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颯の蒼空  作者: 心労心負
第3章
13/18

初対面

 明け方の暗い中、和室に2人の男が座っていた。

 「……どうして目覚めた後に行かなかった…?」「仕事が忙しかったからだよ、親父」「……本当は?」「。…」「俺は今日も早くから……」部屋から出るために彼は襖を開けた。「言葉を濁すのも構わんが、いつかあいつと向き合わにゃならんぞ。健二……」


 その家の2階で菅原蒼は寝息を立てていた。それから1時間半後。蒼は階段を降りて椅子に座った。

 「おじいちゃん、おはよう……」「今日から学校だな」「そうだった!ご飯食べないと」彼女は祖父から朝食を受け取る、シンプルな和食だった。

 食べ終わり蒼は部屋で着替えた。服を脱ぐとお腹の周り、素肌の上に包帯が巻いてある。少し手で押すと鈍い痛みが伝わる。

 春休みの時に負った怪我、まだ完治はしていない。医者からは運動は厳禁と伝えられた。新調したシャツに袖を通し、穴が空いた上着を兄のお下がりに交換した。ふとクローゼットの端に目をやると1度しか袖を通したことのないセーラー服が掛けてある、一瞬それを見たがすぐにクローゼットを閉じた。そして広さの割に人がいない家を出た。


 想人は学校に向かった。家からどれくらいかかるのかわからないので早く家を出たがどうやら早すぎたようだ。

校門をくぐるとなにやら人は少ないはずなのに騒がしい。

 「おらっ!」「ぎゃっ!」「ははっ!」明らかに平和ではない声と打撃音が聞こえてくる、想人は音の元へ近づいてみた。そこで行われていたのは予想通り、一方的な暴力だった。うずくまった1人の生徒を他の3人が足蹴にしている。そのうちの1人が想人に気づく。

 「お前、何見てんだよ」「ん?なんだこいつ」こっち見んなよ、キモいな」3人はさっきまでの生徒を打ち捨てて想人に絡み初めた。その時彼は初めて不快そうな顔をする。「こいつも潰そうぜ!」そういうと彼に殴りかかってくる。想人は身を捻って懐に入り鳩尾を突く。彼が倒れると同時に2人目の足を蹴り、バランスを崩す。そのまま彼を押し倒し、関節を極める。想人の後ろから3人目が拳を振り下ろす。思わず防御の体勢に入るが彼のこめかみを何かが入った長い布袋が直撃した。

 「なんだよ、こいつ!」「やばいって……」「キモっ!」3人は捨て台詞を吐いて校内に遁走していった。

 想人は彼らではなく袋が飛んできた方を向く。袋は硬い棒状の物が入っていておそらく2メートル近くあるだろう。彼はそれを投げた主に声をかける。「すごいなそれ、なぎなたか?」

 「こんな技ないけどね」蒼は彼の傍を見る。「あの子は?」「なんかボコボコにされてた。」「保険室も会いてないし…とりあえず教室まで連れて行こう。」「そうだな」「君の教室はどこ?」「2年B組。」「僕と一緒のクラスだ」気絶した彼の肩を抱えて2人は教室に向かった。


 「それにしても……珍しいな」想人が着目したのは彼の頭だった。彼は綺麗な金色の髪を持っていた。アニメでしか見たことのないような髪の色だ。彼の空色の目がゆっくり開く。「ひっ!?」「大丈夫だよ」「もうあいつらはいない。」彼の強ばった肩から力が抜ける。

 金髪の少年が口を開く。「あ、あの..….助けてくれてありがとうございました..….」「名前は?」

 「ぼく、早川路美って言います...…」「さっきの人たちは?」「同じクラスの人たちです……入学した直後からあんな目に……」「あんなのがここにもいるんだな.…..」「そういえば君の名前は?」「オレか..…?オレは...…」そこに颯汰、松田、そして福島流奈がやって来た。「おはよう!想人」「松田」「あっ!蒼くん!」「福島さん……?」「バカぁ!なんであんな真似したの!?」流奈は蒼に詰め寄る。「もう2度とあんなことしないで!」「えっと……ごめんなさい……あ」颯汰が教室に入って来た。「蒼、おかえり」「ただいま、颯汰」

 「あの、オレをおいて会話しないでくれ。稲生誰だそいつは?」「あぁ、そうだったな。菅原蒼、俺の親友だ」「オレは想人幸。よろしくな菅原」「よろしく」「ところで…この子は?」

 「学校に行ったら殴られてた」「……は?」「本当だよ……颯汰」

 「よーっす」そこに中山と妹の恵がやって来た。「おー!菅原!」「おはようございます!」恵は1人の少女を連れていた。「同じクラスの子ですけど探してる人がいるって...…」背後からその少女が出てくる。「あの、私の友達を探してるんです。教室にいなくて.…..」「どんな人なんだ?」「金髪で...…」想人は彼の後ろを指さす。「もしかしてこいつか?」「あっ、いたぁ!どうしたのアザ!?」「えっと……」その時チャイムが鳴った。もう朝の会の時間だ。

 「とりあえずみんな戻ろうぜ」そうして蒼が戻った学校生活が帰ってきたが、颯汰はまた事件の予感を感じていた。そんな彼に想人が提案する。「なぁお前ら、今日の放課後...…」


 その放課後。今日は月曜日なので部活はなしだ。「本当に待つのか?」「だって気になるじゃん」颯汰は想人と校門の前に立っていた。「松田、お前はどうする?」「ちょっと俺は用事があるから」「もし会ったら公園に連れていくから」「わかった」そこに蒼、中山、流奈もやって来た。

 5人がしばらく待つと金髪の少年、早川路美と黒髪の少女が一緒にやって来た。颯汰が2人に声をかける。「あの...2人ともちょっといいかな。」「あなたは朝の..….?」

 その頃、松田は綾部の家に向かっていた。

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