冬はつとめて
くそっ鮫島の奴っ。
しくじりやがって、何のために絶対に殺せるルートを教えてやったと思っている。
あげくの果て栗橋に通報されて逮捕だぁ?
また仕事が増えたな。
だが今の問題は鮫島ではなく栗橋美樹だ。
金を積めば鮫島は大丈夫だろうがこっちはそう簡単にはいかないだろう。
俺に月島グループや鮫島グループへの批判をした直後に襲われたんだ。
絶対に俺を疑ってくるだろう。
何か手を打たなくては・・・。
・・・鮫島一樹。
・・・まさかリーダー直々に私を襲ってくるとは。
・・・あの後私は一か八かで近くにあった電信柱によじ上って隣の家に入り込んだ。
・・・運のいい事にトラックはそのまま突っ込んできて、家の人に警察に連絡してもらって鮫島を逮捕してもらった。
・・・でも良い事はそれだけじゃない。
・・・橘文徳。
・・・あいつが月島グループに関わっている事は間違いない。
・・・でもだからどうする。
・・・あいつが黒幕だったとしてもそんなの証明できないし、
私の目的は達成できない。
・・・いや、諦めてたまるものか。
・・・大学であいつの本性を暴きだしてやる。
「おはよう。橘君。」
「おはよう。栗橋さん。」
・・・いつも通りか。
「私ね先週橘君と別れてから大変だったんだよ。」
「何かあったの?」
・・・この素っ気なさもいつも通り。
「あの後、鮫島一樹に襲われたの。」
「えっ、じゃあ昨日ニュースでやっていた鮫島に襲われたけど逆に通報した女子大生って栗橋さんだったの?」
・・・これも今までの橘君なら当然の反応。
・・・ダメだ。
・・・このままいくと、いつもの討論になってしまう。
・・・揺さぶってみるか。
「でね、私考えている事があるんだ。」
「何?」
「私あの日、橘君に月島グループに批判的なことを言ったでしょ?
その後すぐに鮫島に襲われるって偶然にしてはできすぎてない?」
「そうだね。」
「私の言いたい事は分かるよね?」
・・・さあどうごまかすの?
「ふぅ〜。
さすがだね、栗橋さん。
君の考えている通りだ。」
っ!認めた?
「僕が、君が月島グループに良い思いをしていないと月島グループに告げたんだ。」
はっ?
「それがまさか君が襲われる原因になってしまうなんて。
今では反省しているよ。」
・・・違う。
「今回の事で僕も月島グループに疑問が出てきた。
どうだい、僕も一緒に君と調査をさせてくれないか?」
・・・違う、でたらめだ。
「ねぇ、本当にあなたは通報しただけ?」
「えっ?まさか僕が鮫島に指示をしたとでも?
まさか。
ちょっと待ってて。」
・・・そういうと橘君はパソコンを立ち上げて、あるサイトを見せてくれた。
「これはある会員に入っているとログインする事ができるサイトなんだ。
それでここ、ほら『月島グループに反感を持つ者の名前ををこのメールアドレスに送ってください。
我が社は烏賊織市すべての住民に我が社の事を理解していただきたいと考えております。そこで・・・・・・・・・・・・』ね?僕もあの時は君も感じたと思うけど月島グループには好感を持っていたんだ。それでこのメールアドレスに『日本大学1年生の女学生』と書いて送ってしまった。」
・・・確かに橘君のメールの送信ボックスにはそのメールがあった。日付、時刻も一致する。
・・・本当に私の思い違い?
・・・狙う場所やタイミングも彼ほどの頭脳が無くては考えつかないと思っていた。
・・・事実、鮫島が運転をミスらなければ事件はうやむやになっていただろう。
・・・信じて良いのだろうか?
・・・彼がいれば調査もはかどりそうだし・・・。
昨日のうちにサイトの建設、メールのハッキング。
すべての準備は整えた。
通報した事については誠心誠意謝ったように見えたはずだ。
疑う余地はない。
さあどうする栗橋美樹。




