の力に頼らない“人間としての戦い方”が、身体に刻まれていた。


学校帰りに結芽と落ち合い、今日からの実戦訓練に心を弾ませながら、常世の社に向かおうとしていたそのときだった。


「……あれ?」


街道の角を曲がった瞬間、妙な違和感が全身を包む。


風の流れが止まり、音が消えた。

周囲の気配が、まるで“何か”に覆われている。


「……来た。」


悠真が即座に身構える。そして結芽の手には、いつものように札が握られていた。


次の瞬間、紫電と共に“それ”は現れた。


「発見。対象は一条悠真。捕縛優先、排除は必要に応じて可か。」


冷たい声が、まるで機械が読み上げるように響く。


――白い装束に身を包み、額に天統院の紋章を刻んだ仮面の男。

その背後には淡く浮かぶ神核のオーラ。

その重圧に、悠真は息を飲んだ。

訓練により強くなったつもりだったが、この男にはどうやっても勝てるイメージが湧かなかった。


「天統院……!」


「君を保護している“根の会”は悪だ。君を管理する権限は我々にある。」


結芽が前へ出る。


「悠真には触れさせない。ここで退いて。」


「抵抗と判断。排除する。」


瞬間、男が動いた。


風が裂ける。

悠真は直感で横に飛び、結芽が守律札を空中で引き裂いた。金の紋が炸裂し、光の結界が展開された。

その瞬間、男の神能と結界がぶつかり、凄まじい衝撃が辺りを揺るがせる。


「っく……!」


「悠真、逃げて!」


結芽が叫ぶ。遼真の札による結界は防御に徹しているが、時間は稼げても決定打にはならない。


「くそっ……!」


男は紫電をまとって接近していた。

悠真の背後を狙う奇襲。もう守律札も間に合わない。


そのとき――


「離れろ!!」


地を打つような衝撃音と共に、暴風が吹く。

次の瞬間、悠真と男の間に“何か”が降り立つ。


「……間に合ったか。」


風の気配を纏った長身の青年――建部 蓮だった。


「蓮さん……!」


「こいつは俺が抑える。お前たちは社へ向かえ!」


「でも――!」


「いいから行け!」


彼は暴風を纏い、構手からは神核の鼓動が波打っていた。

それは確かに、建御名方神の力。


「さあ、悠真。こっち。」


結芽が手を引く。


走る。

ただただ、結芽と共に。


「おいおい、いきなり鹿島武司が来るかよ。建御雷だろうが何だろうが、この先には行かせん!」


「建部蓮か。国譲りの二の舞になると何故分からない。」


「はっ、流石天津神様だ。何でも思い通りになるってか!?何時ぞやは譲っちまったらしいが、今回は譲れんな。」


悠真は交差点の角を曲がる前、振り返る。


蓮は笑っていた。


「悠真、道を違えない事を祈る。」


「祈りは終わったか?では、排除する。」


「掛かってこいやぁ!」


雷と風がぶつかり合い、周囲には爆音と閃光が瞬いた。



――


「はぁ、はぁ…逃げられた、のか…」


常世の社。

静寂の中、響くのは悠真と結芽の荒い息づかいだけ。


二人は無言のまま、蓮の無事を祈っていた。

もし、少しでも面白い、続きが気になると思われたら評価をして頂けると、とても嬉しいです。

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