プロローグ
烏賊織市。今急速に近代化の道を進んでいる港町。
一昔前までは辺り一面緑だらけだったこの町も、
今では高層ビルが建ち並ぶ灰色の町と化していた・・・
とある高級マンションの一室、2人の男と老人が酒を飲みながら談笑していた。
「それで、9番街の五人家族はどうなっている?」
「問題ありません。度重なる襲撃で母親はノイローゼ状態、父親は家族を守るために会社を欠勤。長男、長女もここ最近学校を休んでいます。家を明け渡すのも時間の問題です。」
「ふははははははっ、そうかそうかあの家族さえ出ていけば9番街のA地区は掌握完了。NFCタワー建設の障害はなくなる。あの素晴らしい立地条件の場所を住宅地なぞにしてられるか。」
「おっしゃる通りです。」
「佐藤正哉は明後日の会議へ向かう途中に決行。そうだな?烏賊織病院と大学の方も順調、向かうところ敵無しか。」
「そうですね、我が社の動向に疑問を持つ者が出たとの報告はまだありませんし、株価も上昇中、破竹の勢いですね。」
「ははははは、笑いが止まらぬわい。さて、そろそろ儂はかえる事にするが文徳、これからも頼むぞ。」
「かしこまりました、月島会長」
文徳と呼ばれた男は一礼すると老人、月島会長を玄関まで見送る。
玄関には黒いスーツに身をつつんだ男が待機していて、老人を護衛しながらエレベーターホールに向かっていった。
1人残された男は残ったワインを口に含みながら今後起こるであろう事に考えをめぐらせた。
これから起こる殺人、恐喝、事故、密輸、そしてこの町、しいてはこの国の未来を・・・
橘 文徳
この物語の主人公。
18という若さで月島グループの幹部に就任。
天性の才能を持つが人情にかける
本人が何を思って行動しているのかは本人以外誰も知らない




