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神核戦記  作者: ハムジン
1/17

始まりの静寂

初投稿です。

よろしくお願いします。

プロローグ:天地開闢てんちかいびゃく


 ――初めに、混沌あり。


 色も形もない虚無の中で、ただ一つの意志が芽吹いた。意志は名を持たず、声も持たず、ただ"在る"という存在として、そこにあった。


 やがて、その想念が揺らぎを生み、光と影、火と水、風と土が交差し、宇宙が形作られていく。


 最初の神――天之御中主神アメノミナカヌシ


 その姿を見た者はいない。だが確かに、世界の原初に、彼は存在していた。彼が目を開いたとき、のりことわりが生まれ、命の螺旋が紡がれた。


 ――そして世界は、知らず知らずのうちに、“再構築され得る脆さ”を内包していた。


現代:東京都 某高等学校


 春の風が校庭を撫で、教室の窓を揺らす。


 一条悠真(いちじょう ゆうま)は、昼休みの終わりを告げるチャイムを聞きながら、屋上のフェンスに背を預けていた。


 何の変哲もない、いつも通りの日常。


 だが、ここ最近、彼の周囲では小さな“異常”が頻発していた。


 たとえば、腕時計の針が一瞬だけ逆戻りしたり。


 たとえば、教室の空気が、ふとした瞬間だけ“音のない空間”に変わったり。


 たとえば――


「……気のせいだよな」


 誰にともなく、呟く。


 いや、本当は気づいていた。何かが、自分の中で“目を覚まそうとしている”。


放課後:体育館裏


 「一条。……こっちだ」


 校舎の裏手、体育館の陰にある使われていない倉庫の前。


 声をかけてきたのは、一人の少女だった。


 黒髪に古風な着物、瞳は深い藍。どこか現実味のない、美しさ。


 「君、“宿してる”んだろ?」


 「……え?」


 少女は名乗った。久須美 結芽(くすみ ゆめ)。


 そして、淡々と告げる。


 「君の中には、“理を超えるもの”が眠ってる。だから……狙われる。」


 次の瞬間――空気が裂けた。


 視界が歪み、夕暮れが白熱する。


 空間が、捻れる。


 「やっぱり……反応があったな」


 現れたのは、光を纏う青年。


 灰金の髪、鋭い瞳。手には稲光をまとった短剣。


 名は綾部 晃司(あやべ こうじ)。


 天津神の末端、戦闘斥候の役割を担う神核継承者。その神核は天津神の中では1番下のランクの格だが、神核を持たない者にとっては、生命を脅かす存在。


「お前が従わないなら、ここで消えてもらう。」


 綾部の一撃が振るわれた瞬間、悠真の視界が“白”で満たされる。


 そして――


 すべての音が、消えた。


 時間が止まり、空気が凍る。


 悠真の中に、“何か”が囁いた。


 ――お前は選ばれた。


 ――この世界の"創造律コード"を書き換える資格を持つもの。


「誰だ……俺の中で、誰が喋って……!」


 光が砕け、空間が“零”へと還る。


 悠真の中で、何かが確かに、目を覚ました。

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